電子回路Ⅱ

科目基礎情報

学校 群馬工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 電子回路Ⅱ
科目番号 0040 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子メディア工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 4
教科書/教材 内山明彦: 「パルス回路」(電子情報通信学会大学シリーズ), コロナ社 内山明彦: 「パルス回路」(電子情報通信学会大学シリーズ), コロナ社
担当教員 富澤 良行

到達目標

目的】本授業の目的は、ICを用いた設計のための基礎となる、トランジスタやコンデンサ及び抵抗を用いたパルス回路の基礎として波形操作や発振回路の基礎を修得し、これらの知識を活用するスキルを身に付けることである。
【到達目標】
□ パルス回路で取り扱う各種の波形について理解できる。
□パルス波の基本的な取り扱いができる。
□ トランジスタ、ダイオードなどの素子がパルス波形に対してどのように応答するか理解できる。
□ RLCの受動素子回路の伝達特性について理解できる。
□ ダイオードを含む受動素子回路の伝達特性について理解できる。
□ パルス波形増幅のための広帯域増幅器について基本的な考え方が理解できる。
□ ブロッキング発振回路及びマルチバイブレータについて基本的な考え方が理解できる。
□ A-D、D-A変換回路についての基本的な考え方が理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1積分(CR・LR)、,微分(CR・LR)、LCR回路のパルス応答について、計算により求めることができる。積分(CR・LR)、,微分(CR・LR)のパルス応答について、計算により求めることができる。LCR回路のパルス応答について説明できる。積分(CR・LR)、,微分(CR・LR)、LCR回路のパルス応答について、説明することができる。
評価項目2マルチバイブレータ回路の基本的な回路設計ができる。マルチバイブレータ回路の各部分の波形が説明でき、発振周波数を求めることができる。マルチバイブレータ回路の各部分の波形と発振周波数の原理が説明できる。
評価項目3波形整形回路に対する様々な入力波形に対する出力特性を求めることができる。波形整形回路に対する矩形波入力波形に対する出力特性を求めることができる。クランプ回路における入出力特性を求めることができる。
評価項目4A/D、D/A回路の原理的な回路図を描き設計できる。A/D、D/A回路の原理的な回路図を描ける。A/D、D/A回路の原理的な回路の動作を説明できる。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程 C 説明 閉じる
準学士課程 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 電子回路は、広い意味での電気回路の一分野である。狭い意味での電気回路が抵抗、コンデンサ、およびインダクタンス等の線形で受動的な部品で構成されているのに対して、電子回路はダイオードやトランジスタ等の非線形または能動的な部品で構成されている。
 電子回路の中でも、電子回路IIでは、パルス回路やディジタル回路のように、動作が線形でないものや正弦波でないいわゆるパルス回路を扱う回路について、その回路構成と機能および動作原理を学習する。具体的には、次のような項目について学習する。
・線形波形変換回路:RLC素子の高周波特性と等価回路、パルス波形の定義と周波数スペクトル、微分回路、積分回路、指数関数波形、多段接続回路の出力波形、パルス波形の観測と測定誤差。
・非線形波形整形回路:ダイオード波形整形回路(クリッパ、リミッタ、スライサ、クランパ)、トランジスタのスイッチング特性とその改善(スピードアップコンデンサ、オーバドライブ回路)。
・マルチバイブレータ:トランジスタによるマルチバイブレータ、TTLおよびオペアンプによるマルチバイブレータ。
・A-D・D-A変換
授業の進め方・方法:
授業の進度に合わせて適宜プリントなどを配布する。一人一人が到達目標を達成できることを念頭に、パルス回路の基本的な考え方を理解できるように説明する。本授業では、頻繁に宿題を課し学生の理解を促す。
注意点:
電気回路及び電子回路Ⅰの内容を理解しておくこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 [1]パルス波形と定義および特徴
1) 各種の波形
2) パルスに対する応答
 a) RCローパス回路のステップ応答(微分方程式)
 b) RCローパス回路のステップ応答(ラプラス変換)
・パルス波形の定義を理解し、パルスの立ち上がり及び立下り、RC回路のパルス応答の考え方を理解できる。
2週 [1]パルス波形と定義および特徴
2) パルスに対する応答
 c) 立上り、立下り時間
 d) 指数関数波形応答
 e) ランプ波形応答
 f) RCハイパス回路の応答
 g) RLローパス回路の応答
・ローパス回路にステップ波形を通した場合の立ち上がり、たち下がり時間について計算できる。
・各種波形に対するローパス回路の応答について理解できる。
3週 [1]パルス波形と定義および特徴
2) パルスに対する応答
 h) 積分・微分回路
 i) 高域補償回路
 j) RLC回路のステップ応答
3) パルス波形の周波数解析
 a) フーリエ級数展開
 b) フーリエ変換
・一次のLPF, HPFがそれぞれ近似的な積分、微分回路になることが理解できる。
・高域補償回路の仕組みが理解できる。
・RLC回路の三条件におけるステップ応答波形について理解できる。
・パルス波形の周波数解析方法が理解でき、計算ができる。
4週 [2]パルス回路素子
ダイオード・トランジスタ・FETのパルスに対する応答を取り扱う。
1) PN接合ダイオードの特性
2) ダイオードのスイッチ特性
 a) 順方向回復特性
 b) 逆方向の回復特性

・PN接合ダイオードにステップ波形を加えた場合の応答について理解できる(順方向、逆方向)。
5週 [2]パルス回路素子
2) ダイオードのスイッチ特性
 c) ショットキバリアダイオード
3) トランジスタのスイッチ特性
 a) バイポーラトランジスタの静特性と動作点
 b) バイポーラトランジスタのパルス応答
・ショットキバリアダイオードの構造・特徴・スイッチ特性について理解できる。
・バイポーラトランジスタにステップ波形を加えた場合のトランジスタの挙動について理解できる。
6週 [2]パルス回路素子
3) トランジスタのスイッチ特性
 b) バイポーラトランジスタのパルス応答
4) FETのスイッチ特性
 a) FETの分類
 b) MOS-FETの種類と特徴
 c) エンハンスメント形MOS-FETの静特性
 d) エンハンスメント形MOS-FETのパルス応答
・バイポーラトランジスタにステップ波形を加えた場合の立ち上がり時間等の具体的な数値が計算できる。
・FETにステップ波形を加えた場合のトランジスタの挙動について理解できる。
7週 [2]パルス回路素子
4) FETのスイッチ特性
 d) エンハンスメント形MOS-FETのパルス応答
5) 電子回路シミュレータの紹介
・FETにステップ波形を加えた場合の立ち上がり時間等の具体的な数値が計算できる。
・電子シミュレータの原理・簡単な導入について理解できる。
8週 中間試験を実施する。 ・中間試験問題の解き方を理解できる。
2ndQ
9週 [3]マルチバイブレータ
1) マルチバイブレータの分類
2) 双安定マルチバイブレータ
 a) 双安定マルチバイブレータの特徴
 b) 双安定マルチバイブレータの設計
 c) 安定状態の転移
 d) 時間分解能と加速コンデンサ
・バイブレータの分類について理解できる。
・相安定マルチバイブレータの原理が理解できる。
・相安定マルチバイブレータ回路が設計できる。
10週 [3]マルチバイブレータ
1) マルチバイブレータの分類
2) 双安定マルチバイブレータ
 e) トリガ方法
 f) 直結型双安定マルチバイブレータ
3) 単安定マルチバイブレータ
 a) 単安定マルチバイブレータの特徴
 b) コレクタ・ベース結合型
・単安定マルチバイブレータの原理が理解できる。
・単安定マルチバイブレータ回路が設計できる。
11週 [3]マルチバイブレータ
3) 単安定マルチバイブレータ
 c) エミッタ結合型
4) 無安定マルチバイブレータ
 a) 無安定マルチバイブレータの特徴と基本回路
・無安定マルチバイブレータの原理が理解できる。
・無安定マルチバイブレータ回路が設計できる。
12週 [4]波形操作
1) 波形操作の種類(概要)
2) 振幅軸上の波形操作
 a) リミッタ・クリッパ・スライサ(概要)
 b) ダイオードクリッパ
 c) ダイオードリミッタおよびスライサ
 d) クランプ回路
 e) 電圧比較回路
・波形操作の概要について理解できる。
・振幅軸上の波形操作について理解でき、回路図が描ける。
13週 [4]波形操作
3) 時間軸上での波形操作
 a) 選択・推移・比較(概要)
 b) 伝達ゲート回路
 c) 標本化回路
 d) サンプリングスコープ
 e) 標本化原理
 f) 時間比較回路
 g) 時間弁別回路
・時間軸上の波形操作について理解できる。
・標本化定理が理解できる。
・サンプリングスコープの原理が理解できる。
14週 [5]A/D変換とD/A変換
1) 概要
2) D/A変換回路
 a) 並列形
 b) はしご形
・D/A変換回路の種類、その原理について理解できる。
15週 [5]A/D変換とD/A変換
3) A/D変換回路
 a) 計数形
 b) 積分型
 c) 電圧比較形
 d) 同時比較形
・A/D変換回路の種類、その原理について理解できる。
16週 期末試験を実施する。 ・期末試験問題の解き方を理解できる。

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力020000020
専門的能力800000080
分野横断的能力0000000