物理学の学習を通して,物体(粒子,流体など)およびエネルギー(熱,光など)の相互作用の中に見出される普遍的自然法則を,物理量間の数学的関係を求めることで解き明かすことを目的としている。法則を知ることで,未知なる現象に対する予測することができるようになることを目標とする。 応用物理Ⅰでは,(1)典型的な力学現象に対して微積分を用いた解析ができるようになること,(2)電場中での荷電粒子の運動を解析することができる,(3)物質と波動の相互作用について理解することを目標にする。
概要:
前半は,「微積分を用いた力学解析の基礎」について学ぶ。特にニュートンの運動方程式(微分方程式)の立法及び解法を重点的に学ぶ。後半は「近代物理の基礎」として,光の波動性及び電子の粒子性についいて学ぶ。
授業の進め方・方法:
資料配布及び板書によって,極力丁寧に説明を行う。説明が分かりづらい場合は,躊躇せずにその場で質問すること。また,説明の直後に,関連する例題演習(あらかじめ資料で配布)を実施する。自分の力で丁寧なノートを作成し,授業時間内に問題演習もきちんとこなすこと。
また,学習到達度試験への対応として,冬季休業中に物理学Ⅰ,物理学Ⅱ,物理学Ⅲで学んだ範囲の復習を課題として出すので,レポートとして提出すること。
注意点:
ノート作成を授業への取組状況の一部として評価する(B5判30頁程度の冊子式ノートを各自準備すること。ルーズリーフは不可。物理学Ⅲの続きでも可)。B5判の資料を配布するので,バインダー等に綴じて保存すること。数式を使った解析が多くなるが,単なる「数遊び」に終わってはならない。物理現象を言葉によって正確に説明できるよう,常に心がけること。人に言葉で説明できないことは,真に理解したことにはならない。成績は中間試験,定期試験及び学習到達度試験の到達度,授業への取組状況(ノート作成,出席状況,課題提出)で総合評価する。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
速度と加速度,力と仕事,力積,位置エネルギー |
微積分を用いて,各物理量を求めることができる。
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2週 |
速度ベクトルと加速度ベクトル |
ベクトルの微分を用いた等速円運動の解析ができる。
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3週 |
ニュートンの運動法則 真空中での自由落下
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ニュートンの運動3法則を説明することができる。 微分方程式の形で運動方程式を立て,初期値問題として解くことができる。
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4週 |
空気中での自由落下(粘性抵抗がある場合) |
微分方程式の形で運動方程式を立て,初期値問題として解くことができる。
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5週 |
単振動 |
微分方程式の形で運動方程式を立て,初期値問題として解くことができる。
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6週 |
減衰振動1 |
微分方程式の形で運動方程式を立て,初期値問題として解くことができる。
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7週 |
減衰振動2 |
微分方程式の形で運動方程式を立て,初期値問題として解くことができる。
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8週 |
中間試験 |
既習得領域の基礎問題を解くことができる。
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4thQ |
9週 |
電場中の荷電粒子の運動 |
平行板電極中の電子の振る舞いを数式を用いて解析することができる。クーロンの法則を用いて荷電粒子間に働く力の大きさを求めることができる。
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10週 |
光の量子説 |
量子とは何かを説明することできる。 光子エネルギーの計算ができる。
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11週 |
光電効果 |
光量子の考え方に基づき,光電効果を説明することができる。
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12週 |
X線の性質と発生メカニズム |
X線の性質と発生メカニズムを説明することができる。 X線管の加速電圧より発生X線の最短波長を求めることができる。
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13週 |
コンプトン効果 |
光子の相対論的運動量を求めることができる。 光子と電子の弾性散乱において,エネルギー及び運動量保存の関係を式で表すことができる。
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14週 |
ド・ブロイの関係式と物質波の波長 |
粒子線のドブロイ波長を求めることができる。
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15週 |
後期定期試験 |
既習得領域(第9週以降)の基礎問題を解くことができる。
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16週 |
後期定期試験の返却及び解説 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理 | 力学 | 速度と加速度の概念を説明できる。 | 3 | |
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。 | 3 | |
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。 | 3 | |
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。 | 3 | |
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。 | 3 | |
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。 | 3 | |
慣性の法則について説明できる。 | 3 | |
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。 | 3 | |
運動方程式を用いた計算ができる。 | 3 | |
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。 | 3 | |
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | |
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。 | 3 | |
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。 | 3 | |
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。 | 3 | |
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。 | 3 | |
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。 | 3 | |
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。 | 3 | |
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。 | 3 | |
電気 | クーロンの法則を説明し、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。 | 3 | |
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。 | 3 | |