物理化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 茨城工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 物理化学Ⅰ
科目番号 0011 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科(2016年度以前入学生) 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:秋貞英雄,井上亨,杉原剛介「化学熱力学中心の基礎物理化学」(学術図書出版社)参考書:セミナー化学基礎+化学(第一学習社)
担当教員 依田 英介

到達目標

1.温度や圧力あるいは濃度による物性の変化を分子論的に理解し、その変化を定量的に扱えるようにする。
2.化学平衡について理解し、気体反応についても平衡計算ができるようにする。
3.反応速度が温度や濃度によりどのような影響を受けるかを理解し、簡単な反応について解析ができるようにする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
理想気体の方程式において、圧力、体積の単位を気体定数にあわせて正しく計算できる。理想気体の方程式において、圧力、体積の単位を気体定数にあわせなければならないことを理解しているが、単位の換算が正しくできない。理想気体の方程式において、圧力、体積の単位を気体定数にあわせなければならないことを理解していない。
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。教科書等を見ながらであれば、実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。左記ができない。
混合気体の分圧の計算ができる。教科書等を見ながらであれば、混合気体の分圧の計算ができる。左記ができない。
Raoultの法則を理解し、蒸気圧降下より、溶質の分子量を計算できる。教科書等を見ながらであれば、左記の計算ができる。左記ができない。
沸点上昇、凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。教科書等を見ながらであれば、左記の計算ができる。左記ができない。
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。教科書等を見ながらであれば、左記を説明できる。左記ができない。
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。教科書等を見ながらであれば、左記を説明できる。左記ができない。
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。教科書等を見ながらであれば、左記を説明できる。左記ができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (A)(イ) 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 (B)(ロ) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
気体や液体の性質を定量的に取り扱ったり、化学反応において、反応に関わる物質の量がどのように変化するかを学ぶ。さらに、化学反応の速度について、その定義、式の誘導、反応機構との関係等を学ぶ。
授業の進め方・方法:
成績の評価は、定期試験の成績80%、小テストや宿題等の成績20%で行い、合計の成績が60点以上の者を合格とする。
注意点:
法則や式自体は簡単なものが多いが、それらを使いこなせなければ意味がない。式や法則がどのように導かれたのかを理解した上で、。式や法則がどのように導かれたのかを理解した上で、正しく使えるようにして欲しい。小テストを行うので講義中に理解し、質問があればその場で聞くこと。講義ノートの内容を見直し、講義に関係する例題・演習問題を解いておくこと。次回予定の部分を予習しておくこと。また、微分積分を復習すること。電卓の使用可。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 イントロダクション 前期の授業の流れを理解する。
2週 単位と有効数字 SI基本単位、SI誘導単位、常用単位とSI単位間の換算、有効数字。
3週 Boyle-Charlesの法則 Boyle-Charlesの法則。
4週 理想気体の状態方程式  気体定数、理想気体の状態方程式を利用した分子量計算。
5週 理想混合気体 Daltonの分圧の法則、モル分率。
混合気体の分圧の計算ができる。
6週 実在気体の状態方程式 実在気体とvan der Waalsの状態式、分子間力、排除体積。
7週 (中間試験)
8週 気体の液化 臨界点、相応状態の原理。
臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。
2ndQ
9週 気体分子運動論 気体分子モデル、分子の速度、分子のエネルギー。気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。
10週 Grahamの法則 Grahamの法則。
11週 液体の蒸気圧 蒸気圧曲線(融解曲線、昇華曲線)、三重点、状態図。
12週 Raoultの法則 理想溶液、蒸気圧降下、Raoultの法則、混合溶液の気体組成の算出。
13週 沸点上昇 モル沸点上昇定数、水蒸気蒸留への応用。
14週 溶液の束一的性質 冷却曲線、凝固点降下法による分子量測定。浸透現象、浸透圧による分子量測定。
15週 (期末試験)
16週 総復習
後期
3rdQ
1週 可逆反応と化学平衡 可逆反応と不可逆反応、化学平衡の概念。
2週 質量作用の法則 質量作用の法則、化学平衡定数。
3週 濃度平衡定数と圧平衡定数(1) 濃度平衡定数、気体反応における圧平衡定数。
4週 濃度平衡定数と圧平衡定数(2) 濃度平衡定数と圧平衡定数との関係。
5週 Le Chatelierの原理(1) Le Chatelierの原理、濃度変化や圧変化による平衡への影響。
6週 Le Chatelierの原理(2) 温度変化による平衡への影響、共通イオン効果。
7週 (中間試験)
8週 化学反応の速度とは 反応速度の定義、反応速度に影響する因子(濃度、温度、触媒など)。
4thQ
9週 反応速度の求め方 反応速度の実験法。
10週 速度式と反応次数 反応速度の濃度依存性、反応速度定数や反応次数の意味。
11週 1次反応 微分型1次反応速度式からの積分型速度式の誘導、半減期。
12週 2次反応 微分型2次反応速度式からの積分型速度式の誘導、擬1次反応。
13週 反応速度の温度依存性 Arrheniusの式、活性化エネルギー、頻度因子。
14週 いろいろな反応の速度式 可逆的な反応や逐次反応の速度式、律速段階、定常状態近似。
15週 (期末試験)
16週 総復習

評価割合

試験小テスト・宿題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力000
専門的能力8020100
分野横断的能力000