流体工学Ⅱ

科目基礎情報

学校 群馬工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 流体工学Ⅱ
科目番号 5M009 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:JSME テキストシリーズ「流体力学」,日本機械学会,978-4-88898-333-4
担当教員 矢口 久雄

到達目標

□ ラグランジュ微分や流れを記述するための概念および数学的方法を理解し,それを用いた計算ができる.
□ 連続の式について一般的な形での導出ができ,さらに非圧縮性流れにおける連続の式について説明できる.
□ 理想流体の特徴を理解し,オイラーの方程式について説明できる.
□ 粘性流体の特徴を理解し,ナビエ・ストークス方程式について説明できる.
□ ナビエ・ストークス方程式の簡単な場合の解析ができる.
□ ナビエ・ストークス方程式の無次元化を理解し,レイノルズの相似則について説明できる.
□ 境界層の概念を理解し,境界層方程式について説明できる.
□ 乱流について基本的な説明ができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1ラグランジュ微分や流線などの流れを記述するための概念および数学的方法を用いた応用的な計算ができる.ラグランジュ微分や流線などの流れを記述するための概念および数学的方法を用いた基礎的な計算ができる.ラグランジュ微分や流線などの流れを記述するための概念および数学的方法を用いた基礎的な計算ができない.
評価項目2連続の式について一般的な形での導出ができ,さらに非圧縮性流れにおける連続の式についても説明できる.非圧縮性流れにおける連続の式について説明できる.非圧縮性流れにおける連続の式について説明できない.
評価項目3理想流体及びオイラーの方程式について応用的な説明ができる.理想流体及びオイラーの方程式について基礎的な説明ができる.理想流体及びオイラーの方程式について基礎的な説明ができない.
評価項目4ナビエ・ストークス方程式を用いた応用的な解析ができる.ナビエ・ストークス方程式を用いた基礎的な解析ができる.ナビエ・ストークス方程式を用いた基礎的な解析ができない.
評価項目5レイノルズの相似則について,ナビエ・ストークス方程式の無次元化を用いた詳細な説明ができる.レイノルズの相似則について大まかな説明ができる.レイノルズの相似則について説明ができない.
評価項目6境界層の概念及び境界層方程式について応用的な説明ができる.境界層の概念及び境界層方程式について基礎的な説明ができる.境界層の概念及び境界層方程式について基礎的な説明ができない.
評価項目7乱流について基本的な説明ができ,レイノルズ平均などを用いた計算ができる.乱流について基本的な説明ができる.乱流について基本的な説明ができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 流体工学IIでは,流体工学Iで学修した内容をさらに一般化し,それらを基礎とする流れの概念や解析について包括的な学修を進める.
授業の進め方・方法:
 流れの一般的な概念や解析方法について学習を進める.公式の暗記に頼るのではなく,物理的な原理や法則を「理解する」ことが強く求められる.
注意点:
【事前に行う準備学習】本科目は学修単位のため,授業時間の30時間に加えて,自学自習時間が60時間必要である.具体的には,前回の授業の復習やノートのまとめ,レポート作成などを自学自習にて行うこと.

 受講するにあたって,4年生の流体工学Iで学んだ内容を良く理解していることはもちろんであるが,内容が流体工学Iよりもさらに数学的になるため,微積分,ベクトル,複素数などを正しく理解し,その基礎的な取り扱いをしっかりと身につけていることが必要である.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 流れの基礎 ・ラグランジュ表示とオイラー表示の違いについて説明できる.
・ラグランジュ微分について理解し,そのオイラー的な表現式を導出できる.
・非圧縮性流れの定義をラグランジュ微分を用いて説明できる.
2週 連続の式 ・連続の式を一般的な形で導出できる.
・非圧縮性流れにおける連続の式を導出できる.
3週 ナビエ・ストークス方程式 ・ナヴィエ・ストークス方程式の各項の意味を説明できる.
・ナビエ・ストークス方程式のベクトル表示を成分表示に直すことができる.
4週 オイラーの平衡方程式(1) ・ナビエ・ストークス方程式からオイラーの平衡方程式を導出できる.
・オイラーの平衡方程式から静止流体中における圧力の式を導出できる.
・オイラーの平衡方程式を用いて静止流体中では等ポテンシャル面と外力が直交することを説明できる.
5週 オイラーの平衡方程式(2) ・静止流体の液面形状を計算できる.
6週 オイラーの運動方程式(1) ・ナビエ・ストークス方程式からオイラーの運動方程式を導出できる.
・オイラーの運動方程式からベルヌーイの定理を導出できる.
7週 オイラーの運動方程式(2) ・ナビエ・ストークス方程式からオイラーの運動方程式を導出できる.
・オイラーの運動方程式からベルヌーイの定理を導出できる.
8週 中間試験
2ndQ
9週 非圧縮性流れにおけるナビエ・ストークス方程式の厳密解(1) ・非圧縮性流れにおけるナビエ・ストークス方程式を説明できる.
・二枚の平行平板間の流れについての厳密解を求める計算ができる.
・クエット流れと2次元ポアズイユ流れについて速度分布のグラフを書くことができる.
10週 非圧縮性流れにおけるナビエ・ストークス方程式の厳密解(2) ・円筒座標系における連続の式及びナビエ・ストークス方程式からハーゲン・ポアズイユ流れの速度分布を導出できる.
・垂直な壁面において重力が作用して流れる薄膜の流れの速度分布を導出できる.
11週 ナビエ・ストークス方程式の無次元化 ・非圧縮性流れにおけるナビエ・ストークス方程式を無次元化できる.
・無次元化されたナビエ・ストークス方程式を持ちてレイノルズの相似則を説明できる.
12週 レイノルズ数の物理的意味 ・オーダー評価からレイノルズ数が慣性力と粘性力の比となることを示すことができる.
・レイノルズ数を用いた乱流と層流の区別について説明できる.
13週 境界層(1) ・境界層の概念について説明できる.
・オーダー評価から境界層方程式を導出できる.
14週 境界層(2) ・排除厚さ,運動量厚さ,エネルギー厚さについて計算できる.
・境界層のはく離や制御について説明できる.
・乱流境界層について説明できる.
・レイノルズ平均を用いた計算ができる.
15週 定期試験の答案返却,まとめ
16週

評価割合

試験課題合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力0000000
専門的能力80200000100
分野横断的能力0000000