物理学IV

科目基礎情報

学校 木更津工業高等専門学校 開講年度 令和07年度 (2025年度)
授業科目 物理学IV
科目番号 g0510 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電子制御工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書: 原康夫著『第5版物理学基礎 Web動画付』学術図書出版社,2021年,2640円(税込) / 教材:適宜資料を配布する
担当教員 福地 健一

到達目標

【MCC:Ⅱ-A 物理】
評価項目1 平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。
評価項目2 物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。
評価項目3 簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。
評価項目4 導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。
評価項目5 クーロンの法則が説明できる。
評価項目6 クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。
評価項目7 電場・電位について説明できる。
評価項目8 オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。
【MCC以外】
評価項目9 光子エネルギーを求めることができる。
評価項目10 光電効果の特徴を説明できる。
評価項目11 光電効果における照射光のエネルギー,金属の仕事関数,光電子の運動エネルギーに関する計算ができる。
評価項目12 X線の性質と発生メカニズムを説明できる。
評価項目13 コンプトン効果を理論的に説明できる。
評価項目14 物質波のド・ブロイ波長を求めることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1,2物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて様々な計算をすることができる。物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて基本的な計算をすることができる。物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて計算することができない。
評価項目3様々な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。物体の運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができない。
評価項目4,5,6,7,8電場や電位の関係,電場中での荷電粒子の運動,クーロンの法則について具体的に説明でき,様々な電磁気力に関する計算ができる。電場や電位の関係,電場中での荷電粒子の運動,クーロンの法則について簡単に説明でき,基本的な電磁気力に関する計算ができる。電場や電位の関係,電場中での荷電粒子の運動,クーロンの法則についての説明や電磁気力に関する計算ができない。
評価項目9,10,11,12,13,14粒子と波動の二重性について具体的に説明でき,光電効果やコンプトン効果に関する様々な計算ができる。粒子と波動の二重性について簡単に説明でき,光電効果やコンプトン効果に関する基本的な計算ができる。粒子と波動の二重性についての説明や光電効果やコンプトン効果に関する計算ができない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(R5までのDP) R5までDP_1 科学技術の基礎知識・応用力の修得・活用
JABEE B-1 基礎知識と論理的思考能力

教育方法等

概要:
前半は,「微積分を用いた力学解析の基礎」について学ぶ。特にニュートンの運動方程式(微分方程式)の立法及び解法を重点的に学ぶ。後半は,まず予備知識として電磁気学の復習を行う。その後,「近代物理の基礎」として,光の粒子性(光電効果やコンプトン効果)及び電子の波動性(ド・ブロイ波長)についいて学ぶ。
授業の進め方・方法:
資料配布および板書によって,極力丁寧に説明を行う。説明が分かりづらい場合は,躊躇せずに質問すること。また,説明の直後に,関連する例題演習(あらかじめ資料で配布する)を実施する。自分の力で丁寧なノートを作成し,授業時間内に問題演習もきちんとこなすこと。尚,Teamsの物理学Ⅳチャネルに,授業内容に沿ったスライドを掲載するので,予習及び復習に役立てること。
注意点:
ノート作成を授業への取組状況の一部として評価する(B5判30頁程度の冊子式ノートを各自準備すること。ルーズリーフは不可。物理学Ⅲの続きでも可)。B5判の資料を配布するので,紛失しないように保存すること。数式を使った解析が多くなるが,単なる「数遊び」に終わってはならない。物理現象を言葉によって正確に説明できるよう,常に心がけること。人に言葉で説明できないことは,真に理解したことにはならない。成績は中間試験,定期試験及び授業への取組状況(ノート作成,出席状況,課題提出)で総合評価する。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス(ガリレオとニュートンについて),微積分を用いた力学(変位・速度・加速度,力と仕事,力と力積) 古典力学が確立された背景を理解する。物体の変位,速度,加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。力を積分することで仕事及び力積を計算することができる。(MCC)
2週 微積分を用いた力学(ベクトルの微分),運動の三法則,運動方程式の基本型(微分形) ベクトルの微分を用いて等速円運動をする物体の速度ベクトル及び加速度ベクトルを求めることができる。ニュートンの運動3法則を説明することができる。微分形運動方程式の基本形を記述することができる。(MCC)
3週 真空中での自由落下
空気中での自由落下(1)
真空中での自由落下について,微分方程式の形で運動方程式を立て,初期値問題として解くことができる。粘性抵抗の性質を理解し,それが作用する場での落下運動について運動方程式を立てることができる。(MCC)
4週 空気中での自由落下(2)
単振動の運動方程式
粘性抵抗が作用する場での落下運動について,運動方程式を解き,速度や変位の時間関数を求め,それをグラフ化することができる。単振動の運動方程式を立てることができる。(MCC)
5週 単振動の運動方程式の解
減衰振動(1)
単振動について,与えられた解と初期条件を運動方程式に代入することで,角振動数および任意定数(振幅振幅と初期位相)を求めることができる。連結バネの運動方程式を立てることができる。減衰振動の運動方程式を立てることができる。(MCC)
6週 減衰振動(2) 減衰振動の運動方程式について,特性方程式を解くことで,一般解を求めることができる。(MCC)
7週 減衰振動(3) 減衰振動について,減衰率の違いが微分方程式の解に与える影響を説明することができる。減衰振動を行う物体の変位をグラフ化することができる。(MCC)
8週 中間試験 第1週目から第7週目までの既習得領域の問題を解くことができる。
4thQ
9週 中間試験の返却と解説
電場中の荷電粒子の運動
オームの法則から電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。平行板電極中の電場と電位の関係を説明できる。電場中で電荷に作用する力を計算できる。エネルギーの単位 [eV] を [J] に換算することができる。(MCC)
10週 量子とは
光の量子説
対生成と対消滅について説明できる。量子とは何かを説明できる。プランクおよびアインシュタインの光量子仮説について説明できる。波長や振動数より光子エネルギーを計算できる。
11週 光電効果(1) 導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。光電効果がどのような条件で起こるかを説明できる。光電管の仕組みや用途を説明できる。(MCC)
12週 光電効果(2),X線の発見 光量子説に基づき,光電効果を理論的に説明することができる。光電効果における照射光のエネルギー,金属の仕事関数,光電子の運動エネルギーに関する計算ができる。光の二重性につて説明できる。レントゲンによるX線発見の経緯について説明できる。
13週 X線の性質と発生メカニズム,光の散乱現象 X線の性質と発生メカニズムを説明することができる。X線管の加速電圧より発生X線の最短波長を求めることができる。電子による光の散乱現象として,トムソン散乱とコンプトン散乱の違いを説明できる。
14週 コンプトン効果,粒子の波動性 光子の相対論的運動量を求めることができる。電子と光子の弾性衝突を考え,コンプトン効果を理論的に説明できる。粒子線にも波動性があることを理解し,そのド・ブロイ波長を求めることができる。
15週 期末試験の返却と解説
物理学Ⅳで学習した内容について,体系的に理解する。
16週 予備日

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3後2
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3後1
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3後2,後3,後4,後5,後6,後7
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。3後9,後15
クーロンの法則が説明できる。3後9,後15
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。3後9,後15
電場・電位について説明できる。3後9,後15
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。3後9,後15

評価割合

試験取組状況合計
総合評価割合8020100
評価項目1~3401050
評価項目4~14401050