物理化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 群馬工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 物理化学Ⅰ
科目番号 3K012 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:P.W. Atkinsら著,アトキンス物理化学要論第7版,東京化学同人
参考書:真船文隆ら著,化学はじめの一歩シリーズ物理化学,化学同人
参考書:福地賢治ら著,PEL物理化学,実教出版
担当教員 羽切 正英

到達目標

専門分野の基礎としての物理化学,特に平衡概念と熱力学との関係,反応速度論について学び,以下の内容を会得する。
① 相平衡理論について理解し, 熱力学の概念と物質の状態とを結びつけて考えることができる。
② 反応の進行と平衡が熱力学的にどのように取り扱われるかを理解し, 基本的な計算ができる。
③ 反応速度論について理解し, 反応速度に関する基本的な計算ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1自由(断熱)膨張(圧縮)におけるエントロピーと仕事量を計算できる。自由(断熱)膨張(圧縮)におけるエントロピーと仕事量について基礎的な計算ができる。自由(断熱)膨張(圧縮)におけるエントロピーと仕事量を計算できない。
評価項目2純物質の状態図を理解して、蒸気圧曲線を十分に説明できる。純物質の状態図を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。純物質の状態図、蒸気圧曲線を説明できない。
評価項目32成分系の状態図を理解して、気液平衡を十分に説明できる。2成分系の状態図を理解して、気液平衡を説明できる。2成分系の状態図、気液平衡を説明できない。
評価項目4束一的性質を十分に説明できる。束一的性質を説明できる。束一的性質を説明できない。
評価項目5ギブズエネルギー、平衡定数を理解し、両者の関係式を導き、計算できる。ギブズエネルギー、平衡定数を理解し、両者の関係式を導き、基礎的な計算ができる。ギブズエネルギー、平衡定数の関係について理解しておらず、計算できない。
評価項目6化学反応速度式を表すことができ、様々な積分型速度式を導くことができる。化学反応速度式を表すことができ、基礎的な積分型速度式も導くことができる。化学反応速度式を表すことができない。積分型速度式も導くことができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程 C 説明 閉じる

教育方法等

概要:
化学熱力学の基礎、純物質の相平衡、混合物の性質、化学平衡、化学反応速度論について講義する。
授業の進め方・方法:
板書またはスライド投影を主体とした通常授業。必要に応じてプリント等を配布して説明する。
注意点:
予習復習をして講義に臨むこと。
レポート、課題等の提出期限を守ること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 化学熱力学の基礎(1) エンタルピー,エントロピー,ギブスエネルギー
2週 化学熱力学の基礎(2) 断熱過程,ポアソンの式
3週 化学熱力学の基礎(3) カルノーサイクル,可逆的熱サイクルの効率
4週 純物質の相平衡(1) ギブスエネルギーの圧力変化
5週 純物質の相平衡(2) ギブスエネルギーの温度変化
6週 純物質の相平衡(3) 相図,相律
7週 純物質の相平衡(4) クラペイロンの式
8週 中間試験
2ndQ
9週 混合物の性質(1) 混合物の熱力学的記述
10週 混合物の性質(2) 化学ポテンシャルの組成変化
11週 混合物の性質(3) ラウールの法則,理想溶液,ヘンリーの法則
12週 混合物の性質(4) 束一的性質(沸点や凝固点の変化)
13週 混合物の性質(5) 束一的性質(浸透)
14週 混合物の性質(6) 混合物の相図
15週 前期期末試験
16週 まとめ
後期
3rdQ
1週 化学平衡の原理(1) 反応ギブスエネルギーの組成変化
2週 化学平衡の原理(2) 平衡定数,標準反応ギブスエネルギー
3週 化学平衡の原理(3) 諸条件による平衡の移動(温度の効果)
4週 化学平衡の原理(4)
諸条件による平衡の移動(圧力の効果)
5週 化学平衡の原理(5) 均一および不均一反応の平衡
6週 化学平衡の原理(6) ファントホッフの式
7週 中間試験
8週 反応速度(1) 反応速度の定義
4thQ
9週 反応速度(2) 速度式,反応次数
10週 反応速度(3) 反応速度の解析法
11週 反応速度(4) 積分型速度式
12週 反応速度(5) 複合反応の速度式
13週 反応速度(6) 定常状態近似
14週 反応速度(7) 遷移状態,反応速度の温度依存性
15週 後期期末試験
16週 まとめ

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学放射線の種類と性質を説明できる。4
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。4
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。4
気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。4前1
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。4前3,前5
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。4前4,前5
臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。4前5
混合気体の分圧の計算ができる。4前1
純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。4前8
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。4前8
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。4前8
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。4前8
エンタルピーの温度依存性を計算できる。4前8
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。4前8
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる。4前9,前11
純物質の絶対エントロピーを計算できる。4前9,前10
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。4前10,前11
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。4
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。4前14,後1,後2,後3
平衡定数の温度依存性を計算できる。4後15
気体の等温、定圧、定容および断熱変化のdU、W、Qを計算できる。4前12,前13
反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。4後4
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。4後5
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。4後12,後13
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。4後4,後5,後13
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。4後6

評価割合

試験課題等相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力2010000030
専門的能力6010000070
分野横断的能力0000000