電子回路Ⅰ

科目基礎情報

学校 群馬工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 電子回路Ⅰ
科目番号 4E016 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子メディア工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 本質を学ぶためのアナログ電子回路入門:阿部克也:共立出版:978-4320086302
参考書:高校数学ができる人向けの電気回路ノート:大嶋一人:デザインエッグ社:978-4815037655(アマゾン、プリントオンデマンド)
担当教員 大嶋 一人

到達目標

□ pn接合について説明でき, pn接合ダイオードのI-V特性およびnpnトランジスタの動作を説明できる. また, MOSFETの動作原理をMOSFETの構造を描いて説明する事ができる.
□ 三つの接地形式(ベース, エミッタ, コレクタ)の静特性を説明できる. また. h パラメータを用いた等価回路 を各接地形式に対し描くことができる. また. エミッタ接地形式の電流帰還バイアス回路について説明し, バイ アス設計を行うことができる.
□ 小信号解析を用いて, 各接地形式における低周波増幅率や入出力インピーダンスを求めることができる. また, 高周波等価回路を用いて, 各接地形式における増幅率や入出力インピーダンスの周波数特性を求めることができる.
□ 帰還について理解し, 負帰還増幅回路の問題を解くことができる. また発振回路の動作について説明できる.
□ 差動増幅器の性質を説明できる. また, 演算増幅器の基本動作を説明でき, いくつかの応用回路について問題を解くことができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1三つの接地形式(ベース, エミッタ, コレクタ)の静特性を説明で きる. また, h パラメータを用いた等価回路を各接地形式に対し描くことができる. また, 電流帰還バイアス回路について説明し, 各接地形式のバイアス設計を行うことができる.エミッタ接地の静特性を説明できる. また,エミッタ接地の等価回路を描くことができる. また, エミッタ接地形式の電流帰還バイアス回路のバイアス設計を行うことができる.エミッタ接地の静特性を説明できない. また,エミッタ接地の等価回路を描くことができない. また, エミッタ接地形式の電流帰還バイアス回路のバイアス設計を行うことができない.
評価項目2小信号解析を用いて, 各接地形式における増幅率や入出力インピーダンスを求めることができる. また, 各接地形式における増幅率や入出力インピーダンスの周波数特性を求めることができる.小信号解析を用いて, エミッタ接地の増幅率や入出力インピーダンスを求めることができる. また, エミッタ接地における電圧増幅率の周波数特性を求めることができる.小信号解析を用いて, エミッタ接地の増幅率や入出力インピーダンスを求めることができない. また, エミッタ接地における電圧増幅率の周波数特性を求めることができない.
評価項目3差動増幅器の性質を説明できる. また, 演算増幅器の基本動作を説明でき, いくつかの応用回路について問題を解くことができる.演算増幅器のいくつかの応用回路について問題を解くことができる.演算増幅器の応用回路について問題を解くことができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
エレクトロニクスは, すべての産業にとって欠かすことのできない技術だが, その中核を成すのが電子回路である. 現代では回路の集積化が進み, トランジスタやダイオードを使って回路を製作する機会は減少している. しかし. 集積回路の中身も結局トランジスタである. 本授業の目標は, トランジスタの基本的な機能である増幅を学び, それに関連するいくつかの基本的な回路を理解し, 実際に自分で設計できるようになることである.
授業の進め方・方法:
本講義ではまず半導体素子の仕組みを説明した後, 主にバイポーラトランジスタを用いた基本増幅回路について, 静特性および周波数特性を学ぶ. 最近の主流である電界効果トランジスタを用いた基本増幅回路についても基本的な動作について学習する. また, 実用的な回路として差動増幅器を学習し, その応用である演算増幅回路の動作を理解し, いくつかの応用回路について学習する.
注意点:
電気回路Ⅰおよび電気回路演習Ⅰが必須となる. 回路シミュレータが使えると, 授業の理解の助けとなる. LTSPICE のダウンロード http://www.linear-tech.co.jp/

【成績評価方法】
[前期]中間試験:40%, 期末試験:40%, レポート:20%
*ただし上記の評価方法で合格点に達しなかった者については、夏季休業中に補講を行い、小テストによって再評価を行う。
再評価による評点は合格最低点を超えないものとする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電子回路を学ぶための準備, ダイオード、トランジスターの歴史、ダイオードを用いた簡単な回路、グラフの方法、PN接合の初歩 ・キルヒホッフの法則が説明できる
・ダイオードの基本的性質が説明できる
2週 半導体デバイスの基礎::ダイオードの整流作用、ダイオードの電流電圧特性
・ダイオードの特徴を説明できる
3週 半導体デバイスの基礎:ダイオードの直流等価回路、ダイオードの小信号等価回路 ・バイポーラトランジスタの特徴と等価回路を説明できる
・FETの特徴と等価回路を説明できる
4週 トランジスターの基本的動作 ・トランジスタ増幅器のバイアス方法を説明できる
5週 トランジスターの基本的動作, バイアス回路 ・トランジスタ増幅器のバイアス方法を説明できる
6週 トランジスタ基本増幅回路(エミッタ接地)、T型等価回路 ・エミッタ接地の電圧利得、電流利得、入出力インピーダンスが計算できる
7週
トランジスタ基本増幅回路(エミッタ接地), hパラメータ
・エミッタ接地の電圧利得、電流利得、入出力インピーダンスが計算できる
8週 中間試験
2ndQ
9週 トランジスタ基本増幅回路(エミッター接地)、電圧増幅率、電流増幅率
・コレクタ接地の電圧利得、電流利得、入出力インピーダンスが計算できる
10週 トランジスタ基本増幅回路(エミッター接地)、入力インピーダンス、出力インピーダンス、直流負荷直線
・コレクタ接地の電圧利得、電流利得、入出力インピーダンスが計算できる
11週 トランジスタ基本増幅回路(エミッター接地) 交流負荷線、バイアスの設定 ・ベース接地の電圧利得、電流利得、入出力インピーダンスが計算できる
12週 トランジスタ基本増幅回路(コレクター接地) 電圧増幅率、電流増幅率、入力インピーダンス、出力インピーダンス ・ベース接地の電圧利得、電流利得、入出力インピーダンスが計算できる
13週 トランジスタ基本増幅回路(コレクター接地) 出力インピーダンス、テブナン電圧 ・エミッタ接地、コレクタ接地、ベース接地の特徴と違い、用途についてそれぞれ説明できる。
14週 トランジスタ基本増幅回路(ベース接地)  ベース接地増幅回路のバイアス回路と小信号等価回路 ・エミッタ接地、コレクタ接地、ベース接地の特徴と違い、用途についてそれぞれ説明できる。
15週 定期試験
16週 答案返却 ・試験に関する説明が理解できる。
後期
3rdQ
1週 トランジスタ増幅回路の周波数特性 ・トランジスタ増幅回路の周波数特性が説明できる
2週 トランジスタ増幅回路の周波数特性 ・利得、周波数帯域、インピーダンス整合等の増幅回路の基礎事項を説明できる
3週 トランジスタ増幅回路の周波数特性 ・高周波における接合容量の影響を説明できる。ミラー効果が説明できる
4週 トランジスタ増幅回路の周波数特性 ・高周波における接合容量の影響を説明できる。ミラー効果が説明できる
5週 トランジスタ増幅回路の周波数特性
差動増幅回路とオペアンプ
・低周波におけるDCブロック、バイパスコンデンサの影響を説明できる
・差動増幅回路とカレントミラー回路について説明できる
6週 トランジスタ増幅回路の周波数特性
差動増幅回路とカレントミラー回路
・低周波におけるDCブロック、バイパスコンデンサの影響を説明できる
・差動増幅回路とカレントミラー回路について説明できる
7週
カレントミラー回路と差動増幅回路、理想的ではないオペアンプ
・低周波におけるDCブロック、バイパスコンデンサの影響を説明できる
・差動増幅回路とカレントミラー回路について説明できる
8週 中間試験
4thQ
9週 理王的オペアンプ ・演算増幅器の特性を説明できる
10週 理想的オペアンプ ・演算増幅器の特性を説明できる
11週 帰還回路 ・反転増幅器や非反転増幅器等の回路を説明できる
12週 帰還回路 ・反転増幅器や非反転増幅器等の回路を説明できる
13週 帰還増幅回路と発振回路 ・帰還増幅回路について説明できる。4種類の帰還について説明できる。
・正帰還、負帰還について説明できる。
・基本的な発振回路について説明できる。
14週 帰還増幅回路と発振回路 ・帰還増幅回路について説明できる。4種類の帰還について説明できる。
・正帰還、負帰還について説明できる。
・基本的な発振回路について説明できる。
15週 定期試験
16週 答案返却 ・試験に関する説明が理解できる。

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ小テスト・レポート課題合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力4000001050
専門的能力3000001040
分野横断的能力100000010