科目基礎情報

学校 群馬工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 倫理
科目番号 3C002 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 環境都市工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 『テオーリア 最新倫理資料集』:第一学習社
担当教員 岩井 尚龍

到達目標

□人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。
□ (知識・技能)人間存在にかかわる哲学、倫理、宗教、心理、現代の諸課題などのテーマについて学ぶことを通して、理解を深めることができる。
□ (思考・判断・表現)人間存在にかかわる哲学、倫理、宗教、心理、現代の諸課題などのテーマについて、一人ひとりが主体的に考察し、自分の意見をまとめ、表現することができる。
□ (主体的に学習に取り組む態度)自分から進んで先哲の書物や研究書などを読み、思索を深めたり、周囲の人たちと対話したりすることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1哲学、倫理、宗教、心理等についての学習を通して、学び方を身に付け理解を深めている。哲学、倫理、宗教、心理等についての学習を通して、学び方を身に付け理解しようと努めている。哲学、倫理、宗教、心理等についての学習を通しての学び方や理解が不十分である。
評価項目2先哲の思想や現代の思想に関心を持ち、資料をよく読み、自分の考えをまとめ、表現している。先哲や現代の思想を理解しようと努力し、自分の考えを持とうとしたり表現しようとしている。先哲や現代の思想への理解が不十分で、自分の考えを持ったり表現しようとしていない。
評価項目3自分から進んで倫理的諸課題について思索を深めたり、対話したりしている。倫理的諸課題について思索を深めたり、対話したりしようとしている。倫理的諸課題について思索を深めたり、対話したりしようとする姿勢がみられない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
・この授業のコンセプトあるいはフレームワークは、この科目が包括する内容(哲学、倫理学、宗教学、心理学、日本思想)のサーベイ・コースである。
・人生、家族、社会、国家、世界等が直面する諸課題やそのなかでの人間としての在り方生き方について、考察を深めるための知のツールやスキルを得ることを目的とする。
・過去及び現代社会における倫理的な諸課題を取り上げ、ともに考察していきたい。
授業の進め方・方法:
講義形式。その他、副教材としてプリントを適宜配布する。参考書は、その都度紹介する。
※参考書
〔哲学倫理入門書として薦めたい本〕
岩田靖夫『ヨーロッパ思想入門』(岩波ジュニア新書)
岩田靖夫『いま哲学とは何か』(岩波新書)
岩田靖夫『よく生きる』(ちくま新書)
竹田青嗣『哲学ってなんだ』(岩波ジュニア新書)
高橋昌一郎『哲学ディベート』(NHKブックス)
小熊英二『社会を変えるには』(講談社現代新書)
ラッセル『哲学入門』(ちくま学芸文庫)
橋爪大三郎・大澤真幸『ふしぎなキリスト教』(講談社現代新書)
西研『ヘーゲル・大人のなり方』(NHKブックス)
〔古典〕
プラトン『ソクラテスの弁明』『饗宴』などソクラテス対話篇(岩波文庫、新潮文庫)
デカルト『方法序説』(岩波文庫)
ラッセル『幸福論』(岩波文庫)
ベルクソン『笑い』(岩波文庫)
ミル『自由論』(光文社古典新訳文庫)
注意点:
・ノートは必ず用意し、板書等要点を書き留めてもらいたい。またプリントをファイルしてもらいたい。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 イントロダクション
現代社会の倫理的課題について
さまざまな人間観について
倫理を学ぶ意味や学び方を理解する
現代社会の倫理的課題について知る
人間についての代表的な捉え方を知る
2週 青年期の特質と心理について 青年期の特質と課題を理解する
適応、パーソナリティ、性格について理解する
3週 自然哲学について
ソフィストについて
学問の起源について知る
デモクラシーの確立と相対主義について理解する
4週 ソクラテスについて
プラトンについて
対話と魂の配慮について学び、よく生きることについて理解する
理想主義について理解する
5週 アリストテレスについて
ヘレニズム思想について
現実主義的存在論や道徳論を理解する
コスモポリテースの思想の特徴を知る
6週 旧約聖書とユダヤ教について
イエスとキリスト教思想について
一神教の世界観とユダヤ教の特徴を知る
律法の内面化とキリスト教思想の展開について理解する
7週 イスラームについて イスラームについて知る
8週 中間試験
2ndQ
9週 古代インド宗教について
ゴータマブッダと仏教思想について
インド思想の特徴を知る
四諦、無我から空や唯識思想への発展を理解する
10週 春秋戦国と諸子百家について
孔子の思想について
国家の繁栄に必要な条件とは何か知る
古代共同体文化と仁を理解する
11週 儒教の展開と朱子学、陽明学について
儒家批判の思想について
性善説、性悪説、朱子学、陽明学の概要を理解する
老荘思想について理解する
12週 日本文化の特徴について
日本仏教について
日本文化の固有性と重層性について知る
仏教の日本導入の特徴、日本化した特徴について理解する
13週 日本儒学について
国学について
民衆思想について
儒教の導入の特徴、日本化した特徴を知る
国学の誕生とその特徴について理解する
江戸期の民衆の思想について知る
14週 幕末の思想
明治維新と西洋近代思想の受容について
日本文学と近代的自我の確立について
西洋思想との邂逅と受容の特徴を知る
維新後の啓蒙期、自由民権思想や基督教、社会主義の受容、国家主義等について知る
15週 日本哲学の確立について
民衆文化理解について
現代日本の思想的課題について
西田、和辻、鈴木大拙の思想について知る
民俗学や民芸運動について理解する
近代批評や政治状況批判について考える
16週 期末試験
後期
3rdQ
1週 ルネサンスの思想について
宗教改革の思想について
モラリストについて
自由意志論、君主論について理解する
その革新性と保守性、影響を知る
混乱期の生き方と世界認識について知る
2週 近代科学の誕生について
経験主義について
理性主義について
新しい自然観を理解する
英国思想の特徴と問題点を理解する
大陸思想の特徴と問題点を理解する
3週 ドイツ理想主義について カントの認識論と倫理思想を理解する
ヘーゲル哲学の特徴と現実社会とのコミットメントについて理解する
4週 社会契約説について
功利主義について
プラグマティズムについて
その歴史的意義と特徴とを理解する
自由経済と倫理的諸課題について知る
真理の有用性や道具主義について理解する
5週 社会主義について その誕生の経緯や歴史的背景を理解する
マルクスの思想の概要を理解する
6週 19世紀の実存主義について キルケゴールの主体的真理や実存を知る
ニーチェのニヒリズムとキリスト教道徳批判について理解する
7週 20世紀の実存主義について 限界状況、死への存在、アンガージュマン等の実存の捉え方について理解する
8週 中間試験
4thQ
9週 現代思想の源流について 心理学、生の哲学、現象学について学び、その現代思想への影響を知る
10週 ナチズム、全体主義批判について フランクフルト学派の批判理論を知る
反全体主義思想によるナチズム批判について理解する
11週 現代の政治哲学について 正義論、リバタリアニズム、コミュニタリアニズム、リベラリズム等について考える
12週 大衆社会、現代社会批判について 大衆社会への批判について知る
現代の世界における経済的構造への倫理的アプローチを理解する
13週 言語学を起源とする思想・哲学について 構造主義について学び、その後の思想への影響について理解する
分析哲学、科学哲学について知る
14週 現代のヒューマニズムについて
現代社会の倫理的課題(1)
社会の諸課題に実践と参加で立ち向かった人々について知る
生命倫理とその諸課題について考える
15週 現代社会の倫理的課題(2) 環境倫理とその諸課題について考える
家族及び情報社会の諸課題について知る
多文化共生と国際平和について考える
16週 期末試験

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力80000020100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000