概要:
熱はエネルギの一種であり、位置エネルギや運動エネルギ等の力学的エネルギと同一の単位を持つ物理量であること
が、ジュールの実験によって明らかにされた。そして、熱エネルギを効率よく連続的に力学的エネルギに変換する方
法が盛んに研究され、どのようにしたら効率のよい熱機関が出来るかが明らかになった。しかし、他方では熱エネル
ギをすべて仕事に変える、すなわち、効率100%の熱機関は実現不可能であることも証明された。
熱エネルギを仕事に変換する熱機関(エンジン)では、温度や圧力によって大きく体積が変化する気体の性質を利用
している。このような気体を作業物質と呼ぶが、熱機関に用いられる作業物質には、ガソリンエンジンの燃焼ガスの
ように理想気体として扱えるものと、蒸気タービンの蒸気のように理想気体とはほど遠い性質を示すものがある。熱
力学では、まず作業物質に熱を加えたり体積を変化させたりしたときに、作業物質がどのような性質を示すかという
作業物質の状態変化について学ぶ。さらに、状態変化の組み合わせによって、熱エネルギを連続的に力学的エネルギ
に変換する「サイクル」について学び、熱エネルギの仕事への変換の限界を示す第二法則やエントロピの概念を理解
する。
最後に、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ガスタービン、蒸気タービン等ではどのようなサイクルが実現さ
れているのかを明らかにし、熱効率向上の方法について考察する。
授業の進め方・方法:
座学.ポケコン(もしくは関数電卓)
注意点:
物理と化学,特に力学と物理化学に関する基礎知識が必要です
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 熱 | エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。 | 4 | |
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。 | 4 | |
熱機関の熱効率に関する計算ができる。 | 4 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 熱流体 | 熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。 | 4 | |
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。 | 4 | |
熱力学の第一法則を説明できる。 | 4 | |
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。 | 4 | |
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。 | 4 | |
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。 | 4 | |
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。 | 4 | |
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。 | 4 | |
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。 | 4 | |
熱力学の第二法則を説明できる。 | 4 | |
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。 | 4 | |
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。 | 4 | |
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。 | 4 | |
サイクルをT-s線図で表現できる。 | 4 | |