到達目標
(1)溶液内化学平衡について,熱力学的パラメータに基づく諸計算ができるようになること。
(2)データの統計的扱い方に習熟すること。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
各種平衡論に基づく計算法を理解する | 各種平衡論に基づく計算法を実試料分析に応用できる | 各種平衡論に基づく基本的計算法を理解している | 各種平衡論に基づく基本的計算法の理解が不十分 |
実験データの統計的処理方法を理解する | 実験データの統計的処理ができ,推定・検定・品質管理に応用できる | 実験データの統計的処理ができ,基本的な推定・検定ができる | 実験データの統計的処理法の理解が不十分で,基本的な推定・検定ができない |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
(1)分析化学の基礎である溶液内化学反応に重点を置き,溶液内化学平衡の概念について解説し,それに基づいた分析法への応用について述べる。
(2)分析データの評価と整理についての統計的な取り扱いについて解説する。
本講義は,地方自治体(環境センター)での勤務経験をもつ教員が,その経歴を活かして実用化学分析に関する講義を行う。
授業の進め方・方法:
・本科における「分析化学Ⅰ」,「分析化学Ⅱ」,「環境化学基礎」,「機器分析」,「環境化学」,「物質工学実験Ⅲ(環境工学実験)」などと関連する内容であるので,良く復習し授業に臨むこと。
・授業内で取り組む演習問題は必ず自らの力で解き,理解を深めること。
・自習に相当するレポート課題を課すので,予習,復習を心掛けること。
注意点:
・授業には関数電卓を必携し,統計計算ができるよう練習しておくこと。またいくつかの演習ではMicrosoft Excelを利用するので,基本的な操作法を復習しておくこと。
・本科目は隔年開講となるので2年生の受講も可能です(2023年度は開講します)。
・学生の理解度に応じて授業内容を変更することがある。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
活量と活量係数 |
イオン強度・化学ポテンシャル,活量,活量係数の概念を理解する。
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2週 |
化学平衡と自由エネルギー |
平衡定数と自由エネルギーの関係を理解する。
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3週 |
酸・塩基解離平衡とpH(1) |
平衡定数,質量均衡,電荷均衡などの条件から酸,塩基水溶液のpHを計算する方法を理解する。
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4週 |
酸・塩基解離平衡とpH(2) |
平衡定数,質量均衡,電荷均衡などの条件から複雑な酸,塩基水溶液のpHを計算する方法を理解する。
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5週 |
錯生成平衡とpH(1) |
安定度定数,条件安定度定数の概念とその計算ができる。
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6週 |
錯生成平衡とpH(2) |
配位子や金属イオンの副反応を考慮した安定度定数の概念とその計算ができる。
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7週 |
錯生成平衡と沈殿平衡 |
沈殿生成平衡を含む系での錯体形成反応の計算ができる。
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8週 |
(中間試験) |
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4thQ |
9週 |
EDTAキレート形成反応とキレート滴定による定量分析 |
EDTA-金属イオン錯体の錯生成平衡と定量分析への応用を理解する。
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10週 |
キレート滴定の実際 |
EDTAを用いた種々の滴定方法と計算方法を理解する。
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11週 |
分析データの統計的扱い(1) |
実験データについての統計基礎事項(平均・分散・標準偏差・相対偏差などについて)や検定について理解する。
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12週 |
分析データの統計的扱い(2) |
検出限界と定量限界の概念を理解し,その値を計算できる。また誤差の伝播則を理解し,数値処理に応用できる。
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13週 |
分析データの統計的扱い(3) |
演習により分析データの統計的扱いについて具体的かつ総合的に理解する。
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14週 |
環境試料における化学種のスペシエーション分析 |
環境試料の化学形態(スペシエーション)分析について概念を理解し,関連する最先端の分析手法について理解を深める。
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15週 |
(期末試験) |
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16週 |
総復習 |
試験問題内容の理解と理解不足部分の確認と修正を行う。
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評価割合
| 試験 | 課題 | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 20 | 100 |
基礎的能力 | 30 | 10 | 40 |
専門的能力 | 40 | 10 | 50 |
分野横断的能力 | 10 | 0 | 10 |