到達目標
この授業を履修することにより、有機化合物の構造と反応性の基礎的理解を深め、以下のことができるようになることが目標である。
・代表的な反応に関して、その反応機構が説明できる。
・電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 初見の反応であっても、生成物が与えられたとき、反応機構を適切に推測し、説明できる。 | 授業で扱った代表的な反応について、反応機構を書き、説明することができる。 | 反応機構の書き方がわからない。 |
評価項目2 | 初見の反応であっても、その基質の構造から推測して、反応物の構造、反応性等について、適切に推測することができる。 | 授業で扱った代表的な反応について、反応物の構造、反応性等について、適切に説明することができる。 | 反応の生成物の予測、および、反応性の予測が全くできない。 |
評価項目3 | | | |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
有機化学は生命科学、材料化学といった広範囲にわたる物質科学の基礎的な役割を果たす。有機化学的なものの考え方を知り、有機化合物の構造や性質、あるいは反応性等に関する基礎的知識を身につけることが、新たな世紀の重要な課題である環境問題、エネルギー問題等の解決にも必要不可欠であると思われる。
有機化学は、多少覚えなければいけない部分はあるにしても、反応物と試薬の組み合わせを覚える暗記の学問ではない。自発的に起きる変化にはすべて理由がある。反応機構についても解説するから、なぜそのような反応が起きるのか、位置選択性や立体選択性を示すのかを理解するように心掛けてほしい。
本講義では、2年「基礎有機化学」、3年「有機化学I」、4年「有機化学II」にひきつづき、該当科目で使用してきた教科書に沿って学ぶ。そのほか、教科書の範囲としてはすでに履修済みである部分についても、適宜詳細な反応機構の解説を行い、復習する予定である。
主な参考書は、以下の通り。
参考書:マクマリー 有機化学概説:John McMurry:東京化学同人:978-4807905881
参考書:マクマリー有機化学(上)(中)(下):John McMurry:東京化学同人:978-4807906116
参考書:ボルハルト・ショアー現代有機化学(上)(下): K.Peter C. Vollhardt, Neil E. Schore:化学同人:978-4759809633
参考書:ジョーンズ有機化学(上)(下):Jr.,Maitland Jones:東京化学同人:978-4807906314
参考書:モリソン・ボイド 有機化学(上)(中)(下):Robert T. Morrison, Robert N. Boyd:東京化学同人:978-4807904013
「マクマリー有機化学概説」は、コンパクトにまとめられており初学者にとって要点をつかむには便利な本であるが、詳しい解説が少ないという難点もある。より深く学習するためには、(背伸びをするのではなく)必要に応じて「マクマリー有機化学」(上・中・下)や、「ボルハルト・ショアー現代有機化学」(上・下)(合成好きな人向きという評)、「ジョーンズ 有機化学」(上・下)(反応機構の詳しさに定評)、「モリソン・ボイド 有機化学」(上・中・下)(詳しいという定評)、ソロモン、クラム、パイン、マーチなどの中から選ぶとよい。
なお、専攻科卒業後に大学院進学を考えている者で具体的な目標が定まっている者は、進学目標とする大学で使用している教科書を選択するとよい。
授業の進め方・方法:
専攻科の少人数授業の特性を生かし、一方的な知識の伝達だけの場とならないよう、講義形式で反応の紹介を行うとともに、ディスカッション形式を取り入れる。
また、前回までの授業内容に関した内容、および課題として調べるように指示した内容について、小テストを授業冒頭に行う。これにより、知識や考え方の定着を図る(第2週目以降、13回 × 各5%)。ただし、諸事情により小テストを行えない場合は、その分の割合を、期末試験に上乗せして評価することがある。なお、期末試験時には、総合的な問題を出題する予定である。
注意点:
暗記ではなく理解するように心掛けること。
授業中に判らないところがでてきた場合にはそのまま放置せず、発言、質問するなど、確認しながら進めること。
予習、復習を十分に行うこと。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
求核置換反応 溶媒効果 脱離基の効果 |
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2週 |
求核置換反応 SNi機構 |
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3週 |
三員環における求核反応 オキシラン環 シクロプロパン環 ハロニウムイオン マーキュリニウムイオン |
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4週 |
隣接基効果 |
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5週 |
脱離反応 同位体効果 骨格転位 E1-E2-E1CB |
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6週 |
脱離反応 カルボカチオンを中間体とする転位反応 |
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7週 |
速度論的支配と熱力学的支配 |
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8週 |
酸触媒と塩基触媒の比較 ホルマール化 エステル化と加水分解 |
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2ndQ |
9週 |
芳香族求電子反応 |
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10週 |
芳香族求核置換反応 活性化基 ジアゾニウム塩 ベンザイン機構 |
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11週 |
転位反応と中間体 カルボカチオン イソシアナート |
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12週 |
正電荷をもつ酸素上への転位 クメン法 バエヤービリガー反応 |
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13週 |
その他の転位 |
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14週 |
ペリ環状反応 |
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15週 |
定期試験 |
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16週 |
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評価割合
| 期末試験 | 小テスト | | | | | 合計 |
総合評価割合 | 35 | 65 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 35 | 65 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |