到達目標
応用物理実験は,自ら現象に触れることで,物理法則が実際に成り立っていることを確認し、結果に対する考察を通して座学で学習した知識を体系的に理解することを目的とする。実験テーマ毎に,目的・原理及び装置の取り扱い方を理解した上で,手引書に従って安全に測定し正確に結果を記録する。平均値,誤差及び最小二乗法などの計算,適切な有効数字および単位を用いた物理量の表現方法,適切なグラフや表の作成方法などを体得し,測定データ間の関係性を見出し物理現象の特徴や規則性を述べることができるようにする。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安(優) | 標準的な到達レベルの目安(良) | 未到達レベルの目安(不可) |
評価項目1 | 各実験テーマの目的,原理及び装置を要約して自らの言葉として事前レポートにまとめることができる。 | 各実験テーマの目的,原理及び装置を手引書通りに事前レポートにまとめることができる。 | 各実験テーマの目的,原理及び装置を事前レポートにまとめることができない。 |
評価項目2 | 手引書を読みながら自ら実験計画を立て、それに従って実験を安全に行うことができる。 | 指導者の指示に従って実験を安全に行うことができる。 | 指導者の指示を受けつつも,それに従って実験を安全に行うことができない。 |
評価項目3 | 基準値(理論値の場合もある)の±5%の精度で諸定数を求め,適切な有効数字および単位で表現できる。 | 基準値(理論値の場合もある)の概ね±10%の精度で諸定数を求め,適切な有効数字および単位で表現できる。 | 基準値(理論値の場合もある)の±10%を大幅に超える精度でしか諸定数を求めることがでない。また,適切な有効数字および単位でそれらを表現することができない。 |
評価項目4 | 測定データをグラフや表を用いて見やすく提示し,物理現象の特徴や規則性を正しく述べることができる。 | 測定データをグラフや表を用いて提示し,物理現象の特徴や規則性を概ね述べることができる。 | 測定データをグラフや表を用いて提示できない。また,物理現象の特徴や規則性を述べることができない。 |
学科の到達目標項目との関係
準学士課程 2(2) 専門分野の知識と能力
準学士課程 2(3) ものづくりに必要な力
準学士課程 4(1) 問題解決能力
準学士課程 4(2) 協力し行動する力
専攻科課程 B-1 基礎知識と論理的思考能力
JABEE B-1 基礎知識と論理的思考能力
教育方法等
概要:
応用物理実験は,ガイダンス(1週),グラフ演習(1週),計測演習(1週),データ解析演習(1週),実験(10週)で構成される。ガイダンス及びグラフ演習,計測演習は教室で行う。実験は物理第1実験室,物理第2実験室で行う。実験の解析,データ解析演習は,第3講義室で行う。ガイダンスでは,実験を行う上での心構え,諸注意,持ち物などを資料をもとに説明する。グラフ演習,データ解析演習1&2では,グラフの正しい描き方,対数グラフの扱い方,最小二乗法による直線回帰,ノギスやマイクロメータの使い方等について学ぶ。
評価は実験(演習を含む)のレポート80%及び実験状況20%で行う。その上で,レポートの「提出遅延」や「未完成のままでの提出」等に関しては,相応の減点を行う。また,実験において欠席(大幅な遅刻を含む)があった場合,所定の手続きに基づいて補講を行わない限り,単位認定は行わない(評点60点未満とする)。
授業の進め方・方法:
実験は,以下に示す21のテーマ(MCC対応)より割り振られた5テーマ実施する。1テーマあたり2週間で実施するが,予習として,直近に行うテーマの手引書を事前に受取り,原理や装置について既定のレポート表紙にまとめておく(初回分はガイダンス時に配布)。第1週目は各物理実験室で実験を行い,第2週目は第3講義室でデータ解析およびレポート作成等を実施する。密を避けるために,クラスをA,Bの2グループに分け,隔週で実験を行うようにする(詳細はガイダンス時に説明する)。
1)重力加速度の測定 2)針金の剛性率測定 3)線膨張率の測定 4)ヤング率の測定 5)ジュール熱の測定 6)固体の比熱 7)アボガドロ数の測定 8)ニュートンリングによる曲率半径測定 9)レンズの焦点距離・電球の光度測定 10)旋光計
11)レーザーによる回折・干渉 12)分光計 13)液体の抵抗測定 14)金属の電気抵抗 15)プランク定数の測定 16)電子の比電荷測定 17)熱電対の校正 18)GM管による放射線の計測 19)霧箱によるα・β粒子の飛跡 20)空間放射線率および土壌の放射能測定 21)目測値の統計解析
注意点:
1)病欠や公欠など,やむを得ない理由で欠席した場合は,追実験等を受けることができる(病欠の場合は,医療機関が発行するレシートの写し等,理由が分かる書類を提出すること)。
2)レポートは必ず完成させ,提出期限までに提出すること。
3)ガイダンスで説明する「実験の心構え」および「実験上の注意」を遵守し、安全を確保して実験に取り組むこと。
4)実験室内には放射線源及び劇物があるので,飲食(ガム等を含む)は厳禁とする。また,計測機器の誤動作を防ぐため,許可なく携帯電話等で通話しないこと。
5)実験結果等の記録に必要なノート(実験ノート),グラフ用紙(1mm方眼),定規,ハサミ,ホチキス等は必要に応じて各自で用意すること。
※その他の注意点については,ガイダンス時に資料を配布して説明する。
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス |
安全に実験を行うための諸注意及び心構え,実験の進め方,実験レポートの形式及び提出方法などを正しく理解する。(MCC)
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2週 |
グラフ演習 |
データをグラフに見やすく描画できる。最小二乗法により直線回帰を行うことができる。両対数グラフの使い方を理解し,プロットしたデータより実験式を求めることができる。(MCC)
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3週 |
計測演習 |
ノギス及びマイクロメータの取扱い方を理解し,物体の形状を精度よく測定することができる。(MCC)
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4週 |
Aグループ:データ解析演習,Bグループ:第1回目の実験 |
Aグループ:片対数グラフより実験式を求めることができる。正しく平均値を求めることができる。(MCC) Bグループ:目的・原理及び装置の取り扱い方を理解した上で,手引書に従って安全に測定し正確に結果を記録することができる。(MCC)
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5週 |
Aグループ:第1目の実験,Bグループ:第1回目のレポート作成等 |
Aグループ:目的・原理及び装置の取り扱い方を理解した上で,手引書に従って安全に測定し正確に結果を記録することができる。(MCC) Bグループ:有効数字を考慮して正しくデータ処理を行い,測定データ間の関係性を見出し物理現象の特徴や規則性を述べることができる。実験報告書を決められた形式で作成できる。(MCC)
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6週 |
Aグループ:第1回目のレポート作成等,Bグループ:第2回目の実験 |
Aグループ:有効数字を考慮して正しくデータ処理を行い,測定データ間の関係性を見出し物理現象の特徴や規則性を述べることができる。実験報告書を決められた形式で作成できる。(MCC) Bグループ:目的・原理及び装置の取り扱い方を理解した上で,手引書に従って安全に測定し正確に結果を記録することができる。(MCC)
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7週 |
Aグループ:第2回目の実験,Bグループ:第2回目のレポート作成等 |
Aグループ:目的・原理及び装置の取り扱い方を理解した上で,手引書に従って安全に測定し正確に結果を記録することができる。(MCC) Bグループ:有効数字を考慮して正しくデータ処理を行い,測定データ間の関係性を見出し物理現象の特徴や規則性を述べることができる。実験報告書を決められた形式で作成できる。(MCC)
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8週 |
前期中間試験日程 |
前半のまとめ
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4thQ |
9週 |
Aグループ:第2回目のレポート作成等,Bグループ:第3回目の実験 |
Aグループ:有効数字を考慮して正しくデータ処理を行い,測定データ間の関係性を見出し物理現象の特徴や規則性を述べることができる。実験報告書を決められた形式で作成できる(MCC)。 Bグループ:目的・原理及び装置の取り扱い方を理解した上で,手引書に従って安全に測定し正確に結果を記録することができる。(MCC)
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10週 |
Aグループ:第3回目の実験,Bグループ:第3回目のレポート作成等 |
Aグループ:目的・原理及び装置の取り扱い方を理解した上で,手引書に従って安全に測定し正確に結果を記録することができる。(MCC) Bグループ:有効数字を考慮して正しくデータ処理を行い,測定データ間の関係性を見出し物理現象の特徴や規則性を述べることができる。実験報告書を決められた形式で作成できる。(MCC)
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11週 |
Aグループ:第3回目のレポート作成等,Bグループ:第4回目の実験 |
Aグループ:有効数字を考慮して正しくデータ処理を行い,測定データ間の関係性を見出し物理現象の特徴や規則性を述べることができる。実験報告書を決められた形式で作成できる。(MCC) Bグループ:目的・原理及び装置の取り扱い方を理解した上で,手引書に従って安全に測定し正確に結果を記録することができる。(MCC)
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12週 |
Aグループ:第4回目の実験,Bグループ:第4回目のレポート作成等 |
Aグループ:目的・原理及び装置の取り扱い方を理解した上で,手引書に従って安全に測定し正確に結果を記録することができる。(MCC) Bグループ:有効数字を考慮して正しくデータ処理を行い,測定データ間の関係性を見出し物理現象の特徴や規則性を述べることができる。実験報告書を決められた形式で作成できる。(MCC)
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13週 |
Aグループ:第4回目のレポート作成等,Bグループ:第5回目の実験 |
Aグループ:有効数字を考慮して正しくデータ処理を行い,測定データ間の関係性を見出し物理現象の特徴や規則性を述べることができる。実験報告書を決められた形式で作成できる。(MCC) Bグループ:目的・原理及び装置の取り扱い方を理解した上で,手引書に従って安全に測定し正確に結果を記録することができる。(MCC)
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14週 |
Aグループ:第5回目の実験,Bグループ:第5回目のレポート作成等 |
Aグループ:目的・原理及び装置の取り扱い方を理解した上で,手引書に従って安全に測定し正確に結果を記録することができる。(MCC) Bグループ:有効数字を考慮して正しくデータ処理を行い,測定データ間の関係性を見出し物理現象の特徴や規則性を述べることができる。実験報告書を決められた形式で作成できる。(MCC)
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15週 |
Aグループ:第5回目のレポート作成等,Bグループ:データ解析演習 |
Aグループ:有効数字を考慮して正しくデータ処理を行い,測定データ間の関係性を見出し物理現象の特徴や規則性を述べることができる。実験報告書を決められた形式で作成できる。(MCC) Bグループ:片対数グラフより実験式を求めることができる。正しく平均値を求めることができる。(MCC)
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16週 |
予備日 |
全体のまとめ
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | 物理実験 | 物理実験 | 測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。 | 3 | |
安全を確保して、実験を行うことができる。 | 3 | |
実験報告書を決められた形式で作成できる。 | 3 | |
有効数字を考慮して、データを集計することができる。 | 3 | |
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | |
熱に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | |
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | |
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | |
電磁気に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | |
電子・原子に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。 | 3 | |
評価割合
| 実験レポート | 実験状況 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 20 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 80 | 20 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |