基礎有機化学

科目基礎情報

学校 群馬工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 基礎有機化学
科目番号 2K003 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 ブルース有機化学(上)、第7版:Paula Y. Bruice:化学同人:978-4-7598-1584-9
担当教員 工藤 まゆみ

到達目標

□有機化合物の成り立ちについて、原子や結合の状態に基づき理解できる。
□分子の立体構造を適切に表現できる。
□基本的な有機化合物について、正しく命名できる。
□化学反応における電子の動きを、曲がった矢印を用いて表現できる。
□アルケン、アルキンの典型的な反応について、反応機構とともに理解できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1有機化合物の成り立ちについて、原子や結合の状態に基づき十分に説明できる。有機化合物の成り立ちについて、原子や結合の状態に基づき説明できる。有機化合物の成り立ちについて、原子や結合の状態に基づき説明できない。
評価項目2基本的な有機化合物について、正しく命名できる。基本的な有機化合物について、ある程度命名できる。基本的な有機化合物について、命名できない。
評価項目3アルケン、アルキンの典型的な反応について、反応機構とともに十分に説明できる。アルケン、アルキンの典型的な反応について、反応機構とともに説明できる。アルケン、アルキンの典型的な反応について、反応機構とともに説明できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程 C 説明 閉じる

教育方法等

概要:
基礎有機化学では、教科書の1章から3章および5章から7章を主に学ぶ。
授業の進め方・方法:
講義形式で行う。必要に応じて分子模型を使って理解を深める。
注意点:

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス・原子の構造 有機物が炭素骨格を基本とした化合物であることが説明できる。構成原理、パウリの排他原理、フントの規則を説明できる。
2週 結合・化合物の構造式 誘起効果を理解し、結合の分極を予測できる。イオン結合と共有結合について理解し、化合物の構造式が書ける。
3週 原子軌道・分子軌道 σ結合とπ結合について説明できる。原子軌道と分子軌道について理解し、結合性及び反結合性分子軌道について説明できる。
4週 混成軌道(1) 混成軌道を用いて物質の形が説明できる。エタン、エテン、エチンの結合について、混成軌道に基づき説明できる。
5週 混成軌道(2) 炭素以外の元素の混成について理解できる。化合物の構造から、混成状態を判断できる。
6週 酸と塩基の定義・酸の強さ・有機酸と有機塩基 ブレンステッド-ローリーの定義とルイスの定義を説明できる。酸の強さについて、pKa値に基づいて説明できる。
7週 酸の強さに与える影響 酸の強さに与える影響について、電気陰性度、混成、大きさ、置換基効果、電子の非局在化に基づいて説明できる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 アルカンの構造と命名法 アルカンの構造と性質を理解し、IUPACの命名法に基づいて構造から名前、名前から構造の変換ができる。
10週 ハロゲン化アルキル、エーテル、アルコール、アミンの構造と命名法 ハロゲン化アルキル、エーテル、アルコール、アミンについて、IUPAC命名法に基づき、命名できる。
11週 アルカン、ハロゲン化アルキル、エーテル、アルコール、アミンの物理的性質 アルカン、ハロゲン化アルキル、エーテル、アルコール、アミンの沸点や溶解性などの物理的性質について、分子間力に基づき説明できる。
12週 エタンの配座異性体 アルカンの三次元的な構造がイメージでき、配座異性体について理解できる。エタンの配座異性体を、Newman投影式と透視式を用いて表すことができる。
13週 ブタンの配座異性体 ブタンの配座異性体とそのエネルギー差について理解できる。
14週 シクロヘキサンの配座異性体 シクロヘキサンのいす型構造と舟形構造について理解し、エクアトリアル結合とアキシアル結合について説明できる。
15週 期末試験
16週 置換シクロヘキサンの配座異性体 一置換、二置換シクロヘキサンの配座異性体について、それぞれ安定性の比較ができる。1,3-ジアキシアル相互作用について説明できる。
後期
3rdQ
1週 環のひずみ 三員環から八員環構造をもつシクロアルカンの立体構造とひずみエネルギーについて理解できる。
2週 アルケンの構造、不飽和度、アルケンとアルキンの命名法 不飽和度について理解し、求めることができる。IUPAC命名法に基づき、アルケンとアルキンを命名できる。
3週 アルケンのシス、トランス異性、E、Z表示法 アルケンの立体異性体について、シス、トランス、及びE、Z表示法を用いて表すことができる。
4週 電子の動きを表す曲がった矢印 化合物のルイス構造を書くことができ、それを反応に結びつけることができる。反応過程における電子の動きを、曲がった矢印を用いて表すことができる。
5週 熱力学と速度論 発エルゴン反応と吸エルゴン反応について説明できる。ギブスの自由エネルギー変化と平衡定数の関係について理解できる。
6週 アルケンへの求電子付加反応 アルケンへの求電子付加反応について、エネルギー変化とともに反応機構を理解できる。
7週 アルケンへの求電子付加反応の位置選択性、カルボカチオンの転位 アルケンへの求電子付加反応の位置選択性について、カルボカチオン中間体の安定性と生成速度に基づき説明できる。
8週 中間試験
4thQ
9週 アルケンへの水、アルコールの付加 アルケンへの水、アルコールの付加について、酸触媒の役割とともに理解し、反応機構が書ける。
10週 アルケンへのボランの付加 アルケンへのボランの付加について、ボランの性質に基づいて理解し、説明できる。付加反応の位置選択性について、遷移状態に基づき説明できる。
11週 アルケンへのハロゲン、過酸の付加 アルケンへのハロゲンの付加について、環状中間体の生成機構とともに理解し、説明できる。アルケンへの過酸の付加について、過酸の性質とともに理解し、説明できる。
12週 アルケンへのオゾン、水素の付加、アルケンの相対的安定性 アルケンへのオゾン、水素の付加について、反応機構とともに理解できる。多置換アルケンの相対的安定性について理解できる。
13週 アルキンの構造、アルキンへのハロゲン化水素、ハロゲンの付加 アルキンへのハロゲン化水素、ハロゲンの付加について、アルケンとの違いとともに理解し、説明できる。
14週 アルキンへの水、ボラン、水素の付加 アルキンへの水、ボラン、水素の付加生成物を予測できる。ケトーエノール互変異性化について、説明できる。
15週 期末試験
16週 アルキンの酸性度とアセチリドアニオン アルキンへの水素の付加について、接触水素化と溶解金属還元の二種類を説明できる。アセチリドアニオンの生成と反応性について説明できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。4前1
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。4前9,前10,後2,後3
σ結合とπ結合について説明できる。4前3
混成軌道を用い物質の形を説明できる。4前4,前5
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。4前2
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。4前6,後4
共鳴構造について説明できる。4前6
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。4前9,前10,前11
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。4前12,前13,前14,前16,後1,後3
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。4前12,前13,前14,前16,後1,後3
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。4前6,前9,前10,前11,後2,後13
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。4後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後16
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。4後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後16
無機化学イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4前7
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。4前2
電子配置から混成軌道の形成について説明することができる。4前4,前5
水素結合について説明できる。4前2

評価割合

試験レポート合計
総合評価割合8020100
基礎的能力8020100
専門的能力000