生物生産工学

科目基礎情報

学校 群馬工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 生物生産工学
科目番号 0044 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 担当者が作成,プリントしたテキストを用いる。参考書:応用生命科学の基礎(永井 和夫ほか,東京化学同人),バイオプロダクション(化学工学会バイオ部会,コロナ社),新・微生物学(別府輝彦,IBS出版)
担当教員 宮越 俊一

到達目標

□ 物質生産に有用な生物,特に微生物にどのようなものがいるか,理解できる。
□ 微生物や培養細胞等による有用物質の生産について,その基本的技術と実用化のプロセスを理解できる.
□ 遺伝子組換え技術をはじめとするバイオテクノロジーについて,その基礎から応用までを理解できる.
□ 生物多様性の意義を地球環境とのかかわりや産業利用の視点から理解できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1物質生産に有用な生物,特に微生物にどのようなものがいるか,系統分類とのかかわりから理解できる.物質生産に有用な生物,特に微生物にどのようなものがいるか,理解できる.物質生産に有用な生物,特に微生物にどのようなものがいるか,理解できない.
評価項目2微生物や培養細胞等による有機酸,アミノ酸等の有用物質の生産について,そこに用いられた各種技術と実用化のプロセスについて説明できる.微生物や培養細胞等による有機酸,アミノ酸等の有用物質の生産について,その基本的技術と実用化のプロセスを理解できる.微生物や培養細胞等による有機酸,アミノ酸等の有用物質の生産について,その基本的技術と実用化のプロセスを理解できない.
評価項目3遺伝子組換え技術をはじめとするバイオテクノロジーについて,その原理と物質生産への応用までを実例も交えて説明できる.遺伝子組換え技術をはじめとするバイオテクノロジーについて,その原理と物質生産への応用までを理解できる.遺伝子組換え技術をはじめとするバイオテクノロジーについて,その原理と物質生産への応用までを理解できない.
評価項目4生物多様性の意義を地球環境とのかかわりや産業利用の視点から実例も交えて説明できる.生物多様性の意義を地球環境とのかかわりや産業利用の視点から理解できる.生物多様性の意義を地球環境とのかかわりや産業利用の視点から理解できない.

学科の到達目標項目との関係

準学士課程 C 説明 閉じる

教育方法等

概要:
生命科学の発展により,生物機能を利用した生産技術も変革を遂げている。食糧をはじめとする人間生活に必要な資源や素材の生産,地球環境との関連,資源生物の多様性の理解も重要性を増している。生物生産の立場からバイオテクノロジーや発酵生産の応用について理解・応用できるとともに,地球環境も視野に入れた能力を身につける。バイオテクノロジーが支える生物生産工学的視点から授業を行う。生命科学の成果を応用した諸技術と産業化のプロセスを,発酵工業をはじめとする生物生産の事例から学習する。産業上の利用上も地球環境的見地からも生物多様性とその維持が重要であることを理解する。
授業の進め方・方法:
配布するテキストと板書による授業を原則とし,必要に応じて視聴覚教材を併用する。
注意点:
生物の普遍性と多様性の重要性にふれながら解説してゆくので,積極的に出席・質問して,ノートをしっかり取ること。
生物の機能の巧妙さとそれを物質生産に応用する知恵や現場の感覚を感じ取ってほしい。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 生物生産工学概説 生物の機能をそれを応用した物質生産について,実例を含めて概要を理解できる。
2週 微生物の多様性,発酵工業,工業的に用いられる微生物 微生物の多様性を知るとともに,発酵工業,工業的に用いられる代表的な原核微生物,真核微生物についてそれぞれ理解できる。
3週 微生物の培養,生理・生化学,育種 微生物の培養,増殖,育種などについて理解できる。一次代謝と二次代謝についてその経路から応用までを理解できる。
4週 醸造工業(1) 中央代謝経路とエタノールや有機酸の発酵生産 中央代謝経路との関連で,エタノールや乳酸,クエン酸といった物質の発酵生産と生産性向上について理解できる。
5週 醸造工業(2) アミノ酸発酵,核酸発酵 代謝制御発酵などによる,アミノ酸や核酸の生産性向上の原理・技術や育種について理解できる。
6週 抗生物質ほか生理活性物質の探索と生産(医薬・農薬) カビや放線菌の生産する抗生物質をはじめとする医薬等の有用性や,探索研究について理解できる。
7週 環境問題への取組み,環境浄化,バクテリアルリーチング 微生物を用いた廃水処理・バイオレメディエーションについて理解できる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 酵素の生産,生体触媒と微生物変換 微生物による酵素の工業的生産,酵素や微生物などの生体触媒を用いた物質生産についてその利点や限界も含めて理解できる。
10週 遺伝子組換え技術,有用タンパク質の発現 遺伝子組換え技術の原理と,従来技術と比べてすぐれている点,留意すべき点について理解できる。
11週 医薬品の生産(インスリン,抗体医薬など) 遺伝子組み換え技術を用いた微生物や培養細胞による,医薬品などへの応用例について理解できる。
12週 遺伝子組み換え作物,食糧生産,細胞培養技術 作物(食用)や観賞用など,バイオテクノロジーの植物への応用例について説明できる。
13週 トランジェニック動物,クローン技術,幹細胞と再生医療 バイオテクノロジーの動物や再生医療への応用例について理解できる。
14週 生物多様性の可能性と重要性,熱帯資源,海洋資源,生物多様性条約と関連法規,生命倫理 生物多様性の可能性と重要性について,実例も含めて理解できる。
15週 地球環境の変化,温室効果ガスと生物,バイオ燃料 地球環境問題とこれらに対するバイオ関連技術の可能性について理解できる。
16週 定期試験

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合801001000100
基礎的能力205050030
専門的能力405050050
分野横断的能力200000020