到達目標
機械工学科で学習する材料学は,主として金属材料に現れる巨視的性質を内部構造などの微視的な視点を通じて理解し,これらの知識に基づいて金属材料の最適な選択法を修得しようとするものです.このために金属材料に関して原子レベルから最終製品の応用レベルまで幅広く取り扱います.
〇材料学は5年生まで継続している.4年生の授業では教科書のすべてを学習するのでなく,2章3章4章5章7章を中心に扱い、残りは5年になってから学習する.
〇材料学の基礎を学習するばかりでなく専門科目を学ぶための導入教育を兼ねているので,講義中にときどき機械工学全般に関連した話題を取り上げる.興味を持って取り組んで欲しい.
□金属の結晶構造について説明できる
□格子欠陥ついて説明できる
□二元系状態図を読むことができる
□レバールールを使うことができる
□純金属の凝固について説明できる
□鉄鋼材料の状態図を理解できる
□TTT曲線、CCT曲線を説明できる
□鉄鋼材料の各種熱処理方法を説明できる
□金属の強化方法をいえる
□金属材料の試験法について説明できる
□転位を理解し、変形機構と関連して説明できる
□すべり変形について説明できる
□疲労現象・S-N曲線について説明できる
□塑性変形について説明できる
□加工硬化と再結晶について説明できる
□クリープ現象について説明できる
□XRDのしくみについて理解し、結晶構造解析を説明できる
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 欠陥を含む金属と合金の結晶構造や状態変化を理解し、状態図について説明できる。 | 金属と合金の結晶構造や状態変化を理解し、状態図について説明できる。 | 金属と合金の結晶構造や状態変化を理解し、状態図について説明できない。 |
評価項目2 | CCT線図やTTT線図、炭素鋼の熱処理の方法を理解し、各方法の目的と操作について説明できる。 | 炭素鋼の熱処理の方法を理解し、各方法の目的と操作について説明できる。 | 炭素鋼の熱処理の方法を理解し、各方法の目的と操作について説明できない。 |
評価項目3 | 実用鉄鋼材料および実用非鉄金属材料の性質と用途を説明できる | 鉄鋼材料の性質と用途を説明できる | 鉄鋼材料の性質と用途を説明できない |
評価項目4 | 各種工程を含む鉄鋼の製法と炭素鋼の状態図を理解して、炭素鋼の性質を詳細に説明できる。 | 鉄鋼の製法と炭素鋼の状態図を理解して、炭素鋼の性質を説明できる。 | 鉄鋼の製法と炭素鋼の状態図を理解して、炭素鋼の性質を説明できない。 |
評価項目5 | 材料の機械的性質について理解し、機械的性質を調べる各試験方法を詳細に説明できる。 | 材料の機械的性質について理解し、機械的性質を調べる各試験方法について説明できる。 | 材料の機械的性質について理解し、機械的性質を調べる各試験方法について説明できない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
概論から入り、金属の結晶構造、格子欠陥ついて学び、二元系状態図を理解し、読み取れるようになる.
鉄鋼材料の状態図を理解し、鉄鋼材料の熱処理方法を学ぶ。さらに材料試験法(材料の評価方法)
転位の性質、塑性変形現象の説明、疲労、クリープ、低温脆性など機械的性質と試験方法の関連までを学ぶ.
残りの内容については、5年生で引き続き授業を行う.
授業の進め方・方法:
座学形式でおこなう。予めレジュメを配布するので、予習あるいは教科書を読んだ上で受講することを奨める。
必要に応じてレポート課題を出すので、試験までに必ず解いておくこと。
機械系の学生にとって、材料学は化学的なイメージがつきまとい、苦手意識を持ちやすい。
そこで、なるべく図やグラフなどを中心に視覚的イメージから本質を理解しやすいように授業を進めます。
これまでの化学・物質科学基礎や4年生での物質科学総論の学習を踏まえて、金属材料を中心として、
材料のミクロレベルからマクロレベル、基礎的な知識から最終製品の応用レベルまで幅広く取り扱います.
材料学は物理的な側面と化学的な側面から構成されているので、それらをバランス良く学習し、
今後の卒業研究などへの導入学習とする.
注意点:
本科目は学修単位科目であり,授業時間30 時間に加えて,自学自習時間60 時間が必要である.
授業時間は授業に出席して学習を行うことであり,授業以外の自学自習時間は授業以外の学習時間である.自学自習には教科書の事前通読,事後学習には課題を課すことで対応する.
材料学の基礎を学習するばかりでなく専門科目を学ぶための導入教育を兼ねているので,講義中にときどき機械工学
全般に関連した話題を取り上げる.興味を持って取り組んで欲しい.
材料学に関する専門用語に慣れるように教科書を教科書をよく読んで授業に取り組むことが肝要です.
再試験受験者は、予め中間試験と期末試験を解き直したレポートを提出することで受験を許可する.
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
概論・結晶構造 |
機械材料に求められる性質を説明できる。 金属と合金の結晶構造を説明できる。
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2週 |
ミラー指数・欠陥・固溶体・金属間化合物 |
結晶構造を数学的に理解する。金属と合金の状態変化および凝固過程を説明できる。
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3週 |
状態図1 |
合金の状態図の見方を理解できる。 相律・レバールールを理解する。
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4週 |
状態図2 |
二元系状態図の見方を理解できる。
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5週 |
炭素鋼の状態図 |
Fe-C系平衡状態図の見方を理解できる。炭素鋼の性質を理解し、分類することができる。
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6週 |
鉄鋼材料の熱処理方法 |
焼入れ・焼戻し・焼きならし・焼きなましの目的と操作を説明できる。CCT、TTT線図を読み取ることができる。
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7週 |
金属の強化法・材料試験法 |
機械試験法について説明できる、延性・脆性および靱性の意味を理解し、引張試験・硬さ試験を説明できる。
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8週 |
中間試験 |
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4thQ |
9週 |
材料の機械的性質 |
応力とひずみを説明できる。フックの法則を理解し、弾性係数を説明できる。引張試験の方法を理解し、応力ひずみ線図を説明できる。
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10週 |
転位と材料の変形・強度 |
転位について説明できる
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11週 |
転位と材料の変形・強度 |
転位について説明できる 材料の破壊について説明できる
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12週 |
転位と材料の変形・強度 |
疲労の意味を理解し,疲労試験とS-N曲線を説明できる
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13週 |
転位と材料の変形・強度 |
機械的性質と温度の関係およびクリープ現象を説明できる。
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14週 |
材料の機械的性質・材料試験法 |
機械試験法について説明できる、脆性および靱性の意味を理解し、衝撃試験による粘り強さの試験方法を説明できる。
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
試験返却 |
間違った所を理解する
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 100 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 15 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 15 |
専門的能力 | 60 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 60 |
分野横断的能力 | 25 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 25 |