電子材料基礎Ⅰ

科目基礎情報

学校	群馬工業高等専門学校	開講年度	令和03年度 (2021年度)
授業科目	電子材料基礎Ⅰ
科目番号	5E010	科目区分	専門 / 必修
授業形態	授業	単位の種別と単位数	学修単位: 2
開設学科	電子メディア工学科	対象学年	5
開設期	前期	週時間数	2
教科書/教材	なし
担当教員	塚原 規志

到達目標

□量子論的な考え方を理解できる。
□電子の運動がどのように記述されるか、理解できる。
□不確定性原理を理解できる。
□シュレディンガー方程式を記述できる。
□多電子を持つ原子の基礎的性質を理解できる。
□固体、特に金属・半導体の電子状態を理解できる。
□電子材料の物理的性質がどのよう発現するか概略を理解できる。

ルーブリック

	理想的な到達レベルの目安	標準的な到達レベルの目安	未到達レベルの目安
評価項目1	不確定性原理、およびシュレディンガー方程式を十分理解し、説明できる。	不確定性原理、およびシュレディンガー方程式を理解し、説明できる。	不確定性原理、およびシュレディンガー方程式を理解していない。
評価項目2	水素原子内電子のシュレディンガー方程式と解をよく理解し、十分説明できる。	水素原子内電子のシュレディンガー方程式と解を理解し、説明できる。	水素原子内電子のシュレディンガー方程式と解を理解できず説明できない。
評価項目3	固体（金属、半導体、絶縁体）の電子状態をよく理解できる	固体（金属、半導体、絶縁体）の電子状態を理解できる	固体（金属、半導体、絶縁体）の電子状態が理解できない

教育方法等

概要:

本科目は学修単位科目であり、授業時間中は言うに及ばず授業時間外においても学生の自学自習が必須である。単位取得のためには、課題を期日にはしっかり確実に提出し、予習および復習も怠らないようにしなければならない。また本講義は, 「工科系のための現代物理学, 原康夫・岡崎誠著（裳華房）」に沿って進めるが、教科書指定はしないため、各自必要と感じた場合購入するか図書館にて借りるなどの対応をすること。

授業の進め方・方法:

以下のように授業・学習を進める。
(a)量子力学特有の概念を把握できるように学習する。
(b)原子内電子の振る舞いを理解できるよう学習する。
(c)結晶内電子（多電子系）の取り扱い方について概略を把握する。
(d)金属・半導体などについて、その物性を定性的に理解する。

【成績内訳】
中間試験４０％・期末試験４０％・レポート（小テストを含む）２０％

注意点:

量子力学は初学者には難しい概念を含むが、理工系技術の基盤をなす必須の概念である。力学および電磁気学、そして波動の理解を総動員して概念の把握に努めてほしい。本科目は学修単位なので、授業時間30時間に加えて、自学自習時間60時間が授業の前後に必要となります。具体的な学修内容は、電子の二重性、井戸型ポテンシャル、原子中の電子配置、エネルギーバンド形成のメカニズム、金属と絶縁体、半導体の分類で、具体的な内容は授業中に指示をします。

授業計画

		週	授業内容	週ごとの到達目標
前期
	1stQ
		1週	イントロダクション ------- 量子力学の誕生	電子材料内部に於ける電子の運動と量子力学の学習内容を理解できる ------- プランクの量子仮説とアインシュタインの光量子論を理解できる
		2週	前期量子論 ------- 量子力学の基礎1	物質波と古典的粒子との関係について理解できる ------- 「波」の数学的な扱い方と波が満たす方程式を理解できる
		3週	量子力学の基礎2 ------- 量子力学の基礎3	波動関数の物理的意味を理解できる ------- 不確定性原理を理解できる
		4週	自由粒子 ------- 量子閉じ込め	量子力学的な自由粒子の振る舞いを理解できる ------- 限定された領域内での自由粒子の振る舞いを理解できる
		5週	有限井戸型ポテンシャル中の自由粒子 ------- 量子井戸	有限深さの井戸型ポテンシャル中の自由粒子の振る舞いを理解できる ------- 実際に観測される量子井戸系を理解できる
		6週	トンネル効果1 ------- トンネル効果2	トンネル効果を理解できる ------- トンネル効果の具体例を理解できる
		7週	調和振動子1 ------- 調和振動子2	調和振動子系のハミルトニアンとシュレディンガー方程式を理解できる ------- 調和振動子系の厳密解を理解できる
		8週	中間試験 ------- 水素原子1	------- 水素原子中の電子に対するハミルトニアンが構築できる
	2ndQ
		9週	水素原子2 ------- 磁気モーメントとスピン1	水素原子中の電子の振る舞いが理解できる ------- 球対称な系における角運動量を理解できる
		10週	磁気モーメントとスピン2 ------- 磁気モーメントとスピン3	ゼーマン効果を理解できる ------- 電子が持つ自由度、スピン角運動量を理解できる
		11週	原子中の電子配置 ------- 原子の結合	一般の原子内電子について、電子配置について理解できる ------- 分子や固体における原子の結合について理解できる
		12週	結晶 ------- エネルギーバンド1	様々な結晶構造について理解できる ------- エネルギーバンドの形成について理解できる
		13週	エネルギーバンド2 ------- 金属と絶縁体、半導体	固体の電気伝導をエネルギーバンドから理解できる ------- 金属・半導体・絶縁体の分類をエネルギーバンドから理解できる
		14週	半導体の電気伝導 ------- 半導体の接合	真性・不純物半導体の電気伝導をエネルギーバンドから理解できる ------- 半導体のPN接合を理解できる
		15週	期末試験
		16週	答案返却 ------- 最近の物性物理のトピックス	------- 最新の物性に関する研究例を理解できる

評価割合

	試験	発表	相互評価	態度	ポートフォリオ	その他	合計
総合評価割合	100	0	0	0	0	0	100
基礎的能力	40	0	0	0	0	0	40
専門的能力	50	0	0	0	0	0	50
分野横断的能力	10	0	0	0	0	0	10