概要:
一般に流体とは液体や気体のような流れる物体の総称である.私たちは空気や水といった流体に囲まれて生きており,古くから流体の性質を巧みに利用することで生活を豊かなものとしてきた.流体工学では,流体の性質や運動を物理的に正しく理解するとともに,数式を用いた適切な取り扱いを身につけることを目的とする.流体工学(流体力学)は四力学と呼ばれる機械工学における基幹科目のひとつであるとともに,航空工学,原子力工学,土木工学,生命科学,海洋学,気象学などといった多くの分野とも密接に関連している.流体工学を学習することにより,ポンプ,配管,タービン,風車,エンジン,船舶,自動車,航空機などの設計に必要な知識が得られ,気象や海流などの自然現象についても理解を深めることができる.
授業の進め方・方法:
流体工学Iでは,静止した流体中の物体に作用する力や管内の流れに おける流体の運動などといった流体工学の基礎を学ぶ.
注意点:
【事前に行う準備学習】教科書の解説を読み,例題や演習問題を解くことで基礎的な理解を深めておくこと.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
流体の性質 |
・流体の定義と力学的な取り扱いかたを説明できる. ・流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を説明できる.
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2週 |
流体の静力学(1) |
・絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる. ・静止流体中の圧力を計算できる. ・パスカルの原理を説明でき,油圧装置などに応用できる.
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3週 |
流体の静力学(2) |
・液柱計やマノメーターを用いて圧力を測定できる. ・マノメータに関する計算問題を解くことができる.
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4週 |
流体の静力学(3) |
・相対的静止の状態を説明できる. ・直線運動や回転運動する自由表面の形状を計算できる.
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5週 |
壁面に作用する圧力(1) |
・平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる.
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6週 |
壁面に作用する圧力(2) |
・アルキメデスの原理を理解し,浮力に関する計算ができる.
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7週 |
流体の運動と一次元流れ(1) |
・流線・流跡線・流脈線の定義を説明できる. ・連続の式を用いて流速と流量を計算できる. ・エネルギー保存則とベルヌーイの式を説明できる.
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
流体の運動と一次元流れ(2) |
・連続の式とベルヌーイの式を用いて流れを解析できる.
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10週 |
流体の運動と一次元流れ(3) |
・損失を考慮したベルヌーイの式について説明できる. ・損失をともなう流れについて簡単な計算ができる.
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11週 |
ベルヌーイの定理の応用(1) |
・ピトー管の測定原理を説明できる. ・ベンチュリ管やオリフィスの問題を解くことができる.
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12週 |
ベルヌーイの定理の応用(2) |
・トリチェリーの定理を導出し,説明できる. ・タンクからの流れ出る水の流速などを計算できる.
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13週 |
運動量の法則とその応用(1) |
・運動量の法則を理解し,流体が物体に及ぼす力について説明できる.
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14週 |
運動量の法則とその応用(2) |
・運動量の法則を用いて管やノズルに作用する力を計算できる.
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15週 |
前期定期試験の答案返却 |
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16週 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
運動量の法則とその応用(3) |
・角運動量の法則を用いて,スプリンクラーの角速度などを計算できる.
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2週 |
粘性流体の内部流れ(1) |
・ニュートンの粘性法則を用いてせん断応力を計算できる. ・ニュートン流体と非ニュートン流体の違いを説明できる. ・ニュートンの粘性法則を用いた問題を解くことができる.
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3週 |
粘性流体の内部流れ(2) |
・ハーゲン・ポアズイユの法則を説明できる. ・円管内層流および円管内乱流の速度分布を説明できる.
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4週 |
水平な直管路内の流れ(1) |
・層流と乱流の違いを説明できる. ・レイノルズ数と臨界レイノルズ数を説明できる.
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5週 |
水平な直管路内の流れ(2) |
・なめらかな円管内の管摩擦係数を求めることができる. ・ダルシー・ワイズバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる. ・ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる.
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6週 |
管路要素とバルブの損失 |
・損失係数の定義を説明できる. ・ボルダ・カルノーの損失について説明できる.
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7週 |
流れの相似則 |
・レイノルズの相似則を説明できる. ・模型実験にレイノルズの相似則を応用できる.
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8週 |
中間試験 |
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4thQ |
9週 |
物体まわりの流れ(1) |
・流れの中の物体に作用する抗力および揚力について説明できる. ・抗力係数を用いて抗力を計算できる. ・揚力係数を用いて揚力を計算できる.
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10週 |
物体まわりの流れ(2) |
・カルマン渦についてストローハル数による周波数の計算ができる. ・境界層の概念や流れのはく離について説明できる.
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11週 |
流体の運動 |
・流線の微分方程式を解き,流線の概略図を描ける. ・デカルト座標と極座標における流速の関係式を説明できる. ・剛体渦(強制渦)と自由渦の性質について説明できる.
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12週 |
二次元ポテンシャル流れ(1) |
・速度ポテンシャルの定義を理解し,流速を求めることができる. ・流れ関数の定義と性質について説明できる. ・流れ関数を用いて流線の式を求めることができる.
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13週 |
二次元ポテンシャル流れ(2) |
・複素速度ポテンシャルの定義と性質について説明できる. ・一様流やわき出しの複素速度ポテンシャルを用いた計算ができる. ・角を回る流れの複素速度ポテンシャルについて解析できる.
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14週 |
二次元ポテンシャル流れ(3) |
・複素速度ポテンシャルの重ね合わせについて説明できる. ・半無限体や円柱周りの流れなどの解析ができる.
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15週 |
後期定期試験の答案返却 |
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 熱流体 | 流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。 | 4 | 前1,前4,後2,後3,後12,後13,後14 |
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。 | 4 | 前1,前4,後2,後3,後12,後13,後14 |
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。 | 4 | 後2,後3 |
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。 | 4 | 前1,前4 |
パスカルの原理を説明できる。 | 4 | 前1,前3 |
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。 | 4 | 前3 |
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。 | 4 | 前5,前6 |
物体に作用する浮力を計算できる。 | 4 | 前7 |
定常流と非定常流の違いを説明できる。 | 4 | 後2,後3 |
流線と流管の定義を説明できる。 | 4 | 前9,後11,後12,後13,後14 |
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。 | 4 | 前9,前10,前11,前12,前13,前14,後1,後2,後3,後5,後6 |
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。 | 4 | 前9,前10,前11,前12,前13,前14,後3,後5,後6 |
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。 | 4 | 前13,前14,後1,後6 |
層流と乱流の違いを説明できる。 | 4 | 後4,後5 |
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。 | 4 | 後4,後5,後7,後8 |
ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。 | 4 | 後3,後4,後5,後8 |
ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。 | 4 | 後5,後8 |
抗力について理解し、抗力係数を用いて抗力を計算できる。 | 4 | 後9 |
揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。 | 4 | 後9 |