到達目標
・熱移動の3形式を定性的に理解し、定常および非定常の伝熱方程式を解いて、板・円筒・球殻での伝熱量を演算で求めることができる。
・熱交換器における伝熱機構を基礎的に考察し、熱交換機設計の基本的数値諸元を定量的に求めることができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 熱移動の3形式を定量的に理解し、定常および非定常の伝熱方程式を解いて、種々のモデルでの伝熱量を演算で求めることができる。 | 熱移動の3形式を定性的に理解し、定常および非定常の伝熱方程式を解いて、板・円筒・球殻での伝熱量を演算で求めることができる。 | 熱移動の3形式を定性的に説明できない。また、板・円筒・球殻での伝熱量を求めることができない。 |
評価項目2 | 熱交換器における伝熱機構を総合的に考察し、熱交換機設計の総合的数値諸元を定量的に求めることができる。 | 熱交換器における伝熱機構を基礎的に考察し、熱交換機設計の基本的数値諸元を定量的に求めることができる。 | 熱交換器における伝熱機構を説明できない。また、熱交換機設計の基本的数値諸元を求めることができない。 |
学科の到達目標項目との関係
準学士課程(R5までのDP) 旧DP_4 機械工学基礎学力・知識・技術の修得、それらを活用した問題解決力
JABEE B-2 専門分野の知識と能力
教育方法等
概要:
「熱」とは物質を構成する分子の運動に起因するが、熱が伝播しなければ我々人類は元より、地球上の全ての生き物は生命を維持することはできないと言える。太陽からの輻射伝熱が地表を温め、人類の活動を可能にしている。また、その活動を維持するために必要な食料は冷蔵庫で冷やされ、多くの場合ガスや電気で加熱処理してから食する。部屋が暑ければ冷房し、寒ければ暖房するが、これらは全て熱が伝わって始めて可能となる。一方、エンジンやボイラーは産業活動には欠かせない存在だが、小型・軽量化するためには熱を効率よく伝えることが必要であり、そのために伝熱工学という学問が発展し、今日では非常に多くの分野に適用されている。本講義は15講という短期間で、しかも初歩者が対象ということなので、基礎的な項目に主眼をおいてわかりやすく講義することに努める。ただし、学生各位が卒業後に社会に出て、あるいは上級校に進学してから熱の問題に直面したときに、苦労なく取り組めるレベルの知識と能力は備わることを目標として進める。この科目は民間企業のエンジニアとして乾留炉や熱回収設備の操業を担当していた教員が、
伝熱の基礎(方式、計算方法)とそれのプラント設備への適用例等を自身の実体験も交えて、講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
主として講義を行い、演習を併用する。
・伝熱工学の物理量と熱の移動形式
・フーリエ理論と定常伝熱方程式
・平板、円管、球殻における熱伝導
・温度場と非定常伝熱方程式
・非定常伝熱方程式の解法
・熱伝導と熱伝達が複合する場合の熱通過の解析
・熱交換器による熱の移動形式
・熱交換器における伝熱計算と設計諸元
・対流熱伝達における無次元数を用いた実験式
・放射伝熱の基本法則
注意点:
前回のレビューと当日講義内容の演習により、十分理解が得られるよう取計らうが、伝熱方程式の導出・解法では微分方程式の基礎知識が必要なので復習しておくこと。不明な点は随時積極的に質問するように。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス、伝熱工学で用いる伝熱量の基本単位、 伝熱の三基本形式 |
単位のもつ意味を説明できる。3種類の伝熱の基本形式を説明できる。
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2週 |
熱伝導1 ( フーリエの法則、熱伝導率 ) |
フーリエの法則を説明できる。物質がもつ熱伝導率の特色を述べられる。
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3週 |
熱伝導2 ( 平面板の熱伝導、多層平面板の熱伝導 )
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フーリエの法則を用いて平面板と多層平面板の熱伝導の式を導き出すことができる。
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4週 |
熱伝導3 ( 円管の熱伝導、球殻の熱伝導 )
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フーリエの法則を用いて円管と球殻の熱伝導の式を導き出すことができる。
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5週 |
熱伝達1 ( ニュートンの冷却の法則、単層平面壁の熱伝達、多層平板壁の熱伝達 ) |
単層および多層平板壁の熱流束の式を導き出すことができる。
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6週 |
熱伝達2 ( 円管の熱伝達 )、放射1 ( 放射の概念、プランクの法則 ) |
円管の熱流束の式を導き出すことができる。放射伝熱の概念を理解し、プランクの法則を説明できる
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7週 |
放射1( ステファン-ボルツマンの法則、キルヒホッフの法則、平行二平面の放射伝熱) |
ステファン-ボルツマン、キルヒホッフの法則を説明できる。平行二平面間の放射伝熱量の式を導出できる。
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
試験の振返り、熱通過の計算1 ( 平板壁 ) |
具体的な平板壁の熱通過の事象を対象にした伝熱計算ができる。
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10週 |
熱通過の計算2 ( 円管 ) |
具体的な円管の熱通過の事象を対象にした伝熱計算ができる。
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11週 |
熱交換器の伝熱計算 ( 並流 ) |
熱交換器の伝熱計算方法を説明できる。
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12週 |
熱交換器の伝熱計算 ( 向流 ) |
熱交換器の並流と向流の伝熱量の違いを説明できる。
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13週 |
対流熱伝達の基礎、無次元数 ( Re数, Nu数, Pr数 ) |
境界層 ( 速度、温度 )の概念をもっている。代表的な無次元数を説明できる。
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14週 |
沸騰の熱伝達 |
電熱線上の沸騰状況の変化を説明できる。水の沸騰特性曲線を理解している。
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15週 |
定期試験 |
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16週 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
評価割合
| 試験 | 課題 | 演習 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 0 | 20 | 0 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 80 | 0 | 20 | 0 | 0 | 0 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |