物理学III

科目基礎情報

学校 木更津工業高等専門学校 開講年度 令和07年度 (2025年度)
授業科目 物理学III
科目番号 g0500 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電子制御工学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:適宜資料を配布する / 補助教科書:原康夫著『第5版物理学基礎 Web動画付』学術図書出版社,2021年,2640円(税込)
担当教員 福地 健一

到達目標

【MCC:Ⅱ-A 物理】
評価項目1 力のモーメントに関する計算ができる。
評価項目2 剛体のつり合いに関する計算ができる。
評価項目3 重心に関する計算ができる。
評価項目4 原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。
評価項目5 時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。
評価項目6 物体の熱容量と比熱に関する計算ができる。
評価項目7 熱量保存の法則を用いて、熱容量、比熱及び熱平衡後の物体の温度を求めることができる。
評価項目8 ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積を求めることができる。
評価項目9 理想気体における分子の運動エネルギーと内部エネルギーの関係について説明できる。
評価項目10 熱力学第一法則を用いて、気体の状態変化(定積変化、定圧変化、等温変化、断熱変化)に関する計算ができる。
評価項目11 エネルギーには多くの形態があり、互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。
評価項目12 不可逆変化について、具体例を挙げて説明できる。
評価項目13 熱機関の熱効率に関する計算ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1,2,3力のモーメント,剛体のつり合い,重心に関する様々な計算ができる。力のモーメント,剛体のつり合い,重心に関する基本的な計算ができる。力のモーメント,剛体のつり合い,重心に関する計算ができない。
評価項目4,5,6,7,8,9,10分子運動と温度や熱平衡状態,内部エネルギーの関係について説明でき,熱容量,比熱,熱平衡後の物体の温度,気体の圧力、温度、体積,気体の状態変化に関する様々な計算ができる。分子運動と温度や熱平衡状態,内部エネルギーの関係について説明でき,熱容量,比熱,熱平衡後の物体の温度,気体の圧力、温度、体積,気体の状態変化に関する基本的な計算ができる。分子運動と温度や熱平衡状態,内部エネルギーの関係について説明できず,熱容量,比熱,熱平衡後の物体の温度,気体の圧力、温度、体積,気体の状態変化に関する計算もできない。
評価項目11,12,13エネルギーの形態や変換,不可逆変化について具体例を挙げて説明することができ,様々な熱機関の熱効率に関する計算もできる。エネルギーの形態や変換,不可逆変化について基本的な説明や熱機関の熱効率に関する基本的な計算ができる。エネルギーの形態や変換,不可逆変化についての基本的な説明や熱機関の熱効率に関する計算ができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(R5までのDP) R5までDP_1 科学技術の基礎知識・応用力の修得・活用
JABEE B-1 基礎知識と論理的思考能力

教育方法等

概要:
初めに物理量の記述法に関する復習を行う。続いて前半は「剛体の回転運動」,後半は「熱力学の基礎」について学ぶ。剛体の回転運動では,積分を用いて基本的な物体の慣性モーメントを求める。また,回転体の運動方程式の解法を学ぶ。熱力学の基礎では,気体の法則(ボイルの法則,シャルルの法則,ボイル-シャルルの法則,理想気体の状態方程式,アボガドロの法則)を用いて,気体の状態量を求められるようにするとともに,気体の分子運動を力学的に解析することで,理想気体の圧力と温度を求める。また,熱力学の第一法則,第二法則について学ぶ。
授業の進め方・方法:
資料配布および板書によって,極力丁寧に説明を行う。説明が分かりづらい場合は,躊躇せずに質問すること。また,説明の直後に,関連する例題演習(あらかじめ資料で配布する)を実施する。自分の力で丁寧なノートを作成し,授業時間内に問題演習もきちんとこなすこと。尚,Teamsの物理学Ⅲチャネルに,授業内容に沿ったスライドを掲載するので,予習及び復習に役立てること。
注意点:
授業内容(問題演習を含む)のノート作成を課題とし,授業への取組状況の一部として評価する(B5判30頁程度の冊子式ノートを各自準備すること。ルーズリーフは不可)。また,B5判の資料を配布するので,紛失しないようにすること。補助教科書の『第5版物理学基礎』は,物理学Ⅳ(3年後期)でも使用する。成績は中間試験と定期試験および授業への取組状況(ノート作成,出席状況,課題の提出)で総合評価する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
SI単位の復習, 剛体のつり合い(力のモーメント)
SI基本単位,SI組立単位,SI接頭語を用いて,物理量を「数値」×「単位」として表現できる。有効数値の概念を理解し,測定値を適切に表現することができる。力のモーメントの定義を理解し,物体に作用する力のモーメントの大きさ求めることができる。(MCC)
2週 剛体のつりあい(つり合いの条件) 剛体のつり合い条件を言葉で説明することができる。つり合いの条件を利用して,剛体に作用する力を計算により求めることができる。(MCC)
3週 重心の求め方(平面図形の図心,質点系の質量中心) 重心の定義について理解し,平面図形の図心,質点系の質量中心重心に関する計算ができる。(MCC)
4週 並進運動と回転運動の対応,慣性モーメントの計算(質点,棒(重心)) 回転運動に関する物理量を並進運動と関連して述べることができる。慣性モーメントの定義を理解し,質点および棒の重心に関する慣性モーメントを求めることができる。(MCC)
5週 慣性モーメントの計算(棒(左端),円環,円板),平行軸の定理 棒の左端に関する慣性モーメントおよび円環や円板の重心に関する慣性モーメントを積分により求めることができる。平行軸の定理を用いて振り子の慣性モーメントを求めることができる。(MCC)
6週 角運動量保存の法則,回転運動の基本公式 角運動量保存の法則を用いて,回転体の角速度を求めることができる。回転運動の基本公式を記述することができる。(MCC)
7週 回転体の運動方程式 回転運動をする物体の運動方程式を立てることができる。また,それを解くことで,回転体に生ずる角加速度を求めることができる。(MCC)
8週 前期中間試験 第1週目から第7週目までの既習得領域の問題を解くことができる。
2ndQ
9週 前期中間試験の返却と解説
理想気体,ボイルの法則,シャルルの法則,ボイル-シャルルの法則
理想気体について説明することができる。ボイルの法則,シャルルの法則,ボイル-シャルルの法則を用いて,気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。(MCC)
10週 理想気体の状態方程式,アボガドロの法則 理想気体の状態方程式を用いて気体の状態量を計算することができる。アボガドロの法則を用いて,分子の質量を計算することができる。(MCC)
11週 分子運動論,気体の圧力,気体の温度, ブラウン運動について説明することができる。容器に閉じ込められた気体の分子運動を解析することで,容器中の気体の圧力を求めることができる。気体の圧力に関する式と理想気体の状態方程式より,気体の温度に関する式を導くことができる。(MCC)
12週 気体の内部エネルギー,熱力学の第1法則,エネルギーの形態・変換・保存 単原子分子からなる理想気体の内部エネルギーを求めることができる。熱力学第一法則について理解し,定積変化・定圧変化・断熱変化について説明できる。熱力学の第一法則に関してエネルギーの形態や変換,保存について説明できる。(MCC)
13週 熱量と比熱,気体の比熱,熱量保存の法則 物体の熱容量と比熱について理解し,熱量保存則を用いて,混合物体の熱平衡状態における温度を求めることができる。理想気体のモル比熱を計算できる。(MCC)
14週 不可逆変化と熱機関 可逆変化及び不可逆変化の具体例を挙げることができる。熱機関の熱効率を計算することができる。熱力学の第2法則について定性的に説明することができる。(MCC)
15週 期末試験の返却と解説 物理学Ⅲで学習した内容について,体系的に理解する。
16週 予備日

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学力のモーメントを求めることができる。3前1
角運動量を求めることができる。3前6
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3前6
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3前2
重心に関する計算ができる。3前3
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3前4,前5
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3前7
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3前11
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3前13
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3前13
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3前13
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3前13
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3前9,前10
気体の内部エネルギーについて説明できる。3前12
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3前12
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3前12
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3前14
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3前14

評価割合

試験取組状況合計
総合評価割合8020100
評価項目1~3401050
評価項目4~13401050