化学工学

科目基礎情報

学校 群馬工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 化学工学
科目番号 4K013 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 化学系学生のための化学工学
担当教員 工藤 翔慈

到達目標

物理化学および化学現象を定量的に把握し、モデルとして表現できる能力を身付ける。
□[物質収支と]と[エネルギー収支]の取り方について学習し、定量的表現ができ、計算できる。
□[流体の性質]と[流れ]の定量的表現を理解し、最適輸送設計ができる。
□熱の伝わり方である「伝導伝熱」、「対流伝熱」、および「放射伝熱」の機構と特徴について学び、伝熱量の計算ができる。
□熱交換器の種類と設計方法について学習し、設計計算ができる。
□拡散について学習し、拡散速度が計算できる。
□気液および液液平衡を理解し、物質移動速度が計算できる。
□ガス吸収速度を計算できる。
□単蒸留、精留の基礎式を表せ、設計計算が出来る。
□抵抗を考慮した単一粒子運動の力収支式をたて、終末速度が計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1物質収支とエネルギー収支が取れ、計算できる。基礎的な物質収支とエネルギー収支が取れ、計算できる。基礎的な物質収支とエネルギー収支が取れ、計算できない。
評価項目2流体工学、伝熱工学を説明でき、圧力損失、ポンプ所要動力、伝導、対流、輻射伝熱量が計算できる。流体工学、伝熱工学を説明でき、基礎的な圧力損失、ポンプ所要動力、伝導、対流、輻射伝熱量を計算できる。流体工学、伝熱工学を説明できず、圧力損失、ポンプ所要動力、伝導、対流、輻射伝熱量を計算できない。
評価項目3拡散、ガス吸収、蒸留を説明でき、速度および設計計算ができる。拡散、ガス吸収、蒸留を説明でき、基礎的な速度および設計計算ができる。拡散、ガス吸収、蒸留を説明できず、速度および設計計算ができない。
評価項目4機械的単位操作について説明でき、速度および装置設計ができる。機械的単位操作について説明でき、基礎的な速度および装置設計ができる。機械的単位操作を説明できず、速度および装置設計ができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程 C 説明 閉じる

教育方法等

概要:
○化学工学量論
 SI単位の正しい使い方、次元解析法、各種図の使用方法について演習を通して学ぶ。
 物質収支、およびエネルギー収支の取り方と演習を行う。
○流体工学
 流体の種類、粘度、流れ形式と速度分布、および直管内の圧力損失について学習する。
 流れ系の「連続の式」、「運動方程式」、および「エネルギー方程式」について理解する。
 配管類による摩擦損失を考慮した所用動力の計算法について学習し、流体輸送設計力を身に付ける。
 流動に関する測定法、および輸送機械について学習する。
○伝熱工学
 熱伝導度の定義と固体、液体、および気体の熱伝導機構について学習する。
 均質媒体中、および多層壁の定常伝導伝熱の温度分布式、伝熱速度式および伝熱量について学習する。
 対流伝熱係数と総括伝熱係数の定義、無次元数と種々の伝熱係数推算式について学習する。
 凝縮および沸騰を伴う伝熱機構を理解する。
 流れ方向と対数平均温度差、および熱交換器設計方法について学び、設計力を身に付ける。
 黒体放射と実在物体放射伝熱の違いについて理解し、角関係、灰色体について学習し、
 面放射間伝熱量の計算力を身に付ける。
○物質移動論
 拡散現象の基礎から入り、二重境膜説の解釈と物質移動係数を考えることにより、物質の移動速度を理解する。
○拡散的単位操作
 「ガス吸収および設計」「蒸留および蒸留塔設計」、「抽出」機構について理解する。
○機械的単位操作
 「粒度分布」、「単一粒子の運動」について学習し、「集塵装置」、「濾過装置」について理解する。
授業の進め方・方法:
関数機能付き電卓
注意点:

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 化学工学とは:化学工学の歴史、化学工学の基礎と分類、および具体的応用例 化学工学の概要を説明できる。
2週 単位系と次元解析:単位系、国際(SI)単位と単位換算
無次元数と次元解析法および演習
(SI)単位と単位換算
無次元数と次元解析法および演習
SI単位への単位換算ができる。
3週 物質収支Ⅰ:化学反応量論の基礎、混合物の組成
物質収支の取り方と実例(燃焼)
物質収支の取り方と実例(燃焼)
物質の流れと物質収支についての計算ができる。
4週 物質収支 : 乾燥、蒸留の物質収支と演習 化学反応を伴う場合と伴わない場合のプロセスの物質収支の計算ができる。
5週 エネルギー収支Ⅰ:エネルギー源と形態(熱力学の復習)
エネルギー収支の取り方と実例(燃焼)
エネルギー収支が計算できる。
6週 エネルギー収支Ⅱ:エンタルピーを用いたエネルギー収支 エネルギー収支が計算できる。
7週 計測:温度、圧力、液位、流量の計測方法 温度、圧力、液位、流量の計測方法と代表的な測定機器(装置)について理解している。
8週 第7回目までの復習 第7回目までの復習課題に解答し、解説を聞いて不正解な問題を理解して説明できる
2ndQ
9週 流体の運動と摩擦:流体の種類と分類、流体の流動特性
ニュ-トンの粘性法則、レオロジー
レイノルズ数、層流と乱流の速度分布
Hagen-Poiseuille 法則、Fanning の式
管径と流速・流量・レイノルズ数の計算ができ、流れの状態(層流・乱流)の判断ができる
10週 連続の式 、運動方程式、ベルヌーイの式 :流れ場におけるける連続方程式
運動方程式(Euler とNavier-Stokes の式)
エネルギー方程式(Bernoulli 定理) 
流れのエネルギー収支やエネルギー損失の計算ができる。
11週 輸送設計: 全エネルギー収支と所用動力の計算、
最適輸送設計
流動に関する測定法全エネルギー収支と所用動力の計算、
最適輸送設計
流動に関する測定法
流体輸送の動力の計算ができる。
12週 伝導伝熱 :熱伝導度(固体、液体、気体の熱伝導機構)
均質媒体伝導伝熱(平板、円筒、中空球)、
多層壁の伝熱
熱伝導による熱流量について説明できる。
13週 対流伝熱
熱交換装置 :対流伝熱の分類と対流および総括伝熱係数



熱交換器内の熱流量について説明できる。
14週 熱交換装置の種類、熱交換器の設計計算 熱交換器の構造、熱収支について説明できる。
15週 輻射伝熱Ⅰ :黒体放射、放射強度、Plank の黒体放射理論、
Stefan-Boltzman 則
放射伝熱について説明できる。
16週 期末試験
後期
3rdQ
1週 拡散: 拡散の基礎(濃度表示と物質流束)
Fick則と拡散係数
拡散について説明できる。
2週 境膜と物質移動係数: 二重境膜説、境膜物質移動係数と総括物質移動係数 二重境膜説と物質移動係数を説明できる。
3週 ガス吸収 :気体の溶解度、物理吸収と化学吸収 気体溶解度が計算でき、ガス吸収速度を説明できる。
4週 ガス吸収装置: ガス吸収装置の種類と充填塔の設計 ガス吸収装置について説明できる。
5週 蒸留:気液平衡、温度ー組成線図、共沸
単蒸留の計算
蒸留の原理について理解している。
6週 連続蒸留 :連続蒸留の計算 単蒸留、精留・蒸留装置について理解している。
流れの物質収支の計算ができる。
7週 精留 :精留塔の設計
蒸留の計算についての計算ができる(ラウールの法則、マッケーブシール法等)。
8週 中間試験
4thQ
9週 蒸発:蒸発装置、蒸発缶の物質収支と熱収支 蒸発装置について説明できる。
蒸発缶の物質収支と熱収支の計算ができる。
10週 抽出:液液平衡と三角線図、抽出操作の計算 液液平衡と三角線図について説明できる。
抽出操作の計算をできる
11週 吸着、膜分離:吸着、膜分離の原理・目的・方法 吸着や膜分離の原理・目的・方法を説明できる
12週 粒子の運動 :粒子径、平均径、粒度分布
流体中の単一粒子の運動
平均径、粒度分布を計算できる。
13週 終末速度:終末速度の計算 粉砕、沈降、濾過、集塵方法について理解し、必要な計算ができる。
14週 濾過:濾過の原理・目的、方法、Ruthの定圧濾過式と濾過装置 濾過の原理・目的・方法を理解している。
濾過速度を計算できる。
15週 期末試験
16週 試験答案返却:試験解説
反応装置工学:バッチ式反応装置と連続式反応装置、槽型反応装置と管型反応装置
答案の不正解ヵ所を修正し正答できる
バッチ式と連続式反応装置について特徴や用途を説明できる。

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力1000002030
専門的能力600000060
分野横断的能力100000010