到達目標
□ 静電場の基本法則と電位に対するポアソン方程式との関係が理解できる。
□ 電気容量の意味を理解し、簡単な導体系(同心球導体など)の電気容量の計算ができる。
□ 静電エネルギーの意味を理解し、簡単な帯電導体の静電エネルギーの計算ができる。
□ 磁界中を流れる電流に力が働くこと、およびその基礎となるローレンツ力を正しく理解できる。
□ ビオ・サバールの法則を理解し、これを用いて、その簡単な応用問題を解くことができる。
□ アンペールの法則を理解し、ソレノイドなどの簡単な電流系がつくる磁界の計算に応用できる。
□ ベクトルポテンシャルの意味を、電位と同じ立場から理解できる。
□ 電磁誘導の法則を物理現象として理解し、簡単な応用問題を解くことができる。
□ 磁気エネルギーの意味を理解し、簡単な電流回路系でその計算ができる。
□ マクスウェル方程式を微分形および積分形で書くことができ、式の物理的意味が説明できる。
□ ポインティングベクトルが電磁場に対するエネルギー保存則との関連で捉えることができる。
□ マクスウェル方程式から、一軸方向へ伝わる電場および磁束密度に対する波動方程式を導くことができる。
□ 平面波の電場および磁束密度と波の伝わる方向との関係が正しく認識できる。
□ 波数の意味を理解し、これと振動数および波の伝わる速さとの関係を把握できる。
□ 平面波がエネルギーを伝えることが、ポインティングベクトルを用いて、定量的に理解できる。
□ 分極ベクトルと誘電体の電束密度の関係から物質の誘電率が正しく理解できる。
□ 物質中の静電場の法則から電束密度と電界に対する境界条件を導くことができる。
□ 分極ベクトルと分極電荷密度の関係が理解できる。
□ 誘電体を挟んだコンデンサーの電気容量の計算が簡単ないくつかの例についてできる。
□ 誘電体に対する鏡像法の考え方が理解できる。
□ 磁化ベクトルと磁化電流の関係が理解できる。
□ 物質中の静磁場の法則から磁束密度と磁場に対する境界条件を導くことができる。
□ 磁化ベクトルと磁性体中の磁場の関係から物質の透磁率が正しく理解できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 込み入った配置を持つ電流系についても、ビオ・サバールの法則またはアンペールの法則を用いて磁場を計算することができる。 | 簡単な電流系がつくる磁場を、ビオ・サバールの法則またはアンペールの法則を用いて計算することができる。 | 簡単な電流系がつくる磁場を、ビオ・サバールの法則またはアンペールの法則を用いて計算することができない。
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評価項目2 | 複雑な状況設定の下であっても、ローレンツ力に基づいて、磁場中の荷電粒子の運動が理解できる。 | ローレンツ力に基づいて、磁場中の荷電粒子の運動が理解できる。 | ローレンツ力に基づいて、磁場中の荷電粒子の運動が理解できない。 |
評価項目3 | 電磁誘導の法則を理解し、高度な応用ができる。 | 電磁誘導の法則を理解し、簡単な応用ができる。 | 電磁誘導の法則を理解し、簡単な応用ができない。 |
評価項目4 | マクスウェルの方程式に基づいて、電磁波の性質が高度に理解できる。 | マクスウェルの方程式に基づいて、電磁波の基本的な性質が理解できる。 | マクスウェルの方程式に基づいて、電磁波の基本的な性質が理解できない。 |
評価項目5 | 導体や誘電体中の電場の性質、また磁性体中の磁場の性質が数式に基づいて理解され、高度なレベルでその応用ができる。 | 導体や誘電体中の電場の性質、また磁性体中の磁場の性質が数式に基づいて理解され、その簡単な応用ができる。 | 導体や誘電体中の電場の性質、また磁性体中の磁場の性質が数式に基づいて理解されず、その簡単な応用もできない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
電流間に力が働くという事実から、その力を媒介する磁磁束密度が導入される。その力の実体である、ローレンツ力の下での荷電粒子の運動は重要である。空間に分布した電流がどのような磁場をつくるか。これを計算する手法としてビオ・サバールの法則及びアンペールの法則を述べ、その適用例を示す。ベクトルポテンシャルが導入される。ベクトルポテンシャルは電位と同様にポアソン方程式に従う。ベクトルポテンシャルによる磁場の計算法が説明される。電場や磁場という形で空間にはエネルギーが蓄えられている。これはコンデンサーやコイルが蓄えているエネルギーに他ならない。電磁誘導は電磁場の基本法則の一つである。この現象を通して、自己インダクタンス、相互インダクタンスの意味が理解できる。L,C,R,から構成される簡単な回路の過渡現象、共振現象を学ぶ。
変位電流の導入により電磁気学の法則はマクスウェル方程式により記述されることを説明する。マクスウェル方程式から波動方程式を導く。次に、平面波解を提示してその物理的意味を明らかにする。電磁場のエネルギーに関する考察からから、ポインティングベクトルが導入され、その意味が示される。
静電場の中に誘電体をおくと分極が生ずる。分極ベクトルと分極電荷の関係をもとに電場と電束密度に違いを述べる。これより物質の誘電率の意味が明らかになる。物質中の静電場の法則は電束密度を用いて定式化され、誘電率の異なった媒質の境界で満たすべき境界条件が導かれる。誘電体中の電場の計算、誘電体を挟んだコンデンサーの電気容量の計算、誘電体に対する鏡像法などの応用例を学ぶ。
静磁場の中に磁性体をおくと磁化電流が流れ磁化が生ずる。磁化されることにより、磁束密度と磁場に本質的な違いが生ずる。これより物質の透磁率の意味が明らかになる。物質中の静磁場の法則は磁場を用いて定式化される。物質中の静磁場の法則から透磁率が異なる物質の境界で満たされるべき条件が導出され、これを利用して磁性体があるときの静磁場の計算例が説明される。
授業の進め方・方法:
通常の講義方式
注意点:
毎回授業でやった内容を、ノートを見ながら自分でもう一度考えて、別紙の上に自分なりに再構成してみることが大切です。知識を真に身につけるためには、問題演習が欠かせません。まずは、何も見ないで5分間考えましょう。次に教科書・ノートを参考にしながら5分間考えましょう。それでも分らなければ、解答とその解説を見てそれを理解することに努めましょう。別解を考えてみるとさらに力が付きます。
【事前に行う準備学習】
3年次の電磁気学Ⅰおよび電磁気学演習Ⅰを履修し、静電場に関する基礎知識を有していることが大切です。毎回の講義には、前回の授業内容をしっかり復習し、理解を確実にしてから臨むように心掛けてください。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ベクトル解析の基礎 ・ベクトルの基本演算 ・スカラー積 ベクトル積 ・ベクトルの微分(勾配、発散、回転) |
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2週 |
静電場の復習[レポートあり] ・静電場の基本法則 (ガウスの法則、渦なし法則、電位と勾配、ポアソン方 程式、ラプラス方程式) ・静電場のエネルギー
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3週 |
電流と静磁場(1) ・磁石と電流 ・磁場中の電流に働く力 |
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4週 |
電流と静磁場(2) ・ローレンツ力 ・磁場中の荷電粒子の運動 |
電流に作用する力やローレンツ力を説明できる。
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5週 |
電流と静磁場(3) ・ビオ・サバールの法則 ・ビオ・サバールの法則の応用(1) |
電流が作る磁界をビオ・サバールの法則およびアンペールの法則を用いて説明でき、簡単な磁界の計算に用いることができる。
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6週 |
電流と静磁場(4) ・ビオ・サバールの法則の応用(2) |
電流が作る磁界をビオ・サバールの法則およびアンペールの法則を用いて説明でき、簡単な磁界の計算に用いることができる。
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7週 |
電流と静磁場(5) [レポートあり] ・磁気双極子がつくる磁場
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
電流と静磁場(6) ・アンペールの法則 ・アンペールの法則の応用(1) |
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10週 |
電流と静磁場(7) ・アンペールの法則の応用(2) |
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11週 |
電流と静磁場(8) ・ベクトルポテンシャル ・ベクトルポテンシャルの応用 |
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12週 |
電磁誘導の法則(1) ・電磁誘導現象の定式化 ・電磁誘導の一般法則 ・電磁誘導の法則とローレンツ力 |
電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。
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13週 |
電磁誘導の法則(2) ・磁場中のコイルの運動 ・変動する磁場中のコイルに働く力 |
電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。
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14週 |
電磁誘導の法則(3) [レポートあり] ・自己インダクタンス ・相互インダクタンス |
自己誘導と相互誘導を説明でき、自己インダクタンス及び相互インダクタンスに関する計算ができる。
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
答案返却 ・試験問題の解答と解説 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
電磁誘導の法則(4) ・静磁場のエネルギー |
磁気エネルギーを説明できる。
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2週 |
電磁誘導の法則(5) ・静磁場のエネルギーと自己インダクタンス ・L-R回路と静磁場のエネルギー |
磁気エネルギーを説明できる。自己誘導と相互誘導を説明でき,自己インダクタンス及び相互インダクタンスに関する計算ができる。
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3週 |
電磁誘導の法則(6) ・L-C回路と力学系 ・L-C-R回路と力学系 |
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4週 |
マクスウェル方程式と電磁波(1) ・アンペールの法則の破綻 ・電荷保存則とアンペールの法則 ・変位電流とマクスウェル方程式 |
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5週 |
マクスウェル方程式と電磁波(2) ・電磁場のエネルギー ・ポインティングベクトル |
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6週 |
マクスウェル方程式と電磁波(3) ・波動方程式の導出とその解の性質 |
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7週 |
マクスウェル方程式と電磁波(4)[レポートあり] ・平面波解と電磁波の伝幡
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8週 |
中間試験 |
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4thQ |
9週 |
物質中の電場(1) ・分極現象 ・分極ベクトルと分極電荷密度 ・分極ベクトルと電束密度 ・物質の誘電率 |
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10週 |
物質中の電場(2) ・静電場の境界条件 |
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11週 |
物質中の電場(3) ・誘電体があるときの静電場の計算例(1) |
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12週 |
物質中の電場(4) ・誘電体があるときの静電場の計算例(2)
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13週 |
・磁化ベクトルと磁化電流密度 ・磁化ベクトルと磁場の強さ ・物質の透磁率 |
磁性体と磁化、及び、磁束密度を説明できる。
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14週 |
物質中の磁場(2) [レポートあり] ・静磁場の境界条件 ・磁性体があるときの静磁場の計算例 |
磁性体と磁化、及び、磁束密度を説明できる。
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15週 |
期末試験 |
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16週 |
答案返却 ・試験問題の解答と解説
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評価割合
| 中間試験 | 期末試験 | レポート | 合計 |
総合評価割合 | 40 | 40 | 20 | 100 |
基礎的能力 | 20 | 20 | 10 | 50 |
専門的能力 | 20 | 20 | 10 | 50 |