材料学Ⅰ

科目基礎情報

学校 木更津工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 材料学Ⅰ
科目番号 0036 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 打越二彌著「図解 機械材料 第3版」、東京電機大学出版局、3,240円(税8%込)
担当教員 丸岡 邦明,市川 和利

到達目標

・金属材料の結晶構造と基本的な機械的性質を理解し、塑性加工との関係を説明することができる。
・合金の特性と代表的状態図における相変化を説明することができる。
・鋼の分類、Fe-C状態図、共析鋼等代表鋼の組織を説明できる。
・鋼の熱処理により生成されるベイナイトやマルテンサイト等変態組織を基礎的に理解し、それらと機械的性質との関係を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1材料の専門家と対等に打合せができる程度に、金属材料の結晶構造と基本的な機械的性質を理解し、塑性加工との関係を説明することができる。材料のパンフレットが理解できる程度に、金属材料の結晶構造と基本的な機械的性質を理解し、塑性加工との関係を説明することができる。金属材料の結晶構造と基本的な機械的性質および塑性加工との関係の基礎的な知識を問う質問に対して、半分以上、正しく答えられない。
評価項目2材料の専門家と対等に打合せができる程度に、合金の特性と代表的状態図における相変化を説明することができる。材料のパンフレットが理解できる程度に、合金の特性と代表的状態図における相変化を説明することができる。合金の特性と代表的状態図における相変化の基礎的な知識を問う質問に対して、半分以上、正しく答えられない。
評価項目3材料の専門家と対等に打合せができる程度に、鋼の分類、Fe-C状態図、共析鋼等代表鋼の組織を説明できる。材料のパンフレットが理解できる程度に、鋼の分類、Fe-C状態図、共析鋼等代表鋼の組織を説明できる。鋼の分類、Fe-C状態図、共析鋼等代表鋼の組織の基礎的な知識を問う質問に対して、半分以上、正しく答えられない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
あらゆる工業において、材料は必須であり、機械設計のためには、適した材料を選択する必要がある。また、安全に使用するためには、使用環境中の経時変化を理解し、保守する必要もある。材料を製造する機械を設計する場合にも材料学の知識は不可欠である。これらに必要な材料学の基礎を学ぶ。予備知識として高校レベルの物理、化学および関数の初歩的知識は必要であるが、材料学に関する知識は有していないという前提で密度の高い授業を行う。教科書の他に、資料を配布し、説明や演習を行うので、ファイルを用意し、整理して保管し、復習に活用すること。
授業の進め方・方法:
【方法】主として講義
【内容】
・機械材料の開発と発展、結晶構造
・材料の機械的性質と塑性加工
・純金属及び合金の凝固
・合金の状態図と相律、全率固溶体型状態図
・共晶型及び包晶型状態図
・金属材料の強化
・鋼の分類と純鉄の変態
・Fe-C状態図
・共析鋼、亜共析鋼、過共析鋼の変態に伴う組織の違い
・鋼の組織と機械的性質との関係及び合金元素の影響
・鋼の熱処理と変態及び連続/等温変態における組織変化
・ベイナイト変態の機構と組織特性
・マルテンサイト変態と鋼の焼き入れ性
注意点:
復習を十分に行うことが必要である。不明な点は随時積極的に質問すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 機械材料の開発と発展 材料学を学ぶ必要性をよく理解し、主要な金属材料の開発の歴史、最近の材料開発事例について簡単に説明できる。
2週 結晶構造(1) 結晶構造について主な専門用語を理解でき、特にBCC構造について模式図が描け、その充填率などを計算できる。
3週 結晶構造(2) 特にFCC構造について模式図が描け、その充填率などを計算できる。固溶体の種類を説明でき、濃度の計算ができる。
4週 格子欠陥 結晶の格子欠陥の種類について説明できる。FCCとHCP構造の違いについて説明できる。
5週 材料の機械的性質(1) 代表的な機械的性質に関し、引張特性について、名称、定義、試験法を簡単に説明できる。
6週 材料の機械的性質(2) 代表的な機械的性質に関し、硬さと靭性について、名称、定義、試験法を簡単に説明できる。
7週 材料の機械的性質(3) 代表的な機械的性質に関し、疲労特性とクリープ特性について、名称、定義、試験法を簡単に説明できる。
8週 塑性加工と機械的性質 塑性加工や回復・再結晶・粒成長に関わる専門用語を理解できる。またそれらに伴う機械的性質の変化を簡単に説明できる。
2ndQ
9週 金属材料の変形 金属のすべり変形と金属結晶の転位や双晶による変形機構を簡単に説明できる。
10週 純金属及び合金の凝固過程における溶質・組織の変化 純金属及び合金の凝固過程における溶質・組織の変化およびそれにより形成される結晶粒度を簡単に説明できる。
11週 中間試験
12週 合金の状態図と相律 平衡状態図の意義とそれに関する専門用語を理解でき、説明できる。状態図と相律の関係を簡単に説明できる。
13週 てこの法則と溶解度曲線 平衡状態図の読解に必須である、てこの法則を説明し、活用できる。溶解度曲線を理解し、任意の組成、温度での固溶体や析出現象を説明することができる。
14週 全率固溶体型状態図の読み方と生成相の量の算出 全率固溶体型の状態図について、指定された温度および組成の平衡相を答えることができる。混合相の場合は各相の組成および量を答えることができる。
15週 共晶型状態図および包晶型状態図 指定された温度および組成の平衡相を答えることができる。組織を定性的に描くことができる。
16週 定期試験
後期
3rdQ
1週 金属材料の基本的な強化方法 金属の主な強化機構を簡単に説明できる。
2週 鋼の分類 鋼の代表的な分類名を理解することができ、それらの相互関係を簡単に説明できる。
3週 変態に伴う純鉄の相変化 純鉄の変態に関係する各種の変態温度などの専門用語を理解することができ、温度と変態との関係を簡単に説明できる。
4週 Fe-C系状態図の読み方 Fe-C系状態図について、専門用語を理解することができ、温度および組成に対応する平衡相を簡単に説明できる。
5週 共析鋼の冷却過程におけるミクロ組織の変化 共析鋼の冷却過程におけるミクロ組織変化について、パーライト変態などの専門用語を理解することができ、模式図を描いて説明することができる。
6週 亜共析鋼と過共析鋼の冷却過程におけるミクロ組織の変化 亜共析鋼と過共析鋼の冷却過程におけるミクロ組織変化について、専門用語を理解することができ、模式図を描いて説明することができる。
7週 鋼のミクロ組織と機械的性質との関係及びそれらに対する合金元素の影響 鋼のミクロ組織と機械的性質との関係及びそれらに対する合金元素の影響を簡単に説明できる。
8週 中間試験
4thQ
9週 鋼の代表的な熱処理 鋼の代表的な熱処理における組織の変化と材質の改善を簡単に説明できる。
10週 等温保持における変態過程を示すTTT曲線の理解と活用方法 過冷オーステナイトの等温保持中に起こる代表的な変態を簡単に説明でき、それらとTTT曲線との関係を簡単に説明できる。
11週 連続冷却における変態過程を示すCCT曲線の理解と活用方法 鋼の連続冷却中に起こる代表的な変態を簡単に説明でき、それらとCCT曲線との関係を簡単に説明できる。
12週 ベイナイト変態の機構と組織特性 ベイナイト変態の機構を簡単に説明できる。またベイナイト組織の名称、模式図、特徴の関係を簡単に説明できる。
13週 マルテンサイト組織の諸特性 マルテンサイト変態の定義、特徴、マルテンサイト相の性質を簡単に説明できる。
14週 鋼の代表的な焼入性評価方法 焼入性の支配因子および評価方法を簡単に説明できる。
15週 金属組織と機械的性質の総括
主要な工業材料を提供する現代の鉄鋼製造プロセスの概要を簡単に説明できる。材料の強度の現状と理想強度との相違を説明できる。
16週 定期試験

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力10000000100
分野横断的能力0000000