到達目標
固体の構造、格子欠陥、拡散、相変態について、定義および典型的な現象を説明できる。
応力ひずみ曲線および代表的な機械的性質について定性的(一部定量的)に説明できる。
材料と地球環境保全との関係について定性的に説明できる。
材料製造工程や部品加工工程における材料学的現象を簡単に説明できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
固体の構造、格子欠陥、拡散、相変態 | 逐語的でなく概念的に理解できており、どのような角度から質問されても自分の言葉で答えられる。また、相互の関係を詳しく説明できる。 | 逐語的でなく概念的に理解できており、どのような角度から質問されても語群選択でなら正しく答えられる。また相互の関係を簡単に説明できる。 | 角度を変えて質問されると答えられない。また、相互の関係を説明できない。 |
応力ひずみ曲線および代表的な機械的性質 | 引張試験中におこる現象、機械的性質、それらの工業的意義の関係を説明できる。 | 引張試験中におこる現象と機械的性質との関係を説明できる。 | 引張試験中におこる現象と機械的性質との関係を説明できない。 |
材料開発と地球環境保全 | 地球環境保全における材料開発の位置づけを、その手法とともに詳しく説明できる。 | 地球環境保全における材料開発の位置づけを、その手法とともに簡単に説明できる。 | 地球環境保全と材料開発との関係を説明できない。また地球環境保全のための手法を説明できない。 |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
機械を設計するには、部品に適した材料を選択できなければならない。また、機械をメンテナンスするには、部品に使われている材料が使用環境から受ける影響や経時変化を知っていなければならない。これらに必要な材料学のやや応用的な知識を学ぶ。予備知識として高校の化学、物理、関数、材料学Iの知識が必要である。材料学Iで学んだことを縦糸とし、材料学IIが横糸となって材料について理解を深める。横糸となるのは格子欠陥、応力ひずみ曲線、地球環境、加工熱処理などである。
授業の進め方・方法:
講義、演習、グループワークを組み合わせる。講義中も積極的に指名して質問を投げかける。
(1) 格子欠陥および拡散を学習することにより、材料学Iで学んだ相変態がミクロにはどのようなメカニズムで起こっているのかを理解する。
(2) 引張試験および応力ひずみ曲線を中心に、いくつかの材料評価法に触れつつ、材料の機械的性質について理解を深める。
(3) 材料開発の事例を通して、材料開発が社会に与えるインパクトを理解する。さらにライフ・サイクル・アセスメントの考え方を学び、地球環境を守る研究開発のあり方を理解する。
(4) 鉄鋼およびアルミ合金の製造工程を概観した後、材料製造工程や部品加工工程で起こる材料学的諸現象について理解を深める。
注意点:
(1) 材料学Iで学んだことを縦糸とし、材料学IIが横糸となって材料について理解を深める。横糸となるのは格子欠陥、応力ひずみ曲線、地球環境、加工熱処理などである。このため材料学Iの教科書も座右に置き、しっかり復習しておくことが大切である。
(2) テーマを与えてグループまたは個人で調査・研究してもらうことがある。またグループで討論してもらうことがある。
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス |
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2週 |
金属光沢、展性・延性、電気伝導、熱伝導 |
金属特有の性質と金属の内部構造との関係を説明できる。
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3週 |
Fe-C系平衡状態図 |
変態に伴う膨張・収縮と結晶構造との関係を説明できる。
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4週 |
Fe-C系平衡状態図 グループワーク |
共析炭素鋼について、セメンタイト、オーステナイトおよびフェライト中のC濃度を温度を横軸に取って図示できる。
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5週 |
Fe-C系平衡状態図 解説 |
共析炭素鋼について、セメンタイト、オーステナイトおよびフェライト中のC濃度を温度を横軸に取って図示できる。
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6週 |
拡散と格子欠陥 |
Fickの第1法則を使って拡散速度を計算できる。
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7週 |
拡散と格子欠陥 |
Fickの第2法則を簡単に説明できる。
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
空孔と熱活性化過程 |
空孔濃度を計算できる。また、熱活性化過程を簡単に説明できる。
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10週 |
熱活性化過程とボルツマン定数 |
熱活性化過程におけるボルツマン定数および気体定数の意義を説明できる。
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11週 |
相とは何か、相変態、固溶体 |
相の概念を理解する。相変態および固溶体の概念を簡単に説明できる。
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12週 |
格子欠陥および拡散と相変態のまとめ |
格子欠陥、拡散、相変態の関係を説明できる。
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13週 |
応力とひずみ |
応力およびひずみについて、それらの定義および学問的意義を説明できる。
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14週 |
応力ひずみ曲線と機械的性質 |
応力ひずみ曲線に現れる機械的性質を説明できる。
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15週 |
引張試験中におこる現象 |
引張試験中におこる現象と応力ひずみ曲線との関係を簡単に説明できる。
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16週 |
定期試験 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
引張試験から得られる機械的性質の工業的意義 グループワーク |
引張試験から得られる機械的性質の工業的意義を理解する。
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2週 |
引張試験から得られる機械的性質の工業的意義 解説 |
引張試験から得られる機械的性質の工業的意義を理解する。
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3週 |
材料評価法(引張・圧縮試験、かたさ試験、疲労試験、クリープ試験、衝撃試験、摩耗試験) |
各種材料試験法で得られる材料特性の名称および意味を理解し、代表的な線図をイメージできる。
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4週 |
公害と比較した地球環境問題の特徴、地球環境を保全する手法 |
公害と比較した地球環境問題の特徴を簡単に説明できる。EOP、CP技術、LCA、ソフトエネルギーパスを簡単に説明できる。
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5週 |
材料開発におけるLCAの事例 |
材料開発におけるLCAの事例を通じて、LCAへの理解を深める。
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6週 |
スチール缶とアルミ缶 |
スチール缶とアルミ缶を例に取り、漠然ともっているエコのイメージと科学的データとの隔たりを理解する。
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7週 |
飲料容器におけるLCA |
飲料容器に関するLCA研究成果の一例を通して、LCAから何がわかるかを体験する。
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8週 |
中間試験 |
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4thQ |
9週 |
材料開発の事例〜飲料容器用アルミニウム合金、PETボトル |
材料開発が社会生活に与える影響を理解する。
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10週 |
鉄鋼材料の製造法 |
鉄鋼材料の製造法を簡単に説明できる。貯蔵・輸送の設備がなぜそのような仕組みになっているかを簡単に説明できる。
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11週 |
工業用アルミニウム材料の製造法 |
工業用アルミニウム材料の製造法を、鉄鋼材料と比較して理解する。またアルミニウムの物性との関係を理解する。
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12週 |
プロセスメタラジー(1) 集合組織とプレス成形性 |
深絞り成形に適した集合組織を通して、結晶方位のイメージを具体化する。
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13週 |
プロセスメタラジー(2)Ti添加極低炭素鋼 |
Ti添加極低炭素鋼を通して、Fe-C系状態図の理解を深める。また材料製造のコストに意識を向ける。
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14週 |
プロセスメタラジー(3)鉄鋼製造工程の温度履歴 |
次週へのウォーミングアップとして、製造工程を経るにつれて温度がどのように推移するかを考察する。
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15週 |
プロセスメタラジー(4)鉄鋼製造工程における固溶炭素量の変化 |
これまでに学んだ材料学の知識を総動員して、製造工程を経るにつれて各相の固溶炭素量がどのように推移するかを考察する。
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16週 |
定期試験 |
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系 | 材料 | 引張試験の方法を理解し、応力ひずみ線図を説明できる。 | 3 | |
硬さの表しかたおよび硬さ試験の原理を説明できる。 | 3 | |
脆性および靱性の意味を理解し、衝撃試験による粘り強さの試験方法を説明できる。 | 3 | |
疲労の意味を理解し、疲労試験とS-N曲線を説明できる。 | 3 | |
機械的性質と温度の関係およびクリープ現象を説明できる。 | 3 | |
金属と合金の結晶構造を説明できる。 | 3 | |
塑性変形の起りかたを説明できる。 | 3 | |
加工硬化と再結晶がどのような現象であるか説明できる。 | 3 | |
鉄鋼の製法を説明できる。 | 3 | |
Fe-C系平衡状態図の見方を理解できる。 | 3 | |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 100 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 100 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |