概要:
「物理化学」、「有機材料工学」、「無機材料工学」、「生物工学」、「高分子化学」、および「化学工学」の基礎となる基本的事項について実験を行う。特に物質変換の素となる化学反応物の性質、反応理論、反応方法、生成物の生成速度、物性、および分離等に関連するテーマについて実験するとともに種々の測定装置の取り扱い方について学習する。また、報告書は実験データの電算処理、形式、表やグラフの正しい描き方等を学習する。
授業の進め方・方法:
実験テーマの内、6テーマについて実験を行い、報告書を提出する。
注意点:
実験ノート、実験着(白衣等)、保護メガネ、実験用靴、関数機能付き電卓
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
「物質工学実験の意義」、「安全上の注意」、「報告 書の書き方」、「各実験テーマの内容」について説明 。 |
実験の意義と安全について、説明できる。
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2週 |
「実験装置の組立」、「実験道具、薬品の確認」、「 実験方法の理解」 、「実験計画」を行う。 「実験廃液の取り扱い方法」を学習する。 |
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3週 |
○反応速度 擬1次反応速度を追跡し、反応速度定数を求める。反応温度を変化させ、アレニウスパラメータの決定
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擬1次反応速度を追跡し、反応速度定数を求め、反 応温度を変化させ、アレニウスパラメータを計算できる。
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4週 |
○色素吸着 ナイロンに対する色素の吸着等温線を求め、フロイントリッヒの式およびラングミュアの式のグラフと比較考察する。
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ナイロンに対する色素の吸着等温線を求め、フロイントリッヒの式およびラングミュアの式のグラフと比較できる
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5週 |
○電解重合 チオフェン等を電解重合して導電性ポリマーフィルムを作製する。その電気抵抗の測定などを通して導電性ポリマーの合成法や電導機構等について理解を深める |
チオフェン等を電解重合して導電性ポリマーフィルムを作製する。その電気抵抗の測定などを通して導電性ポリマーの合成法や電導機構等に説明できる。
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6週 |
○通気攪拌槽の物質移動容量係数(KLa)の測定 バイオリアクターの代表である通気攪拌式反応器を用いて、好気性微生物培養槽を想定した酸素移動容量係数を測定する。隔膜型電極、DO測定法、およびガス 吸収理論について学ぶ。
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好気性微生物培養槽を想定した酸素移動容量係数を測定する。隔膜型電極、DO測定法、およびガス吸収理論について説明できる。
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7週 |
○流動層型バイオリアクターの流動特性 酵素の固定化は有効な方法であり、球状粒子に固定化する場合も多用されている。バイオリアクターの基本形式である粒子が動かない充填層、粒子が浮遊している流動層について、圧損、空隙率変化、最小流動化速度を測定し、理論と比較する。
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流動層について、圧損、空隙率変化、最小流動化速 度を計算し、理論と比較できる。
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8週 |
○恒圧濾過 生物系および材料系固液分離操作に濾過操作は重要である。圧濾器により恒圧濾過の実験を行い、Ruth の恒圧濾過式を用いて整理し、濾過機構について理解する。
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Ruth の恒圧濾過式を用いてデータ整理し、濾過機構について説明できる。
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2ndQ |
9週 |
○二重管式熱交換器 熱交換器の総括伝熱係数を測定し、文献値および推算値と比較するとともに、設計方法を学ぶ。
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熱交換器の総括伝熱係数を測定し、文献値および推算値と比較するとともに、設計方法を説明できる。
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10週 |
○粉砕と粒度 粉砕は固体材料に外的力学エネルギーを加え、より小さい固体にする操作である。その目的は希望の大きさに整粒、表面積の増大、および混合効果促進である。 そして得られた固体材料破砕物の粒径分布を測定することは材料ハンドリングにおいて重要である。本テーマでは、ボールミルで種々の材料を粉砕し、電動篩いによる篩い分け法、さらい細かい粒子はアンドレアゼンピペット、および光透過式液相沈降法により、粒度分布を測定し、ストークス式、分布式を理解する。
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固体材料破砕物の粒径分布を測定できる。
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11週 |
○単蒸留 合成反応などにおいて反応物の純度を上げることは重要であり、蒸留操作が一般的に用いられている。本テーマでは2成分系を試料として単蒸留を行い、理論値と比較する。また物質収支、図積分について学び、蒸留の原理を修得する。
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物質収支、図積分について学び、蒸留を説明できる。
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12週 |
○蒸気圧の測定 種々の液体の蒸気圧を測定し、文献値と比較するとともに、Clapeyron-Clausius の式を理解する。 |
Clapeyron-Clausius の式を説明できる。
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13週 |
○ラジカル重合と吸収・蛍光スペクトル ビニルカルバゾールのラジカル重合によりポリビニルカルバゾールを合成し、NMRにより同定するとともに、その溶液の吸収・蛍光スペクトルを測定する。 |
ラジカル重合機構を説明でき、吸収・蛍光スペクトルについて説明できる。
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14週 |
○起電力と伝導率の測定 種々の電解質溶液濃度でダニエル電池の起電力を測定する。 酢酸、塩酸、塩化カリウム水溶液の伝導率を測定する。 |
起電力からギブス自由エネルギーを求めることができる。 伝導度について、弱電解質と強電解質の違いを説明できる。
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15週 |
○粘度測定 エタノール水溶液について種々の混合比で粘度を求め、さらに、ポリビニルアルコール水溶液の粘度測定から分子量を求める。 |
粘性が溶液組成や溶質の分子量に依存することを説明できる。
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16週 |
総括、実験装置および器具等の整理。 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 分析化学 | 中和滴定についての原理を理解し、酸及び塩基濃度の計算ができる。 | 4 | |
物理化学 | 反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。 | 4 | |
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。 | 4 | |
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。 | 4 | |
化学工学 | SI単位への単位換算ができる。 | 4 | |
管径と流速・流量・レイノルズ数の計算ができ、流れの状態(層流・乱流)の判断ができる。 | 4 | |
流れの物質収支の計算ができる。 | 4 | |
蒸留の原理について理解できる。 | 4 | |
単蒸留、精留・蒸留装置について理解できる。 | 4 | |
蒸留についての計算ができる(ラウールの法則、マッケーブシール法等)。 | 4 | |
分野別の工学実験・実習能力 | 化学・生物系分野【実験・実習能力】 | 分析化学実験 | 中和滴定法を理解し、酸あるいは塩基の濃度計算ができる。 | 4 | |
代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。 | 4 | |
物理化学実験 | 温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。 | 4 | 前2 |
各種密度計(ゲールサック、オストワルド等)を用いて、液体および固体の正確な密度を測定し、測定原理を説明できる。 | 4 | 前11 |
粘度計を用いて、各種液体・溶液の粘度を測定し、濃度依存性を説明できる。 | 4 | 前13 |
熱に関する測定(溶解熱、燃焼熱等)をして、定量的に説明できる。 | 4 | 前13 |
分子量の測定(浸透圧、沸点上昇、凝固点降下、粘度測定法等)により、束一的性質から分子量を求めることができる。 | 4 | 前13 |
相平衡(液体の蒸気圧、固体の溶解度、液体の相互溶解度等)を理解して、平衡の概念を説明できる。 | 4 | 前12 |
基本的な金属単極電位(半電池)を組み合わせ、代表的なダニエル電池の起電力を測定できる。また、水の電気分解を測定し、理論分解電圧と水素・酸素過電圧についても説明できる。 | 4 | 前5 |
反応速度定数の温度依存性から活性化エネルギーを決定できる。 | 4 | 前3 |
化学工学実験 | 流量・流速の計測、温度測定など化学プラント等で計測される諸物性の測定方法を説明できる。 | 4 | 前7 |
液体に関する単位操作として、特に蒸留操作の原理を理解しデータ解析の計算ができる。 | 4 | 前11 |
流体の関わる現象に関する実験を通して、気体あるいは液体の物質移動に関する原理・法則を理解し、物質収支やエネルギー収支の計算をすることができる。 | 4 | 前9 |