機構学

科目基礎情報

学校 群馬工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 機構学
科目番号 3M017 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 機構学:重松ら:コロナ社
担当教員 重松 洋一

到達目標

機構学とは動力源から発生した回転運動や直動運動を所望の運動に変換する仕掛を調べる学問である。授業では、そのうちでも基本的で多用されるインボリュート平歯車とリンク機構を主に学習する。
□設計仕様を満足するようなインボリュート平歯車の設計諸元を計算できる。
□遊星歯車を理解できて、減速比などを計算できる。
□リンクと対偶を理解できて,リンクの瞬間中心を作図できる。
□リンク上の点の速度を作図できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1設計仕様を満足するようなインボリュート平歯車の設計諸元を十分に計算できる。設計仕様を満足するようなインボリュート平歯車の設計諸元を計算できる。設計仕様を満足するようなインボリュート平歯車の設計諸元を計算できない。
評価項目2遊星歯車を理解できて、減速比などを十分に計算できる。遊星歯車を理解できて、減速比などを計算できる。遊星歯車を理解できて、減速比などを計算できない。
評価項目3リンクと対偶の理解、リンクの瞬間中心の作図、リンク上の点の速度の作図が十分にできる。リンクと対偶の理解、リンクの瞬間中心の作図、リンク上の点の速度の作図ができる。 リンクと対偶の理解、リンクの瞬間中心の作図、リンク上の点の速度の作図ができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
歯車は回転軸の回転数とトルクを所望のものに変換するための基本的な伝動機構である。授業では、設計仕様を満足するようなインボリュート平歯車の設計諸元を理解し計算できるようにする。一方、リンク機構はロボットなどのように複数の剛体リンクを関節で連結した機構である。リンク機構は複雑な運動を高剛性に実現できるので、自動組立機械や産業用ロボットに多用され、最近では多軸マシニングセンタにも応用されている。授業では、レシプロエンジンやコンプレッサで使用されるスライダクランク機構と4節回転リンク機構を中心にして、それらの運動を解析できるようにする。
授業の進め方・方法:
時間前半で教科書や配布プリントなどを説明し、後半で演習の小テストを実施する。主な学習項目は以下のとおりである。
(歯車)速比,インボリュート歯形,ラック,モジュール,ピッチ円,歯車創成,転位歯車,中心距離,バックラッシ,切下げ,歯先,歯底,かみあい率,とがり
(リンク機構)リンクと対偶,自由度,瞬間中心,図形解法,変位,速度
注意点:
ポケコン、製図器具(定規とコンパス)を使用する。
三角関数、連立方程式、ベクトルの外積、剛体の運動などを復習しておくことが望ましい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 インボリュート歯車(1) 一対の歯車の回転数の比(速比)と歯数、かみあいピッチ円半径の関係を説明できる。
周速度、角速度、回転速度の意味を理解し、計算できる。
2週 インボリュート歯車(2) 歯形のうちで最も基本的なインボリュート歯形において、基礎円、法線ピッチ、インボリュート平歯車を説明できる。
3週 インボリュート歯車(3) 歯形のうちで最も基本的なインボリュート歯形において、基礎円、法線ピッチ、インボリュート平歯車を説明できる。
4週 インボリュート歯車(4) 歯形のうちで最も基本的なインボリュート歯形において、基礎円、法線ピッチ、インボリュート平歯車を説明できる。
5週 歯車創成法と転位歯車(1) 標準平歯車と転位歯車の違いを説明できる。
歯切ラックを用いて歯車を創成する方法を説明できる。
6週 歯車創成法と転位歯車(2) 歯車の種類、各部の名称、歯型曲線、歯の大きさの表しかたを説明できる。基準ラック、モジュール、基準ピッチ線、基準圧力角、法線ピッチ、モジュールを説明できる。
7週 歯車創成法と転位歯車(3) 基準ラック、モジュール、基準ピッチ線、基準圧力角、法線ピッチ、モジュールを説明できる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 inv aの逆関数の計算(1) インボリュート関数inv aを計算できる。
10週 inv aの逆関数の計算(2) インボリュート関数inv aの値を与えたときに 、Newton法を用いて角度 aを求める方法を理解し、aを求めることができる。
11週 接触点の移動速度、法線バックラッシ、中心距離(1)
一対の歯車をかみあわせたときの歯車どうしの接触点が一対の基礎円の共通接線(作用線という)上を移動する速度を求めることができる。
12週 接触点の移動速度、法線バックラッシ、中心距離(2)
一対の歯車をかみあわせたとき、歯面どうしのすきま(法線
バックラッシという)と軸間距離(中心距離という)を求めることができる。
13週 転位歯車の利用(1)
転位歯車を利用して、中心距離を調整できる。
14週 転位歯車の利用(2)
転位歯車を利用して、中心距離を変更せずに、歯数を変更できる。
15週 転位歯車の利用(3)
転位歯車を利用して、切下げを防止できる。
16週
後期
3rdQ
1週 歯先円と歯底円、かみあい長さ、かみあい率、歯先とがり防止条件(1) 転位歯車の歯先円と歯底円の半径を導き、一対の歯車の作用線上で歯面どうしが接触している長さ(かみあい長さという)を計算でき、かみあい率を説明できる。
2週 歯先円と歯底円、かみあい長さ、かみあい率、歯先とがり防止条件(2) 転位歯車の歯先円と歯底円の半径を導き、一対の歯車の作用線上で歯面どうしが接触している長さ(かみあい長さという)を計算でき、かみあい率を説明できる。
3週 歯先円と歯底円、かみあい長さ、かみあい率、歯先とがり防止条件(3) 歯車を正転位させたときに歯先がとがらないための条件を計算できる。
4週 遊星歯車、差動歯車、遊星歯車のはめこみ条件、差動ねじ(1)
歯車列の速度伝達比を計算できる。遊星歯車や差動歯車の各歯車の回転を作表法を用いて調べることができる。
5週 遊星歯車、差動歯車、遊星歯車のはめこみ条件、差動ねじ(2)
遊星歯車や差動歯車の各歯車の回転を作表法を用いて調べることができる。
6週 遊星歯車、差動歯車、遊星歯車のはめこみ条件、差動ねじ(3)
太陽歯車の周囲に等角度で遊星歯車をはめこむことができる。
7週 遊星歯車、差動歯車、遊星歯車のはめこみ条件、差動ねじ(4)
作表法を応用して差動ねじの運動を調べることができる。
8週 中間試験
4thQ
9週 リンクと対偶、リンクの瞬間中心(1)
周速度、角速度、回転速度の意味を理解し、計算できる。リンク機構といろいろな対偶を理解し、対偶の自由度とリンク機構全体の自由度を理解できる。
10週 リンクと対偶、リンクの瞬間中心(2)
任意の3リンク間の3つの瞬間中心に関するKennedyの定理を説明できる。
11週 リンクと対偶、リンクの瞬間中心(3)
4節回転リンク機構を例にして、リンクの瞬間中心を定義し、任意の3リンク間の3つの瞬間中心に関するKennedyの定理を使うことができる。
12週 リンクと対偶、リンクの瞬間中心(4)
スライダクランク機構を例にして、リンクの瞬間中心を定義し、任意の3リンク間の3つの瞬間中心に関するKennedyの定理を使うことができる。
13週 速度等の図形解法(1)
リンク上の任意の点の速度を、図形解法である移送法を用いて作図できる。
14週 速度等の図形解法(2)
リンク上の任意の点の速度を、図形解法である連節法を用いて作図できる。
15週 速度等の図形解法(3)
リンク上の任意の点の速度を、図形解法である分解法を用いて作図できる。
16週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他レポート合計
総合評価割合800000020100
基礎的能力00000000
専門的能力800000020100
分野横断的能力00000000