回路理論

科目基礎情報

学校 群馬工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 回路理論
科目番号 49 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 生産システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 石橋幸男: 「アナログ電子回路」, 培風館
担当教員 富澤 良行

到達目標

 エレクトロニクスの技術は我々の普段の生活にすみずみまで入り込み、それは今やすべての産業にとって欠かすことのできない技術である。そのエレクトロニクスの中核を成す1つが電子回路である。電子回路のIC化により個別に回路を設計製作することが減少してきているが、オリジナルな電子回路を創造しようとすると、電子回路、電気回路、電磁気学そしてまた半導体 物理学に関する基本的理解が欠かせない。
 5年生までの電子回路の学習では、これら基礎学問の学習が並行して進んでいることへの配慮から、トランジスタの動作と特性の理解に関しては定性的な理解にとどめた。また、電子回路の動作解析に関しても比較的簡単にすむものに限るか、時には定性的な説明に留めた。これまで本科で学習してきた電子回路の基礎的内容、および電気回路、電磁気学、物性物理学の基礎知識をもとにして、次のステップの理解を目標とする。つまり、本授業の目標は次のとおりである。
 □ 2端子対回路網を理解できる。
 □ バイポーラトランジスタの動作と特性を定量的に理解できる。
 □ FETトランジスタの動作と特性を定量的に理解できる。
 □ バイポーラトランジスタ数本程度の電子回路を設計できる。
 □ FETトランジスタ数本程度の電子回路を設計できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目12端子対回路網を理解でき、回路の諸量を計算できる。二端子対回路を設計できる。 2端子対回路網を理解でき、回路の諸量を計算できる。2端子対回路網を理解できる。
評価項目2バイポーラトランジスタの動作と特性を定量的に理解でき、回路の諸量を計算できる。 バイポーラトランジスタの動作と特性を定量的に理解できる。 バイポーラトランジスタの動作と特性を理解できる。
評価項目3FETトランジスタの動作と特性を定量的に理解でき、回路の諸量を計算できる。 FETトランジスタの動作と特性を定量的に理解できる。FETトランジスタの動作と特性を理解できる。
評価項目4バイポーラトランジスタ数本程度の電子回路を、実際の素子を用いて設計できる。 バイポーラトランジスタ数本程度の電子回路を設計できる。バイポーラトランジスタ数本程度の電子回路の動作と特性を理解できる。
評価項目5FETトランジスタ数本程度の電子回路を実際の素子を用いて設計できる。FETトランジスタ数本程度の電子回路を設計できる。FETトランジスタ数本程度の電子回路の動作と特性を理解できる。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 電子回路は大きくアナログ電子回路とデジタル電子回路に分類されるが、本授業では電気回路の基本的知識を素直に応用できるアナログ電子回路の基本回路にまとをしぼって、その標準的内容を学習する。
電気回路であつかう回路素子は電源、抵抗、コイル、コンデンサの4種類だけであるが、電子回路ではこれにトランジスタなどの半導体素子が加わる。電子回路に必要な電気回路の復習から始まり、5年生までに学習した物理学と電磁気学を基礎にしてダイオードやトランジスタなどの半導体素子の基本特性を定量的に理解することを目指す。さらに、小信号等価回路、基本増幅回路、各種増幅回路へと進む。これに関しては低周波における基本的内容を5年までにすでに学習すみであるが、その復習を通して実力をつけるとともに、新たに高周波特性など少し複雑な解析も加味する 。そして、これらの基本知識の応用として,集積回路でよく用いられる基本回路に発展する。
授業の進め方・方法:
講義ノートに沿って、教科書の該当箇所も指摘しながら、トランジスタとFETの増幅回路について解説する.
注意点:
・電気回路、電子回路の内容を理解していること。回路理論は電気・電子の幅広い知識が必要とされるので、履修の際は本科の数学、専門科目について十分復習しておくこと。
・本科目は、授業時間30時間に加えて、自学自習時間60時間が授業の前後に必要となる。具体的には、各回の学修内容に関連する課題を毎回出題する。各授業は前回までの課題を済ませていることを前提に進める。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電子回路に必要な基礎知識①
制御電源, 重ね合わせの定理
制御電源, 重ね合わせの定理について理解できる。
【課題1】重ね合わせの定理を用いた課題
2週 電子回路に必要な基礎知識②
テブナンの定理, 2端子対定数
テブナンの定理, 2端子対定数について理解できる。
【課題2】2端子対定数の相互変換課題
3週 電子回路に必要な基礎知識③
デシベル表示, 周波数特性の表現
デシベル表示, 周波数特性の表現について理解できる。
【課題3】梯子型回路の周波数特性導出
4週 半導体素子①
半導体, PN接合ダイオード
半導体, PN接合ダイオードについて理解できる。
【課題4】各種ダイオードについての調べ
5週 半導体素子②
バイポーラトランジスタ動作と静特性
バイポーラトランジスタ動作と静特性について理解できる。
【課題5】具体的な素子と数値を用いたトランジスタの各点の直流電圧・電流の導出
6週 半導体素子③
FETの動作と静特性
FETの動作と静特性について理解できる。
【課題6】具体的な素子と数値を用いたFETの各点の直流電圧・電流の導出
7週 小信号等価回路①
直流と信号の分離
電子回路の直流と信号の分離について理解できる。
【課題7】トランジスタ及びFETを用いた増幅回路から、直流及び小信号等価回路の導出
8週 小信号等価回路②
トランジスタの小信号等価回路
トランジスタの小信号等価回路について理解できる。
【課題8】パイ型等価回路から簡易等価回路への変換
2ndQ
9週 小信号等価回路③
FETの小信号等価回路
FETの小信号等価回路について理解できる。
【課題9】具体的な素子と数値を用いたFETの利得、入出力インピーダンス計算
10週 小信号等価回路④
トランジスタの高周波等価回路
トランジスタの高周波等価回路について理解できる。
【課題10】具体的な素子と数値を用いた高周波増幅回路の周波数特性の導出
11週 小信号等価回路⑤
FETの高周波等価回路
FETの高周波等価回路について理解できる。
【課題11】具体的な素子と数値を用いた高周波増幅回路の周波数特性の導出
12週 基本増幅回路①
トランジスタのバイアス回路
トランジスタのバイアス回路について理解できる。
【課題12】各種バイアス回路の安定指数の詳細な導出
13週 基本増幅回路②
トランジスタの基本増幅回路と多段接続増幅回路
トランジスタの基本増幅回路と多段接続増幅回路について理解できる。
【課題13】多段増幅回路から小信号等価回路の導出
14週 基本増幅回路③
FETのバイアス回路と基本増幅回路
FETのバイアス回路と基本増幅回路について理解できる。
【課題14】各種バイアス回路の安定指数の詳細な導出
15週 基本増幅回路③
FETの多段接続増幅回路
FETの多段接続増幅回路について理解できる。
【課題15】多段増幅回路から小信号等価回路の導出
16週 期末試験 期末試験問題の解き方を理解できる。

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力020000020
専門的能力800000080
分野横断的能力0000000