流体工学Ⅱ

科目基礎情報

学校 群馬工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 流体工学Ⅱ
科目番号 0046 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 JSME テキストシリーズ「流体力学」:日本機械学会:丸善:978-4888981194
担当教員 矢口 久雄

到達目標

□ ラグランジュ微分や流れを記述するための概念および数学的方法を理解し,それを用いた計算ができる.
□ 連続の式について一般的な形での導出ができ,さらに非圧縮性流れにおける連続の式について説明できる.
□ 理想流体の特徴を理解し,オイラーの方程式について説明できる.
□ 粘性流体の特徴を理解し,ナビエ・ストークス方程式について説明できる.
□ ナビエ・ストークス方程式の簡単な場合の解析ができる.
□ ナビエ・ストークス方程式の無次元化を理解し,レイノルズの相似則について説明できる.
□ 境界層の概念を理解し,境界層方程式について説明できる.
□ 循環や渦度の概念を理解し,それらを計算で求めることができる.
□ ポテンシャル流れについて理解し,それを用いた簡単な解析ができる.
□ 乱流について基本的な説明ができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1ラグランジュ微分や流線などの流れを記述するための概念および数学的方法を用いた応用的な計算ができる.ラグランジュ微分や流線などの流れを記述するための概念および数学的方法を用いた基礎的な計算ができる.ラグランジュ微分や流線などの流れを記述するための概念および数学的方法を用いた基礎的な計算ができない.
評価項目2連続の式について一般的な形での導出ができ,さらに非圧縮性流れにおける連続の式についても説明できる.非圧縮性流れにおける連続の式について説明できる.非圧縮性流れにおける連続の式について説明できない.
評価項目3理想流体及びオイラーの方程式について応用的な説明ができる.理想流体及びオイラーの方程式について基礎的な説明ができる.理想流体及びオイラーの方程式について基礎的な説明ができない.
評価項目4ナビエ・ストークス方程式を用いた応用的な解析ができる.ナビエ・ストークス方程式を用いた基礎的な解析ができる.ナビエ・ストークス方程式を用いた基礎的な解析ができない.
評価項目5レイノルズの相似則について,ナビエ・ストークス方程式の無次元化を用いた詳細な説明ができる.レイノルズの相似則について大まかな説明ができる.レイノルズの相似則について説明ができない.
評価項目6境界層の概念及び境界層方程式について応用的な説明ができる.境界層の概念及び境界層方程式について基礎的な説明ができる.境界層の概念及び境界層方程式について基礎的な説明ができない.
評価項目7循環や渦度を計算でき,それらを用いた応用的な問題を解くことができる.循環や渦度を計算することができる.循環や渦度を計算することができない.
評価項目8ポテンシャル流れについての応用的な解析ができる.ポテンシャル流れについての基礎的な解析ができる.ポテンシャル流れについての基礎的な解析ができない.
評価項目9乱流について基本的な説明ができ,レイノルズ平均などを用いた計算ができる.乱流について基本的な説明ができる.乱流について基本的な説明ができない.

学科の到達目標項目との関係

準学士課程 B-1 説明 閉じる
準学士課程 C 説明 閉じる

教育方法等

概要:
流体工学IIでは,流体工学Iで学修した内容をさらに一般化し,流れの支配方程式である「連続の式」及び「ナヴィエ・ストークス方程式」を一般的な形で導出するとともに,それらを基礎とする流れの概念や解析について包括的な学修を進める.さらに,速度ポテンシャルや流れ関数,複素速度ポテンシャルなどを用いた応用数学的な解析手法についても学修する.
授業の進め方・方法:
流れの一般的な概念や解析方法について学習を進める.公式の暗記に頼るのではなく,物理的な原理や法則を「理解する」ことが強く求められる.
注意点:
受講するにあたって,流体工学Iで学んだ内容を良く理解していることはもちろんであるが,内容が流体工学Iよりもさらに数学的になるため,微積分,ベクトル,複素数などを正しく理解し,その基礎的な取り扱いをしっかりと身につけていることが必要である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 流れの基礎 ・ラグランジュ表示とオイラー表示の違いについて説明できる.
・ラグランジュ微分について理解し,そのオイラー的な表現式を導出できる.
・非圧縮性流れの定義をラグランジュ微分を用いて説明できる.
2週 連続の式 ・連続の式を一般的な形で導出できる.
・非圧縮性流れにおける連続の式を導出できる.
3週 流体の変形 ・伸びひずみ速度とせん断ひずみ速度の定義を説明できる.
4週 流体の回転 ・渦度の定義を説明できる.
・流速から渦度を求める計算ができる.
・剛体渦の角速度と渦度の関係を説明できる.
5週 速度勾配テンソル ・速度勾配テンソルについて説明できる.
・速度勾配テンソルが変形と回転を表すテンソルに分解できることを説明できる.
6週 応力テンソル ・応力テンソルの定義と性質について説明できる.
7週 速度勾配テンソルと応力テンソルの関係 ・ニュートン流体の仮定から速度勾配テンソルと応力テンソルの関係を導出できる.
8週 中間試験
2ndQ
9週 ナヴィエ・ストークス方程式の導出(1) ・応力テンソルを用いて任意の面に作用する応力ベクトルを求める計算ができる.
10週 ナヴィエ・ストークス方程式の導出(2) ・伸びひずみ速度,せん断ひずみ速度,渦度を用いて応力テンソルの各成分を表すことができる.
11週 ナヴィエ・ストークス方程式の導出(3) ・ナヴィエ・ストークス方程式の導出について説明できる.
・ナヴィエ・ストークス方程式のベクトル表示を成分表示に直すことができる.
12週 オイラーの平衡方程式 ・ナヴィエ・ストークス方程式からオイラーの平衡方程式を導出できる.
・オイラーの平衡方程式から静止流体中における圧力の式を導出できる.
・オイラーの平衡方程式を用いて静止流体中では等ポテンシャル面と外力が直交することを説明できる.
・静止流体の液面形状を計算できる.
13週 オイラーの運動方程式およびベルヌーイの定理 ・ナヴィエ・ストークス方程式からオイラーの運動方程式を導出できる.
・オイラーの運動方程式からベルヌーイの定理を導出できる.
14週 非圧縮性流れにおけるナヴィエ・ストークス方程式の厳密解(1) ・非圧縮性流れにおけるナヴィエ・ストークス方程式を説明できる.
・二枚の平行平板間の流れについての厳密解を求める計算ができる.
・クエット流れと2次元ポアズイユ流れについて速度分布のグラフを書くことができる.
15週 非圧縮性流れにおけるナヴィエ・ストークス方程式の厳密解(2) ・円筒座標系における連続の式及びナヴィエ・ストークス方程式からハーゲン・ポアズイユ流れの速度分布を導出できる.
16週
後期
3rdQ
1週 ナヴィエ・ストークス方程式の無次元化 ・非圧縮性流れにおけるナヴィエ・ストークス方程式を無次元化できる.
・無次元化されたナヴィエ・ストークス方程式を持ちてレイノルズの相似則を説明できる.
2週 レイノルズ数の物理的意味 ・オーダー評価からレイノルズ数が慣性力と粘性力の比となることを示すことができる.
・レイノルズ数を用いた乱流と層流の区別について説明できる.
3週 境界層(1) ・境界層の概念について説明できる.
・排除厚さ,運動量厚さ,エネルギー厚さについて計算できる.
4週 境界層(2) ・オーダー評価から境界層方程式を導出できる.
5週 境界層(3) ・境界層のはく離や制御について説明できる.
・乱流境界層について説明できる.
・レイノルズ平均を用いた計算ができる.
6週 循環と渦度 ・循環を求める計算ができる.
・循環と渦度の関係を説明できる.
7週 速度ポテンシャル ・速度ポテンシャルの定義について説明できる.
・渦なし流れであることと速度ポテンシャルの存在することが必要十分条件の関係にあることを説明できる.
8週 中間試験
4thQ
9週 流れ関数 ・流れ関数の定義と性質について説明できる.
・流れ関数と流線の関係を説明できる.
10週 複素速度ポテンシャル(1) ・複素速度ポテンシャルの定義について説明できる.
・複素速度ポテンシャルの基本的な性質を説明できる.
・一様流及び傾きを有する場合の一様流について解析ができる.
・角をまわる流れについて解析ができる.
11週 複素速度ポテンシャル(2) ・わき出し及び吸い込みに関する解析ができる.
・2重極について解析ができる.
12週 複素速度ポテンシャル(3) ・複素速度ポテンシャルの重ね合わせについて説明できる.
・一様流中に置かれた円柱まわりの流れについて解析ができる.
13週 複素速度ポテンシャル(4) ・一様流中に置かれた半無限体まわりの流れについて解析ができる.
・極座標系の速度ポテンシャル及び流れについて説明できる.
・自由渦について解析ができる.
14週 複素速度ポテンシャル(5) ・一様流中に置かれた回転円柱まわりの流れについて解析ができる.
・ダランベールのパラドックス及びマグヌス効果について説明できる.
15週 等角写像 ・等角写像の性質について基礎的な説明ができる.
・ジューコフスキー変換及びジューコフスキー翼について説明できる.
16週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力0000000
専門的能力80000020100
分野横断的能力0000000