伝熱工学

科目基礎情報

学校 木更津工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 伝熱工学
科目番号 0089 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 一色尚次ほか著『伝熱工学 改訂・新装版』、森北出版、2014年、2,000円+税
担当教員 伊藤 裕一,中川 朝之

到達目標

・熱移動の3形式を定性的に理解し、定常および非定常の伝熱方程式を解いて、板・円筒・球殻での伝熱量を演算で求めることができる。
・熱交換器における伝熱機構を基礎的に考察し、熱交換機設計の基本的数値諸元を定量的に求めることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1熱移動の3形式を定量的に理解し、定常および非定常の伝熱方程式を解いて、種々のモデルでの伝熱量を演算で求めることができる。熱移動の3形式を定性的に理解し、定常および非定常の伝熱方程式を解いて、板・円筒・球殻での伝熱量を演算で求めることができる。熱移動の3形式を定性的に説明できない。また、板・円筒・球殻での伝熱量を求めることができない。
評価項目2熱交換器における伝熱機構を総合的に考察し、熱交換機設計の総合的数値諸元を定量的に求めることができる。熱交換器における伝熱機構を基礎的に考察し、熱交換機設計の基本的数値諸元を定量的に求めることができる。熱交換器における伝熱機構を説明できない。また、熱交換機設計の基本的数値諸元を求めることができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程 2(2) 説明 閉じる
準学士課程 2(3) 説明 閉じる
専攻科課程 B-2 説明 閉じる
JABEE B-2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
「熱」とは物質を構成する分子の運動に起因するが、熱が伝播しなければ我々人類は元より、地球上の全ての生き物は生命を維持することはできないと言える。太陽からの輻射伝熱が地表を温め、人類の活動を可能にしている。また、その活動を維持するために必要な食料は冷蔵庫で冷やされ、多くの場合ガスや電気で加熱処理してから食する。部屋が暑ければ冷房し、寒ければ暖房するが、これらは全て熱が伝わって始めて可能となる。一方、エンジンやボイラーは産業活動には欠かせない存在だが、小型・軽量化するためには熱を効率よく伝えることが必要であり、そのために伝熱工学という学問が発展し、今日では非常に多くの分野に適用されている。本講義は15講という短期間で、しかも初歩者が対象ということなので、基礎的な項目に主眼をおいてわかりやすく講義することに努める。ただし、学生各位が卒業後に社会に出て、あるいは上級校に進学してから熱の問題に直面したときに、苦労なく取り組めるレベルの知識と能力は備わることを目標として進める。この科目は企業でコークス炉の伝熱計算を担当していた教員が、その経験を活かし、伝熱の基礎(方式、計算方法)とその応用方法等について、講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
主として講義を行い、演習を併用する。
・伝熱工学の物理量と熱の移動形式
・フーリエ理論と定常伝熱方程式
・平板、円管、球殻における熱伝導
・温度場と非定常伝熱方程式
・非定常伝熱方程式の解法
・熱伝導と熱伝達が複合する場合の熱通過の解析
・熱交換器による熱の移動形式
・熱交換器における伝熱計算と設計諸元
・対流熱伝達における無次元数を用いた実験式
・放射伝熱の基本法則
注意点:
前回のレビューと当日講義内容の演習により、十分理解が得られるよう取計らうが、伝熱方程式の導出・解法では微分方程式の基礎知識が必要なので復習しておくこと。不明な点は随時積極的に質問するように。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス、伝熱工学で用いる物理量と単位、伝熱の3形式と具体的な伝熱機構 伝熱の3形式、伝熱工学の物理量と単位を説明できる。
2週 熱流束、温度場、フーリエの法則、および各種物質の熱伝導率と熱伝達率の関連性 伝熱の基礎式とそれに使われている物理量を説明できる。
3週 単層、多層構造の平板、円筒、および球殻の伝熱解析(1) フーリエの法則を用いた伝熱計算ができる。
4週 単層、多層構造の平板、円筒、および球殻の伝熱解析(2) フーリエの法則を用いた伝熱計算ができる。
5週 非定常伝熱方程式(フーリエの微分方程式)の導出 非定常熱伝導の基礎式であるフーリエの微分方程式の導出方法を説明できる。
6週 フーリエの微粉方程式の差分法による近似数値解法 一次元のフーリエの微粉方程式の数値解法を説明できる。
7週 熱通過(単層および多層の平面板) 熱通過の意味を理解し、式の導出方法を説明できる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 熱通過(単層および多層の円筒管) 熱通過の意味を理解し、式の導出方法を説明できる。
10週 熱交換器の実際例と並流を対象とした伝熱計算 隔板式熱交換器の伝熱計算方法を説明できる。
11週 熱交換器の実際例と向流を対象とした伝熱計算 並流と向流の伝熱量の違いを説明できる。
12週 ひれ(フィン)を有する場合の熱放散量の計算方法 フィンを有する板からの放熱量の計算方法を説明できる。
13週 対流熱伝達の基礎(速度境界層と温度境界層、無次元数の取り扱い方法)
14週 対流熱伝達に関する実験式の取り扱い方法 各種実験式を用いた熱伝達率の導出方法や移動熱量の計算方法を説明できる。
15週 放射伝熱の基礎 プランクの法則、ステファン-ボルツマンの法則、ランバートの法則を説明できる。
16週 定期試験

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力10000000100
分野横断的能力0000000