分析化学特論

科目基礎情報

学校 茨城工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 分析化学特論
科目番号 0004 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 専攻科 産業技術システムデザイン工学専攻 応用化学コース(2022年度以降入学生) 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:資料配布, 参考書:「分析化学における測定値の正しい取り扱い方」(上本道久,日刊工業新聞社),「これからの環境分析化学入門」(小熊幸一ら,講談社),「クリスチャン分析化学」(G.D.Christian,原口訳,丸善)など
担当教員 澤井 光

到達目標

(1)溶液内化学平衡について,熱力学的パラメータに基づく諸計算ができるようになること。
(2)データの統計的扱い方に習熟すること。
(3)諸分析法の特徴を理解し,目的に応じて分析法の応用ができるようになること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1各種平衡論に基づく計算法を実試料分析に応用できる各種平衡論に基づく基本的計算法を理解している各種平衡論に基づく基本的計算法の理解が不十分
評価項目2実験データの統計的処理ができ,推定・検定・品質管理に応用できる実験データの統計的処理ができ,基本的な推定・検定ができる実験データの統計的処理法の理解が不十分で,基本的な推定・検定ができない
評価項目3諸分析法の特徴を理解し,目的に応じて適切な分析法の選択・比較・適応・応用ができる諸分析法の特徴を理解し,目的に応じて分析法を選択できる諸分析法の特徴を理解不足で,目的に応じて分析法を選択できない

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (B) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
(1)分析化学の基礎である溶液内化学反応に重点を置き,溶液内化学平衡の概念について解説し,それに基づいた分析法への応用について述べる。
(2)分析データの評価と整理についての統計的な取り扱いについて解説する。
(3)環境分析分野における化学分析方法について解説する。
本講義は,地方自治体(環境センター)での勤務経験をもつ教員が,その経歴を活かして実用化学分析に関する講義を行う。
授業の進め方・方法:
・本科における「分析化学Ⅰ」,「分析化学Ⅱ」,「環境化学基礎」,「機器分析」,「環境化学」,「物質工学実験Ⅲ(環境工学実験)」などと関連する内容であるので,良く復習し授業に臨むこと。
・授業内で取り組む演習問題は必ず自らの力で解き,理解を深めること。
注意点:
・授業には関数電卓を必携すること。いくつかの演習ではMicrosoft Excelを利用するので,基本的な操作法を復習しておくこと。
・本科目は隔年開講となるので2年生の受講も可能です。
・開講されている年度については授業時間割で確認すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 活量と活量係数 イオン強度・化学ポテンシャル,活量,活量係数の概念を理解する。
2週 化学平衡と自由エネルギー 平衡定数と自由エネルギーの関係を理解する。
3週 錯形成反応の基礎 安定度定数,条件付き安定度定数の概念とその計算ができる。
4週 錯形成平衡に対するpHの影響 溶液のpHによる錯形成の影響の計算ができる。
5週 錯形成平衡と沈殿平衡 沈殿生成平衡を含む系での錯体形成反応の計算ができる。
6週 キレート生成平衡と吸光光度分析法 着色キレート錯体の吸光光度分析法への応用について理解する。
7週 EDTAキレート形成反応と定量分析 EDTA-金属イオン錯体の錯形成平衡と定量分析への応用計算を理解する。
8週 分析データの統計的扱い(1) 実験データについての統計基礎事項(平均・分散・標準偏差・相対偏差などについて)について理解する。
4thQ
9週 分析データの統計的扱い(2) t-test,f-test,分散の比較による検定・推定の諸方法について理解する。
10週 分析データの統計的扱い(3) 検出限界と定量限界の概念を理解し,その値を計算できる。また誤差の伝播則を理解し,数値処理に応用できる。
11週 分析データの統計的扱い(4) 演習により分析データの統計的扱いについて具体的かつ総合的に理解する。
12週 環境の化学分析の実際(1) 環境試料のサンプリング,試料の分析前処理について操作の実際を理解する。
13週 環境の化学分析の実際(2) 環境試料の分析手法の選択,干渉抑制法などについて操作の実際を理解する。
14週 環境試料における化学種のスペシエーション分析 環境試料の化学形態(スペシエーション)分析について概念を理解し,関連する最先端の分析手法について理解を深める。
15週 (期末試験)
16週 総復習 試験問題内容の理解と理解不足部分の確認と修正を行う。

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ課題提出合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力3000001040
専門的能力3000002050
分野横断的能力100000010