制御機器

科目基礎情報

学校 木更津工業高等専門学校 開講年度 平成28年度 (2016年度)
授業科目 制御機器
科目番号 0017 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 3
開設学科 電子制御工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 1.5
教科書/教材 講義内容の範囲と程度を網羅する適切な書籍がないため、担当者の作成したテキストを配布する。
担当教員 関口 明生

到達目標

□ パワーエレクトロニクスに用いられる素子と、変圧器、整流回路、昇降圧回路、インバータの動作原理を説明できる。
□ 各種電動アクチュエータの基礎式および動作原理と、制御のための方法を説明できる。
□ 各種油圧・空気圧アクチュエータの基礎式および動作原理と、制御のための方法を説明できる。
□ 電動・油圧・空気圧以外のいくつかのアクチュエータの動作原理と特徴を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
パワーエレクトロニクスパワーエレクトロニクスに用いられる素子と、変圧器、整流回路、昇降圧回路、インバータの動作原理を、実践的に説明できる。パワーエレクトロニクスに用いられる素子と、変圧器、整流回路、昇降圧回路、インバータの動作原理を説明できる。パワーエレクトロニクスに用いられる素子と、変圧器、整流回路、昇降圧回路、インバータの動作原理を説明できない。
電動アクチュエータ各種電動アクチュエータの基礎式および動作原理と、制御のための方法を、実践的に説明できる。各種電動アクチュエータの基礎式および動作原理と、制御のための方法を説明できる。各種電動アクチュエータの基礎式および動作原理と、制御のための方法を説明できない。
油圧・空気圧アクチュエータ各種油圧・空気圧アクチュエータの基礎式および動作原理と、制御のための方法を、実践的に説明できる。各種油圧・空気圧アクチュエータの基礎式および動作原理と、制御のための方法を説明できる。各種油圧・空気圧アクチュエータの基礎式および動作原理と、制御のための方法を説明できない。
その他のアクチュエータ電動・油圧・空気圧以外のいくつかのアクチュエータの動作原理と特徴を、詳しく説明できる。電動・油圧・空気圧以外のいくつかのアクチュエータの動作原理と特徴を説明できる。電動・油圧・空気圧以外のいくつかのアクチュエータの動作原理と特徴を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
アクチュエータとパワーエレクトロニクスに関して、単なる知識というよりも、なるべく実用上の観点からなるべく多くの数理的モデルを導いて用いることに重点を置く科目である。
本科目は、機械分野・電気電子分野・情報分野とそれぞれを関連づける制御分野の内容を満遍なく履修する本学科ならではの、特に最終学年に向けた授業であるから、電磁気学、流体力学、機械力学、材料力学、制御工学、電気回路、電子回路など、今までの履修内容を復習して卒業するための科目としても位置づけられる。
授業の進め方・方法:
原則は、独自のテキストに従って講義形式で授業を進め、各章の終わりごとに課題に取り組む。
試験は通年で4回行う。
注意点:
毎回の課題はできる限り自力で解いて出すこと。さもないと、ありのままで向上せず(しばしば不安定な開ループシステムのままで)、合格の評価を得ることは困難となり、結果的に将来苦労する羽目になる。
わからない箇所や疑問点などあれば、積極的に質問すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 【第1章】アクチュエータ概論
○ アクチュエータ
○ エネルギーの種類
○ 制御系におけるアクチュエータ
○ アクチュエータの分類
○ アクチュエータの選択と性能評価
□ アクチュエータのおおよその分類について説明することができる。
2週 ○ 伝達機構
○ 摩擦と非線形特性
○ システムの評価方法と2次系
□ 代表的な非線形特性について、具体例を挙げて説明することができる。
3週 ○ ラグランジュの方程式
☆ 課題(アクチュエータ概論)
□ ラグランジュの方程式を用いて、2重振り子などの基礎的な数理モデルを求めることができる。
4週 【第2章】パワーエレクトロニクス
○ 概要
○ 受動素子
○ 能動素子
□ パワーエレクトロニクスにおいて用いられる能動素子と受動素子について基礎的な特性や用途の違いを説明することができる。
5週 ○ 直流と交流の変換器
○ AC-AC変換器(変圧器)
○ AC-DC変換器(整流回路)
□ 理想変圧器と実際の変圧器(変圧器の等価回路)の違いについて説明することができる。
□ ダイオードやサイリスタを用いた半波・全波整流回路について、積分を用いて出力電圧の平均値を求めることができる。
6週 ○ DC-DC変換器(昇圧・降圧回路)
□ 基礎的な降圧チョッパ回路、昇圧チョッパ回路、昇降圧チョッパ回路の動作の仕組みを説明することができ、出力電圧を求めることができる。
7週 ○ DC-AC変換器(インバータ)
○ パワーエレクトロニクスの応用
☆ 課題(パワーエレクトロニクス)
□ 基本的なインバータの種類と動作の違いについて説明することができる。
□ サイリスタを用いた他励インバータの点弧角を求めることができる。
□ パワーエレクトロニクス(電力の変換)が身近に使われている用途を少なくとも2, 3挙げることができる。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 【第3章】電動アクチュエータ
○ 電動システムの基本構成
○ 基本的動作原理
○ 電磁ソレノイド
□ 電磁気学で学習した磁気回路や磁気エネルギーの考えを利用して、電磁ソレノイドの吸引力特性の数式モデルを求める過程を、資料に基づいて説明することができる。
10週 ○ トルクモータ
○ ムービングコイル
○ 直流サーボモータ
□ トルクモータやムービングコイルの動作の仕組みを説明できる。
11週 ○ 直流サーボモータ
○ ブラシレスDCモータ

□ いままでに学習した諸定理を分野横断的に用いて、直流サーボモータの伝達関数を求めることができる。
12週 ○ 同期モータ □ 同期モータについて動作原理と特徴を説明することができる。
□ 同期モータについて定常的なトルクと回転数について計算を行うことができる。
13週 ○ 誘導モータ □ 誘導モータについて動作原理と特徴を説明することができる。
□ 誘導モータについてすべり角の計算を行うことができる。
□ 直流モータ、同期モータ、誘導モータの違いを説明することができる。
14週 ○ ステッピングモータ
☆ 課題(電動アクチュエータ)
□ ステッピングモータの種類、駆動方法、基本的特性について説明することができる。
15週 前期定期試験
16週 試験の返却
解答の解説
後期
3rdQ
1週 【第4章】油圧アクチュエータ
○ 油圧システムの基本構成
○ 油圧シリンダ
□ 油の圧縮や漏れを考慮してシリンダの数理モデルを導出する過程を理解し、油圧シリンダの移動速度と推力を計算することができる。
2週 ○ 油圧モータ
○ 揺動形油圧アクチュエータ
○ 油圧ポンプ
□ 油圧モータや油圧ポンプについて、容積効率、トルク効率、全効率の違いを説明することができる。
3週 ○ 油圧制御弁
□ ノズル・フラッパ機構を用いたサーボ弁の動作を説明することができる。
□ ゼロラップ形・アンダラップ形のスプール弁の流量特性を計算することができる。
4週 ○ 油圧アクチュエータの制御
☆ 課題(油圧アクチュエータ)
□ 油圧アクチュエータを用いたシステムの基本的な制御方法の構成を説明することができる。
5週 【第5章】空気圧アクチュエータ
○ 空気圧システムの基本構成
○ 空気圧シリンダ
□ 油圧アクチュエータと空気圧アクチュエータの大きな相違点を2つ挙げ、それぞれの適した用途を考えることができる。
6週 ○ 空気圧モータ
○ 絞り部を通る空気の流量特性
○ 空気圧制御弁
□ 絶対圧とゲージ圧の違いを説明することができる。
□ 絞り部を通る空気の流量特性を計算することができる。
7週 ○ 空気圧アクチュエータの制御
☆ 課題(空気圧アクチュエータ)
□ 空気圧アクチュエータを用いたシステムの基本的な制御方法の構成を説明することができる。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 【第6章】その他のアクチュエータ
○ エネルギー源と固体の変形現象
○ 圧電アクチュエータ
○ 超音波モータ
○ 電歪アクチュエータ
○ 静電アクチュエータ
□ 圧電効果、逆圧電効果、電歪効果、磁歪効果、熱膨張などの固体の変形現象の違いを説明することができる。
□ バイモルフ形と積層形の圧電素子の構成・特性・用途の違いを説明することができる。
10週 ○ 電気粘性流体アクチュエータ
○ 電界共役流体アクチュエータ
○ 超磁歪アクチュエータ
○ 磁性粘性流体アクチュエータ
○ 空気圧人工筋アクチュエータ
○ フレキシブルマイクロアクチュエータ
○ 形状記憶合金アクチュエータ
○ 水素貯蔵合金アクチュエータ
○ 光アクチュエータ
○ レーザ光アクチュエータ
○ 高分子アクチュエータ

□ 電動アクチュエータ・油圧アクチュエータ・空気圧アクチュエータ以外のアクチュエータについて2, 3例を挙げて説明することができる。
11週 【第7章】アクチュエータシステムの設計と制御
☆ 課題(アクチュエータシステムの設計と制御)
○ アクチュエータの制御方法の分類と違い
□ アクチュエータの制御方法について今一度俯瞰的に捉え、適切な方法を選択する意思がある。
12週 ○ ディジタルPID制御
□ ディジタルPID制御の方法と比例・積分・微分ゲインの効果について説明することができる。
13週 ○ アクチュエータシステムの模擬的な設計と制御の発表 □ アクチュエータを用いたシステムの設計と制御の過程について、級友の設計も参考にしながら、失敗を擬似的に体験できる。
14週 【第8章】分野の枠を超えた情報セキュリティ
○ 機械系・電気電子系・情報系のケーススタディ
○ ワークシートの記入(各個人)
○ ペア・トーク
○ チーム・ディスカッション
○ チーム発表
□ 本学科の学習を通して分野の枠にとらわれない専門意識を持つだけではなく、分野の枠にとらわれないセキュリティの意識ができる。
15週 後期定期試験
16週 試験の返却
解答の解説
今までの学修生活の振り返り

評価割合

試験発表相互評価課題ポートフォリオその他合計
総合評価割合80002000100
基礎的能力0000000
専門的能力80002000100
分野横断的能力0000000