概要:
機械工学におけるエンジニアリング・デザイン教育とは工学上,社会に貢献できる設計力を身につける教育である.本校機械工学科では与えられた制約条件のもとで設計計算とCAD/CAE/ラピッド成形によって歯車減速機構を有するオリジナルデザイン型電動ウインチ車をグループごとに設計するカリキュラムである.
材教育方針は,機械工作実習,機構学,材料力学,機械設計法などで学んだ知識を各自が総合的に活用するとともに,グループ学習で互いの解決方法を評価し合いながら3次元造形機を用いてチームワーク力で完成を目指すものである.さらに,途中に与えられた追加課題に対し,役割分担を明確にしながらチームワークを尊重して対応する力を求め,教員とのコミュニケーションや完成品に対するその解決方法を他者に説明できる設計書とプレゼンテーションで相互評価を取り入れた実践力を身につける能力を養う.
授業の進め方・方法:
Society5.0に対応した電動ウインチ車を設計し,3Dプリンタを活用して試作する.
グループに分かれて各自に設定された減速比による3段歯車減速機構をポンチ絵から2D/3D-CAD,CAEを通じて3次元造形機で製作するために,設計に必要な計算手法をプログラム化し,電池で駆動するウインチリモコンカーをグループで設定された重量以内の構造を探索する.
さらに,実践的な問題対応能力を養うため,追加の設計課題に対してチームワークを構築しながら,知的財産権を念頭に置き,創造力を活用する設計力を求める.
具体的には,所定の指示された重量以内の3段歯車減速機を作製するためモジュールを小さくすることで歯車を小型化させること、歯数とモジュールを組み合わせること、ギアボックスの大きさから内部寸法を決定すること等によって、3次元CAD上での設計ができるようになることを目指す.
設計上の制約条件を満たすことを示すための,ギア比,寸法,歯車強度,ベアリング寿命プログラムを作製できること.
合理的な設計ができるよう,チームごとに特許や意匠の知的財産権を利用して,歯車やハウジングにデザインを活用できること.
自ら設計したCADデータをもとに,設計値が妥当であったか,ハウジングを含めてCAEで応力分布と安全率分布を示して強度を評価できること.
設計内容をチームごとに3次元造形機で自作し,規定寸法を満たしていることを確認し,グループごとに所定の時間のプレゼンテーションビデオを作成してプレゼンテーションした内容を相互評価する.
注意点:
総合実技科目であり,授業時間以外の作業が必須である.設計計算,CAD,プログラムは授業外で進めること.学外での3DCADはSolidworksのStudent Licenseを利用すること.
教科書・教材・参考書 等】
参考書:Solidworks実習:岸佐年:森北出版:9784627666610
参考書:やさしく学べるC言語入門:皆本晃弥 :サイエンス社:4781910718
学科のSolidworks関係の書籍を利用するほか,課題等はプリントとホームページに掲載する
参考書は3年次に用いた情報処理と設計製図で用いたテキストである.適宜,持参すること.
【授業形式・視聴覚・機器等の活用】
設計実習室にて,コンピュータを用いたプログラミングとCAD,3次元造形機の利用を中心とする.
【メッセージ】
3年次までの設計製図能力と,プログラミング能力が必要となる.時間外の計算や製図などを積極的に行うことが望ましい.
【URLアドレス】
教材ファイル:Teamsのクラス資料を参考にすること
【事前に行う準備学習】
CAD,プログラミング,設計製図,材料力学、機構学、工作実習
【備考】
各専攻分野における専門科目を総合的に学習することにより、技術的課題が解決できる.
自然科学、基礎工学、専門工学を総合的に活用し、創造性を発揮して現実の技術的課題の解決に応用できる.
設計値は設定された時期ごとにExcelの表で管理するため、授業中に都度、入力すること
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
設計のコンセプト 設計計算書の理解
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機械設計の方法を理解できる。 標準規格の意義を理解できる。
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2週 |
歯車減速機構の構造理解 設計する3段歯車減速機の構造を理解する. グループでモーターのトルクから目的の減速比になるように速比を割り振り,摩擦車として,歯車径で減速構造を作り出す。その際,設計コンセプトを考え,それらの構造をポンチ絵で示す. 設計計画書のひな形を配信し,授業の概要をイメージする. |
機械設計の方法を理解できる。 標準規格の意義を理解できる。 許容応力、安全率、疲労破壊、応力集中の意味を説明できる。 部品のスケッチ図を書くことができる。
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3週 |
2D-CAD ウインチ車の減速比を計算し,構造が所定の寸法以内に収まる構造とする.
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機械設計の方法を理解できる。 標準規格の意義を理解できる。 許容応力、安全率、疲労破壊、応力集中の意味を説明できる。
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4週 |
固定支持部と軸は最外寸法に含まない.その中で最も大きなトルクを出せる構造になるよう設計する. 設計部品は軸,歯車,ハウジングとする. |
機械設計の方法を理解できる。 標準規格の意義を理解できる。 許容応力、安全率、疲労破壊、応力集中の意味を説明できる。
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5週 |
ハウジングには注油口,オイル窓,意匠,特許等を含む独自のデザインを設計すること. 3D-CADで歯車を作成する. |
機械設計の方法を理解できる。 標準規格の意義を理解できる。 許容応力、安全率、疲労破壊、応力集中の意味を説明できる。
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6週 |
減速比からどれだけのトルクを作り出せるか計算し,巻き上げる重りを想定し,強度計算を行っていく.3Dプリンタで歯車を作成する. 3Dプリンタの使用方法を学習し,他者とスケジュール調整をしながら,使用すること。なお,独占して使用しないこと.
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機械設計の方法を理解できる。 標準規格の意義を理解できる。 許容応力、安全率、疲労破壊、応力集中の意味を説明できる。
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7週 |
C言語プログラムによって設計計算を行う。 3DCADで作成した歯車と軸の嵌め合いを求める。 |
CADシステムの役割と構成を説明できる。 数値計算の基礎が理解できる
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8週 |
ギア比の計算から行い、歯車強度計算を行う。 3DCADの公差を考慮して設計公差を入れる。 |
ボルト・ナット、軸継手、軸受、歯車などの図面を作成できる。 歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプなどの主要部を設計できる。
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2ndQ |
9週 |
ギア比の計算から行い、歯車強度、軸強度計算を行う。 歯車にキー溝を入れて各1個3Dプリンタで打ち出す。 |
ボルト・ナット、軸継手、軸受、歯車などの図面を作成できる。 歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプなどの主要部を設計できる。 軸の種類と用途を理解できる。 軸の強度、変形、危険速度を計算できる。
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10週 |
軸強度が計算できたら、想定面ごとに曲げモーメントを求める。 歯車にキー溝を入れて個人ごとに3Dプリンタで試し打ちを行う。 |
ボルト・ナット、軸継手、軸受、歯車などの図面を作成できる。 歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプなどの主要部を設計できる。 軸の種類と用途を理解できる。 軸の強度、変形、危険速度を計算できる。
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11週 |
計算したモーメントから軸の危険断面を調べ、EXCELでBMDを図式化する。 3Dプリンタで作成した歯車と軸の嵌め合いを求める。 |
ボルト・ナット、軸継手、軸受、歯車などの図面を作成できる。 歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプなどの主要部を設計できる。 軸の種類と用途を理解できる。 軸の強度、変形、危険速度を計算できる。
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12週 |
プログラムとExcelによって求めた計算から,設計計画書を作成する。 3Dプリンタで歯車と軸とキーを製作する。 |
ボルト・ナット、軸継手、軸受、歯車などの図面を作成できる。 歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプなどの主要部を設計できる。 軸の種類と用途を理解できる。 軸の強度、変形、危険速度を計算できる。
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13週 |
当初配布された設計計画書をひな形として、空欄に指示や数値を記載していく。 ベアリングの計算を行う。 |
ボルト・ナット、軸継手、軸受、歯車などの図面を作成できる。 歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプなどの主要部を設計できる。 軸の種類と用途を理解できる。 軸の強度、変形、危険速度を計算できる。
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14週 |
歯車と軸の計算ができれば、軸受けの計算をする。 ベアリングの発注を行う |
ボルト・ナット、軸継手、軸受、歯車などの図面を作成できる。 歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプなどの主要部を設計できる。 滑り軸受の構造と種類を説明できる。 転がり軸受の構造、種類、寿命を説明できる。
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15週 |
プログラムとExcelから設計計画書を作成する。 班の軸と歯車を3Dプリンタで作成する |
ボルト・ナット、軸継手、軸受、歯車などの図面を作成できる。 歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプなどの主要部を設計できる。 滑り軸受の構造と種類を説明できる。 転がり軸受の構造、種類、寿命を説明できる。
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16週 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
3D-CAD 設計計算書に基づき,歯車,軸,軸受け,ハウジングの設計を3DーCADで行う。 |
CADシステムの役割と構成を説明できる。 CADシステムの基本機能を理解し、利用できる。 ボルト・ナット、軸継手、軸受、歯車などの図面を作成できる。
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2週 |
設計変更への適応力を養うため、設計変更を行い、計算しなおす。 |
CADシステムの役割と構成を説明できる。 CADシステムの基本機能を理解し、利用できる。 ボルト・ナット、軸継手、軸受、歯車などの図面を作成できる。
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3週 |
設計変更への適応力を養うため、設計変更を行い、計算しなおす。 |
CADシステムの役割と構成を説明できる。 CADシステムの基本機能を理解し、利用できる。 ボルト・ナット、軸継手、軸受、歯車などの図面を作成できる。
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4週 |
知的財産権の活用 特許庁と弁理士会の派遣授業を活用し,特許と意匠を学習する.その知識を活かし,internet検索する。 |
技術者を目指す者として、知的財産に関する知識(関連法案を含む)、技能、態度を身につける。 知的財産の社会的意義や重要性を技術者として理解し、知的創造サイクルを支えることができる。
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5週 |
電動ウインチカーにデザインを適用する.評価は件数と企業の資本金総額で行い,設計報告書に記載する. |
技術者を目指す者として、知的財産に関する知識(関連法案を含む)、技能、態度を身につける。 知的財産の社会的意義や重要性を技術者として理解し、知的創造サイクルを支えることができる。
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6週 |
ハウジングの強度計算をCAEで行い,所定の安全率を満たす構造にする。 公差を考慮してハウジングを3Dプリンタで作成する。 |
CADシステムの基本機能を理解し、利用できる。
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7週 |
解析結果は設計報告書に記載する. 歯車とハウジングは3Dプリンタで随時打ち出して構造を決定する. |
歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプなどの部品図と組立図を作成できる。
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8週 |
軸は所定の方法で加工し,キー溝を設け,伝達動力が発揮されるようにする. |
歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプなどの部品図と組立図を作成できる。
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4thQ |
9週 |
3D設計の概略ができた時点で,設計仕様の変更を与えるので,変更に適用した設計をし直すこと. |
歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプなどの部品図と組立図を作成できる。
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10週 |
ギアボックスを連結させ,入力軸から定格回転数を与え,出力軸の減速精度を求める |
歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプなどの部品図と組立図を作成できる。
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11週 |
連結させる方法を検討し、デモンストレーションできるようにする。 |
歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプなどの部品図と組立図を作成できる。 情報技術の進展が社会に及ぼす影響、及び個人情報保護法、著作権などの法律との関連について理解できる。
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12週 |
1)減速比を設定し,精度を求める実験を行う
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連結させたギアボックスのギア比を確認し、設計通りの製作ができたか相互評価する。
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13週 |
2)より大きなトルクをかけられるか検討する。 ・ウエイトを巻き上げる試技を行う ・試技を行い,合計のウエイトを競う |
力の表し方が理解できたか。 設計通りの製作ができたか、公開し、相互評価を行う。
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14週 |
設計計算の吟味と構造の検査を行い,設計報告書を完成させる。 |
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を理解し、社会における技術者の役割と責任を説明できる。 説明責任、内部告発、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的事項を理解し、説明できる。 技術者を目指す者として、社会での行動規範としての技術者倫理を理解し、問題への適切な対応力(どうのように問題を捉え、考え、行動するか)を身に付けて、課題解決のプロセスを実践できる。 歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプなどの主要部を設計できる。
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15週 |
1分間のPRビデオを作成し,それを含めてpptで設計内容をプレゼンし,デザイン,強度,チームワークで相互評価を行う. |
社会性、社会的責任、コンプライアンスが強く求められている時代の変化の中で、技術者として信用失墜の禁止と公益の確保が考慮することができる。 技術者を目指す者として持続可能な開発を通じて全ての人々が安心して暮らせる未来を実現するために配慮することができる。 技術者を目指す者として、さまざまな課題に力を合わせて取り組んでいくことができる。 情報の意味と情報を適切に収集・処理・発信するための基礎的な知識を理解し活用できる。 論理演算と進数変換の仕組みを理解し、演算できる。
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16週 |
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