流体工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 群馬工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 流体工学Ⅰ
科目番号 4M011 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:演習で学ぶ「流体の力学」 (メカニカルエンジニアリング入門講座):西海 孝夫 (著),一柳 隆義 (著):秀和システム:978-4798067940
担当教員 矢口 久雄

到達目標

□ 流体の様々な性質やそれらを表すための物理量や概念について理解し,それらを用いた計算ができる.
□ 平面板や曲面板に作用する静水圧による力および物体にかかる浮力を計算ができる.
□ 連続の式やベルヌーイの式を理解し,管内流の解析やピトー静圧管を用いた流速測定などに応用できる.
□ 運動量方程式および角運動量方程式を用いて流体が物体に及ぼす力やトルクを計算できる.
□ 管路内流れにおけるレイノルズ数を計算し,層流と乱流の違いを判断できる.
□ エネルギー保存則を理解し,圧力損失や管摩擦係数を用いた基礎的な解析ができる.
□ 抗力と揚力について理解し,抗力係数や揚力係数を用いた計算ができる.
□ 複素速度ポテンシャルの定義や性質を説明でき,わき出しなどの簡単な例について流速などを計算できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1流体の様々な性質やそれらを表すための物理量や概念について十分に理解し,それらを用いた応用的な計算ができる.流体の様々な性質やそれらを表すための物理量や概念について理解し,それらを用いた基礎的な計算ができる.流体の様々な性質やそれらを表すための物理量や概念を用いた基礎的な計算ができない.
評価項目2静水圧や浮力に関する応用的な計算ができる.静水圧や浮力に関する基礎的な計算ができる.静水圧や浮力に関する基礎的な計算ができない.
評価項目3連続の式やベルヌーイの式を理解し,管内流の解析や流速測定などに関する応用的な問題を解くことができる.連続の式やベルヌーイの式を理解し,管内流の解析や流速測定などに関する基礎的な問題を解くことができる.連続の式やベルヌーイの式を理解せず,管内流の解析や流速測定などに関する基礎的な問題を解くことができない.
評価項目4運動量方程式および角運動量方程式を用いて,流体が物体に及ぼす力やトルクに関する応用的な計算ができる.運動量方程式および角運動量方程式を用いて,流体が物体に及ぼす力やトルクに関する基礎的な計算ができる.運動量方程式および角運動量方程式を用いて,流体が物体に及ぼす力やトルクに関する基礎的な計算ができない.
評価項目5管路内流れにおけるレイノルズ数を計算して層流と乱流の違いを判断するとともに,エネルギー保存則から圧力損失や管摩擦係数を用いた解析ができる.管路内流れにおけるレイノルズ数を計算し,層流と乱流の違いを判断できる.管路内流れにおけるレイノルズ数を計算し,層流と乱流の違いを判断できない.
評価項目6抗力と揚力について理解し,抗力係数や揚力係数を用いた応用的な計算ができる.抗力と揚力について理解し,抗力係数や揚力係数を用いた基礎的な計算ができる.抗力係数や揚力係数を用いた基礎的な計算ができない.
評価項目7複素速度ポテンシャルの定義や性質を十分に説明でき,応用的な計算ができる.複素速度ポテンシャルの定義や性質を説明でき,わき出しなどの簡単な例について流速などを計算できる.複素速度ポテンシャルの定義や性質を説明できず,簡単な計算もできない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
一般に流体とは液体や気体のような流れる物体の総称である.私たちは空気や水といった流体に囲まれて生きており,古くから流体の性質を巧みに利用することで生活を豊かなものとしてきた.流体工学では,流体の性質や運動を物理的に正しく理解するとともに,数式を用いた適切な取り扱いを身につけることを目的とする.流体工学(流体力学)は四力学と呼ばれる機械工学における基幹科目のひとつであるとともに,航空工学,原子力工学,土木工学,生命科学,海洋学,気象学などといった多くの分野とも密接に関連している.流体工学を学習することにより,ポンプ,配管,タービン,風車,エンジン,船舶,自動車,航空機などの設計に必要な知識が得られ,気象や海流などの自然現象についても理解を深めることができる.
授業の進め方・方法:
流体工学Iでは,静止した流体中の物体に作用する力や管内の流れに おける流体の運動などといった流体工学の基礎を学ぶ.
注意点:
【事前に行う準備学習】教科書の解説を読み,例題や演習問題を解くことで基礎的な理解を深めておくこと.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 流体の性質 ・流体の定義と力学的な取り扱いかたを説明できる.
・流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を説明できる.
2週 流体の静力学(1) ・絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる.
・静止流体中の圧力を計算できる.
・パスカルの原理を説明でき,油圧装置などに応用できる.
3週 流体の静力学(2) ・液柱計やマノメーターを用いて圧力を測定できる.
・マノメータに関する計算問題を解くことができる.
4週 流体の静力学(3) ・相対的静止の状態を説明できる.
・直線運動や回転運動する自由表面の形状を計算できる.
5週 壁面に作用する圧力(1) ・平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる.
6週 壁面に作用する圧力(2) ・アルキメデスの原理を理解し,浮力に関する計算ができる.
7週 流体の運動と一次元流れ(1) ・流線・流跡線・流脈線の定義を説明できる.
・連続の式を用いて流速と流量を計算できる.
・エネルギー保存則とベルヌーイの式を説明できる.
8週 中間試験
2ndQ
9週 流体の運動と一次元流れ(2) ・連続の式とベルヌーイの式を用いて流れを解析できる.
10週 流体の運動と一次元流れ(3) ・損失を考慮したベルヌーイの式について説明できる.
・損失をともなう流れについて簡単な計算ができる.
11週 ベルヌーイの定理の応用(1) ・ピトー管の測定原理を説明できる.
・ベンチュリ管やオリフィスの問題を解くことができる.
12週 ベルヌーイの定理の応用(2) ・トリチェリーの定理を導出し,説明できる.
・タンクからの流れ出る水の流速などを計算できる.
13週 運動量の法則とその応用(1) ・運動量の法則を理解し,流体が物体に及ぼす力について説明できる.
14週 運動量の法則とその応用(2) ・運動量の法則を用いて管やノズルに作用する力を計算できる.
15週 前期定期試験の答案返却
16週
後期
3rdQ
1週 運動量の法則とその応用(3) ・角運動量の法則を用いて,スプリンクラーの角速度などを計算できる.
2週 粘性流体の内部流れ(1) ・ニュートンの粘性法則を用いてせん断応力を計算できる.
・ニュートン流体と非ニュートン流体の違いを説明できる.
・ニュートンの粘性法則を用いた問題を解くことができる.
3週 粘性流体の内部流れ(2) ・ハーゲン・ポアズイユの法則を説明できる.
・円管内層流および円管内乱流の速度分布を説明できる.
4週 水平な直管路内の流れ(1) ・層流と乱流の違いを説明できる.
・レイノルズ数と臨界レイノルズ数を説明できる.
5週 水平な直管路内の流れ(2) ・なめらかな円管内の管摩擦係数を求めることができる.
・ダルシー・ワイズバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる.
・ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる.
6週 管路要素とバルブの損失 ・損失係数の定義を説明できる.
・ボルダ・カルノーの損失について説明できる.
7週 流れの相似則 ・レイノルズの相似則を説明できる.
・模型実験にレイノルズの相似則を応用できる.
8週 中間試験
4thQ
9週 物体まわりの流れ(1) ・流れの中の物体に作用する抗力および揚力について説明できる.
・抗力係数を用いて抗力を計算できる.
・揚力係数を用いて揚力を計算できる.
10週 物体まわりの流れ(2) ・カルマン渦についてストローハル数による周波数の計算ができる.
・境界層の概念や流れのはく離について説明できる.
11週 流体の運動 ・流線の微分方程式を解き,流線の概略図を描ける.
・デカルト座標と極座標における流速の関係式を説明できる.
・剛体渦(強制渦)と自由渦の性質について説明できる.
12週 二次元ポテンシャル流れ(1) ・速度ポテンシャルの定義を理解し,流速を求めることができる.
・流れ関数の定義と性質について説明できる.
・流れ関数を用いて流線の式を求めることができる.
13週 二次元ポテンシャル流れ(2) ・複素速度ポテンシャルの定義と性質について説明できる.
・一様流やわき出しの複素速度ポテンシャルを用いた計算ができる.
・角を回る流れの複素速度ポテンシャルについて解析できる.
14週 二次元ポテンシャル流れ(3) ・複素速度ポテンシャルの重ね合わせについて説明できる.
・半無限体や円柱周りの流れなどの解析ができる.
15週 後期定期試験の答案返却
16週

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力0000000
専門的能力80200000100
分野横断的能力0000000