概要:
化学実験を行うにあたっての注意点や基礎的操作等、実験に関する基本と安全について学ぶ。次いで、レポートの書き方を学び、以下の項目を講義と実験を通して学ぶ。
前期
1.ろうそくの燃焼、2.銅堂の密度と熱の移動の測定、3.凝固点降下、4.コロイド溶液、5.界面重合によるナイロンの作成、6.人工カプセル(高分子球の作製)
後期
1.六属系統分析と第一属陽イオンの性質、2.第三属陽イオンの性質と分離、3.第四属陽イオンの性質とステンレス鋼の成分分析、4.植物色素の分離
授業の進め方・方法:
各テーマ、はじめに講義で理論を学んでから実験を行う。
実験レポートの他に、小テストを行い評価する。
注意点:
実験は安全に留意して行うこと。実験日は、白衣、保護メガネ、タオル、前期は上履きを用意の上、実験室に集合する。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス 実験を安全に行うための諸注意、災害に対する処置方法、実験室での心構え、廃液の処理方法、実験ノート、レポートの書き方 |
実験を安全に行うための諸注意および災害に対する処置方法、実験室の使用注意事項、廃液の処理方法について理解できる。 実験ノートの書き方およびレポートの書き方を理解できる。
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2週 |
1. ろうそくの燃焼 講義 器具の名称 |
ろうそくの燃焼についての実験方法、現象に関する原理を理解できる。
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3週 |
1. ろうそくの燃焼 実験 |
ろうそくの燃焼について正しく実験し、現象を確認できる。 現象に関する原理を説明できる。
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4週 |
2. ものを測る 講義 誤差と有効数字、グラフ、表の書き方 |
ものを測る際の誤差と有効数字の求め方について理解できる。 グラフ、表の書き方について理解できる。
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5週 |
2. ものを測る 実験 温度の測定と補正 天秤、ノギスを使った銅の密度 |
温度の測定と補正の仕方について理解できる。 天秤、ノギスを使って銅の密度を求めることができる。
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6週 |
3. 凝固点降下 講義 物質の純度、融解、凝固点降下、過冷却現象、沸点上昇 |
凝固点降下について理解できる。 物質の純度、融解、凝固点降下、過冷却現象、沸点上昇について理解できる。
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7週 |
3. 凝固点降下 実験 コルクの穴の開け方 凝固点降下 |
凝固点降下の実験を行う装置を組み立てることができる。 凝固点降下について実験で計算することができる。
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8週 |
4. コロイド溶液 講義 塩析、浸透圧、臨界ミセル、界面活性剤 |
コロイド溶液について理解できる。 塩析、浸透圧、臨界ミセル、界面活性剤について理解できる。
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2ndQ |
9週 |
4. コロイド溶液 実験 コロイド粒子の調製、透析、チンダル現象の観察
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コロイド粒子の調製および透析、チンダル現象の観察ができる。
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10週 |
5. 界面重合によるナイロンの作製 講義 身近にある高分子材料とその特性 |
界面重合によるナイロンの作製について理解できる。 身近にある高分子材料とその特性について理解できる。
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11週 |
5. 界面重合によるナイロンの作製 実験
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界面重合を用いてナイロンを作成することができる。
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12週 |
6. 人工カプセル(高分子球の作製) 講義 溶解と析出、高分子球と膜、せっけん膜、細胞膜 |
人工カプセル(高分子球の作製)について理解できる。 溶解と析出、高分子球と膜、せっけん膜、細胞膜について理解できる。
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13週 |
6. 人工カプセル(高分子球の作製) 実験 指示薬 |
指示薬を取り込んだ人工カプセルを作成することができる。 膜の性質について理解できる。
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14週 |
まとめ、レポート確認、器具チェック |
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15週 |
小テスト、清掃 |
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16週 |
定期試験は行わない |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス
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安全に実験を行うための諸注意及び、実験器具の取り扱いについて理解できる。
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2週 |
無機定性分析Ⅰ(講義) 六属系統分析と第一属陽イオンの性質 |
金属陽イオンの分離法である六属系統分析法について、金属のイオン化傾向と溶解度積に基づき理解できる。第一属陽イオンである銀イオンと鉛イオンの特徴的な検出反応について、反応式とともに理解できる。
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3週 |
無機定性分析Ⅰ(実験1) 金属陽イオンの分離 |
六属系統分析法に基づき、銀イオン、銅イオン、鉄イオン、亜鉛イオン、バリウムイオン、ナトリウムイオンを分属できる。分属の原理を、反応式とともに説明できる。
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4週 |
無機定性分析Ⅰ(実験2) 第一属陽イオンの各個反応 |
銀イオンと鉛イオンについて、検出反応を観察し、その現象を反応式とともに説明できる。
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5週 |
無機定性分析Ⅱ(講義) 第三属陽イオンの性質と分離 |
第三属陽イオンである鉄イオンとアルミニウムイオンの特徴的な検出反応について、反応式とともに理解できる。第三属陽イオンの分離方法について、理解できる。
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6週 |
無機定性分析Ⅱ(実験1) 第三属陽イオンの各個反応 |
鉄イオンとアルミニウムイオンについて、検出反応を観察し、その現象を反応式とともに説明できる。
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7週 |
無機定性分析Ⅱ(実験2) 第三属陽イオンの分離と検出 |
鉄イオンとアルミニウムイオンの混合物を分離、検出することができ、その分離方法の原理を説明できる。
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8週 |
無機定性分析Ⅲ(講義) 第四属陽イオンの性質とステンレス鋼の成分分析 |
第四属陽イオンであるコバルトイオンとニッケルイオンの特徴的な検出反応について、反応式とともに理解できる。ステンレス鋼の成分分析法ついて、理解できる。
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4thQ |
9週 |
無機定性分析Ⅲ(実験1) 第四属陽イオンの各個反応 |
コバルトイオンとニッケルイオンについて、検出反応を観察し、その現象を反応式とともに説明できる。
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10週 |
無機定性分析Ⅲ(実験2) ステンレス鋼の成分分析1 |
ステンレス鋼(SUS-304)の主成分である鉄イオン、クロムイオン、ニッケルイオンをそれぞれ分離し、第三属陽イオンである鉄イオンとクロムイオンの検出ができる。
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11週 |
無機定性分析Ⅲ(実験3) ステンレス鋼の成分分析2 |
ステンレス鋼(SUS-304)から分離した第四属陽イオンであるニッケルイオンの検出ができる。
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12週 |
植物色素の分離(講義) |
植物色素の分類と性質、薄層クロマトグラフィーの原理について理解できる。
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13週 |
植物色素の分離(実験1) |
野菜や植物から、カロテノイドやクロロフィル等の脂溶性色素を抽出できる。
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14週 |
植物色素の分離(実験2) |
抽出した脂溶性色素を薄層クロマトグラフィーによって分離し、同定できる。
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15週 |
まとめ、器具チェック、小テスト、清掃 |
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16週 |
定期試験は行わない |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理実験 | 物理実験 | 測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。 | 3 | |
安全を確保して、実験を行うことができる。 | 3 | |
実験報告書を決められた形式で作成できる。 | 3 | |
有効数字を考慮して、データを集計することができる。 | 3 | |
化学実験 | 化学実験 | 実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。 | 3 | |
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。 | 3 | |
測定と測定値の取り扱いができる。 | 3 | |
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。 | 3 | |
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。 | 3 | |
ガラス器具の取り扱いができる。 | 3 | |
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。 | 3 | |
代表的な無機化学反応により沈殿を作り、ろ過ができる。 | 3 | |
工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 3 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 3 | |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 3 | |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 3 | |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 3 | |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 3 | |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 有機化学 | 高分子化合物がどのようなものか説明できる。 | 4 | |
無機化学 | 水素結合について説明できる。 | 4 | |
分析化学 | 緩衝溶液とpHの関係について説明できる。 | 4 | |
物理化学 | 平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。 | 4 | |
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。 | 4 | |
分野別の工学実験・実習能力 | 化学・生物系分野【実験・実習能力】 | 分析化学実験 | 陽イオンおよび陰イオンのいずれかについて、分離のための定性分析ができる。 | 4 | |
物理化学実験 | 温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。 | 4 | |
分子量の測定(浸透圧、沸点上昇、凝固点降下、粘度測定法等)により、束一的性質から分子量を求めることができる。 | 4 | |