材料学Ⅰ

科目基礎情報

学校 木更津工業高等専門学校 開講年度 2016
授業科目 材料学Ⅰ
科目番号 0020 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 打越二彌著「図解 機械材料 第3版」、東京電機大学出版局、3,240円(税8%込)
担当教員 丸岡 邦明,市川 和利

到達目標

・金属材料の結晶構造と基本的な機械的性質を理解し、塑性加工との関係を説明することができる。
・合金の特性と代表的状態図における相変化を説明することができる。
・鋼の分類、Fe-C状態図、共析鋼等代表鋼の組織を説明できる。
・鋼の熱処理により生成されるベイナイトやマルテンサイト等変態組織を基礎的に理解し、それらと機械的性質との関係を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1材料の専門家と対等に打合せができる程度に、金属材料の結晶構造と基本的な機械的性質を理解し、塑性加工との関係を説明することができる。材料のパンフレットが理解できる程度に、金属材料の結晶構造と基本的な機械的性質を理解し、塑性加工との関係を説明することができる。金属材料の結晶構造と基本的な機械的性質および塑性加工との関係の基礎的な知識を問う質問に対して、半分以上、正しく答えられない。
評価項目2材料の専門家と対等に打合せができる程度に、合金の特性と代表的状態図における相変化を説明することができる。材料のパンフレットが理解できる程度に、合金の特性と代表的状態図における相変化を説明することができる。合金の特性と代表的状態図における相変化の基礎的な知識を問う質問に対して、半分以上、正しく答えられない。
評価項目3材料の専門家と対等に打合せができる程度に、鋼の分類、Fe-C状態図、共析鋼等代表鋼の組織を説明できる。材料のパンフレットが理解できる程度に、鋼の分類、Fe-C状態図、共析鋼等代表鋼の組織を説明できる。鋼の分類、Fe-C状態図、共析鋼等代表鋼の組織の基礎的な知識を問う質問に対して、半分以上、正しく答えられない。
評価項目4材料の専門家と対等に打合せができる程度に、鋼の熱処理により生成されるベイナイトやマルテンサイト等変態組織を基礎的に理解し、それらと機械的性質との関係を説明できる。材料のパンフレットが理解できる程度に、鋼の熱処理により生成されるベイナイトやマルテンサイト等変態組織を基礎的に理解し、それらと機械的性質との関係を説明できる。鋼の熱処理により生成されるベイナイトやマルテンサイト等変態組織およびそれらと機械的性質との関係の基礎的な知識を問う質問に対して、半分以上、正しく答えられない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程 2(2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
機械を設計するには、部品に適した材料を選択できなければならない。また、機械をメンテナンスするには、部品に使われている材料が使用環境から受ける影響や経時変化を知っていなければならない。これらに必要な材料学の基礎的な知識を学ぶ。予備知識として高校の化学、物理および関数の知識が必要である。材料学については何も知らないという前提で進める。
授業の進め方・方法:
【方法】主として講義
【内容】
・機械材料の開発と発展、結晶構造
・材料の機械的性質と塑性加工
・純金属及び合金の凝固
・合金の状態図と相律、全率固溶体型状態図
・共晶型及び包晶型状態図
・金属材料の強化
・鋼の分類と純鉄の変態
・Fe-C状態図
・共析鋼、亜共析鋼、過共析鋼の変態に伴う組織の違い
・鋼の組織と機械的性質との関係及び合金元素の影響
・鋼の熱処理と変態及び連続/等温変態における組織変化
・ベイナイト変態の機構と組織特性
・マルテンサイト変態と鋼の焼き入れ性
注意点:
復習を十分に行うことが必要である。不明な点は随時積極的に質問すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
2週 機械材料の開発と発展 工業材料の3形態、主な金属材料の開発の歴史、最近の材料開発事例について簡単に説明できる。
3週 結晶構造 結晶構造、合金の内部構造、格子欠陥について主な専門用語を理解でき、模式図を描ける。
4週 材料の機械的性質(1) 代表的な機械的性質について、名称、定義、試験法との関係を簡単に説明できる。
5週 材料の機械的性質(2) 代表的な機械的性質について、名称、定義、試験法との関係を簡単に説明できる。
6週 塑性加工と機械的性質 塑性加工、回復・再結晶・粒成長に絡む専門用語を理解できる。またそれらに伴う機械的性質の変化を簡単に説明できる。
7週 金属材料の変形 金属結晶の変形機構を簡単に説明できる。
8週 純金属及び合金の凝固過程における溶質・組織の変化 純金属及び合金の凝固過程における溶質・組織の変化を簡単に説明できる。
2ndQ
9週 中間試験
10週 合金の状態図と相律 平衡状態図に関する専門用語を理解でき、説明できる。状態図と相律の関係を簡単に説明できる。
11週 全率固溶体型状態図の読み方と生成相の量の算出 全率固溶体型の状態図について、指定された温度および組成の平衡相を答えることができる。混合相の場合は各相の組成および量を答えることができる。
12週 固溶範囲が存在・非存在の場合の共晶型状態図の読み方と、それぞれにおける生成相の量算出 共晶型の状態図について、指定された温度および組成の平衡相を答えることができる。混合相の場合は各相の組成および量を答えることができる。
13週 固溶範囲が存在・非存在の場合の包晶型状態図の読み方と、それぞれにおける生成相の量算出 包晶型の状態図について、指定された温度および組成の平衡相を答えることができる。混合相の場合は各相の組成および量を答えることができる。
14週 その他の状態図 その他の状態図について簡単に説明できる。
15週 金属材料の基本的な強化方法 金属の主な強化機構を簡単に説明できる。
16週 定期試験
後期
3rdQ
1週 鋼の分類 鋼の代表的な分類名を理解することができ、それらの相互関係を簡単に説明できる。
2週 変態に伴う純鉄の相変化 純鉄の変態に関係する専門用語を理解することができ、温度と変態との関係を簡単に説明できる。
3週 Fe-セメンタイト系状態図の読み方 Fe-セメンタイト系状態図について、専門用語を理解することができ、温度および組成に対応する平衡相を簡単に説明できる。
4週 Fe-グラファイト系状態図の読み方 Fe-グラファイト系状態図について、専門用語を理解することができ、温度および組成に対応する平衡相を簡単に説明できる。
5週 共析鋼の冷却過程におけるミクロ組織の変化 共析鋼の冷却過程におけるミクロ組織について、専門用語を理解することができ、模式図を描いて説明することができる。
6週 亜共析鋼の冷却過程におけるミクロ組織の変化 亜析鋼の冷却過程におけるミクロ組織について、専門用語を理解することができ、模式図を描いて説明することができる。
7週 過共析鋼の冷却過程におけるミクロ組織の変化 過析鋼の冷却過程におけるミクロ組織について、専門用語を理解することができ、模式図を描いて説明することができる。
8週 中間試験
4thQ
9週 鋼のミクロ組織と機械的性質との関係及びそれらに対する合金元素の影響 鋼のミクロ組織と機械的性質との関係及びそれらに対する合金元素の影響を簡単に説明できる。
10週 代表的な熱処理における組織形成 代表的な熱処理における組織の変化を簡単に説明できる。
11週 連続冷却における変態過程を示すCCT曲線の理解と活用方法 鋼の連続冷却中に起こる代表的な変態を簡単に説明でき、それらとCCT曲線との関係を簡単に説明できる。
12週 等温保持における変態過程を示すTTT曲線の理解と活用方法 過冷オーステナイトの等温保持中に起こる代表的な変態を簡単に説明でき、それらとTTT曲線との関係を簡単に説明できる。
13週 ベイナイト変態の機構と組織特性 ベイナイト変態の機構を簡単に説明できる。またベイナイト組織の名称、模式図、特徴の関係を簡単に説明できる。
14週 マルテンサイト組織の諸特性 マルテンサイト変態の定義、特徴、マルテンサイト相の性質を簡単に説明できる。
15週 鋼の代表的な焼き入れ性評価方法 焼入性の支配因子および評価方法を簡単に説明できる。
16週 定期試験

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力10000000100
分野横断的能力0000000