基礎物理化学

科目基礎情報

学校 群馬工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 基礎物理化学
科目番号 2K001 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:福地賢治ら著,PEL物理化学,実教出版
参考書:真船文隆ら著,化学はじめの一歩シリーズ物理化学,化学同人
参考書:P.W. Atkinsら著,アトキンス物理化学要論第7版,東京化学同人
担当教員 羽切 正英

到達目標

専門分野として化学を学ぶための入門として,物理化学の基礎について学び,以下の内容を会得する。
① 原子・分子の基本的構造や化学結合,分子間の相互作用について基本的な内容を理解している。
② 物質の三態,気体の諸法則について理解し,各種計算ができる。
③ 化学熱力学および熱化学に関する基本法則を理解し,各種計算ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1原子・分子の基本的構造や化学結合,分子間の相互作用について,理解している。原子・分子の基本的構造や化学結合,分子間の相互作用について,基本的な内容を理解している。原子・分子の基本的構造や化学結合,分子間の相互作用について理解できていない。
評価項目2物質の三態,気体の諸法則について理解し,滞りなく各種計算ができる。物質の三態,気体の諸法則について理解し,各種計算ができる。物質の三態,気体の諸法則について計算ができない。
評価項目3化学熱力学および熱化学に関する基本法則を理解し,滞りなく各種計算ができる。化学熱力学および熱化学に関する基本法則を理解し,各種計算ができる。化学熱力学および熱化学に関する計算ができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程 C 説明 閉じる

教育方法等

概要:
物理化学の基本となる原子分子の構造,気体の諸法則,化学熱力学について学ぶ。
授業の進め方・方法:
板書を中心とした講義を行う。
注意点:
授業の進行に合わせ,課題課すので遅延なく提出すること。
多くの場合,試験時には関数電卓が必要となるので持参すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
物理化学の体系について知る。
2週 原子の構造(1)原子構造の解明 原子構造の解明の歴史について知る。
3週 原子の構造(2)原子模型 ボーアモデルについて説明できる。
4週 原子の構造(3)量子化,原子軌道,電子配置 量子化,水素様原子の軌道,そこへの電子配置について説明できる。
5週 分子の形成(1)共有結合,ルイス構造,電子対反発モデル 分子やイオンのルイス構造を描ける。
電子対反発モデルを説明できる。
6週 分子の形成(2)分子軌道,混成軌道 分子軌道,混成軌道について説明できる。
7週 分子の形成(3)等核二原子分子,エネルギー準位図 等核二原子分子のエネルギー準位図を説明できる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 分子間力(1)物質の三態,気体・液体の性質,分子の極性 電気陰性度と分子の極性について説明できる。
10週 分子間力(2)分子間相互作用,分散力
種々の分子間相互作用について説明できる。
11週 気体の性質(1)気体の状態方程式,モル分率,分圧の法則
理想気体の状態方程式を用いた計算,モル分率および分圧の計算ができる。
12週 気体の性質(2)気体分子運動論モデル
  
気体運動論モデルを説明できる。
13週 実在気体(1)分子間ポテンシャル,圧縮因子,臨界点 実在気体と理想気体との相違点を説明できる。
14週 実在気体(2)ファンデルワールスの状態方程式 ファンデルワールス気体の圧力を計算できる。
15週 期末試験
16週 まとめ
後期
3rdQ
1週 熱力学第一法則(1)内部エネルギー,熱力学的エネルギー保存則 熱力学の用語について知る。
熱力学第一法則および内部エネルギーについて説明できる。
2週 熱力学第一法則(2)仕事,熱 仕事および熱について計算できる。
3週 熱力学第一法則(3)不可逆過程,可逆過程 不可逆過程の仕事,および可逆過程の仕事について計算できる。
4週 熱力学第一法則(4)エンタルピー エンタルピーの定義と熱との関係性について理解する。
5週 熱化学(1)物理変化・化学変化と熱,熱化学方程式 物理変化や化学変化と熱の関係について理解する。
化学変化と熱の関係について,熱化学方程式で表現できる。
6週 熱化学(2)生成エンタルピー,反応エンタルピー 標準生成エンタルピーについて説明できる。
標準反応エンタルピーについて計算できる。
7週 熱化学(3)ヘスの法則,キルヒホフの法則 ヘスの法則,キルヒホフの法則を用いた計算が出来る。
8週 中間試験
4thQ
9週 熱力学第二法則(1)自発変化の方向性 自然における不可逆な変化の方向性について理解する。
10週 熱力学第二法則(2)エントロピー,エントロピー変化 エントロピーについて説明できる。
諸過程におけるエントロピーについて計算できる。
11週 熱力学第二法則(3)ギブズエネルギー ギブズエネルギーについて説明できる。
反応ギブズエネルギーを計算できる。
12週 自由エネルギー(1)絶対エントロピー,標準生成ギブズエネルギー 熱力学第三法則について説明できる。
絶対エントロピーから標準反応エントロピーを計算できる。
13週 自由エネルギー(2)標準反応ギブズエネルギー,ギブズエネルギーと平衡 標準反応ギブズエネルギーから平衡定数を計算できる。
14週 熱サイクルの効率 カルノーサイクルおよびその効率について説明できる。
15週 期末試験
16週 まとめ

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3
気体の内部エネルギーについて説明できる。3
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3
波動波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学電子殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。4
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。4
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。4
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4
イオン結合と共有結合について説明できる。4
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。4
金属結合の形成について理解できる。4
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。4
配位結合の形成について説明できる。4
水素結合について説明できる。4
分析化学溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。4
強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。4
陽イオンや陰イオンの関係した化学反応について理解し、溶液中の物質の濃度計算(定量計算)ができる。4
物理化学放射線の種類と性質を説明できる。4
気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。4
混合気体の分圧の計算ができる。4
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。4
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。4
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。4
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。4
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。4後10
均一および不均一反応の平衡を説明できる。4
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。4
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。4
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。4
平衡定数の温度依存性を計算できる。4
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。4
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力3000001040
専門的能力5000001060
分野横断的能力0000000