電子工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 木更津工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 電子工学Ⅰ
科目番号 0055 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 自作テキスト
担当教員 鈴木 聡

到達目標

1.古典力学および簡単な量子力学を用いて電子の振る舞いを説明できる。
2.導体・半導体・絶縁体の電気的特性を説明できる。
3.半導体の基本的性質を理解し、電子素子の基本構造であるpn接合の働きを説明できる。
4.ダイオードやバイポーラトランジスタの動作原理および特性を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
電子の振る舞い電子の振る舞いを古典力学と量子力学の両方を用いてその違いを説明できる。古典力学を用いて電子の運動が説明でき、量子力学の基礎も理解できる。古典力学と量子力学のどちらを用いても電子の振る舞いを説明できない。
導体・半導体・絶縁体の電気的特性導体・半導体・絶縁体の電気的特性が違う理由を説明できる。導体・半導体・絶縁体の電気的特性の違いを説明できる。導体・半導体・絶縁体の電気的特性の違いを説明できない。
ダイオードとバイポーラトランジスタダイオードとトランジスタの構造、特性および動作原理を説明できる。ダイオードとトランジスタの構造と特性が説明できる。ダイオードとトランジスタの構造や特性が説明できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
電子工学Ⅰでは、古典力学的な電子の運動、量子力学の基礎、金属、半導体などの物性およびpn接合の学習を行う。またpn接合を利用したダイオードとバイポーラトランジスタの動作原理と特性について学ぶ。
授業の進め方・方法:
授業方法は講義を中心として進め、適宜演習を行う。最初の古典的な電子の運動の取り扱いでは、2学年までに学習した力学と電磁気学が基礎となるので、必要に応じてこれらの復習も行う。また、年間に4回の課題の提出を求める。
注意点:
電子の話は目に見えないミクロの世界であるから、直観的に理解しにくい。したがって各自で電子に対するイメージを頭の中に描けるようにすることが大切である。また、電子の質量で代表されるような非常に小さい数から、電子の個数のように非常に大きな数までを扱うので、その取り扱いに慣れておくこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンスおよび必要な知識の確認 授業の目標や進め方、必要な知識、成績評価の方法について理解する。
2週 真空中の電子の運動1 電界中での電子の運動を理解する。
3週 真空中の電子の運動2 磁界中での電子の運動を理解する。
4週 電子放出 金属からの熱電子放出、光電子放出、二次電子放出、電界放出を理解する。
5週 黒体放射 量子力学の誕生につながった黒体放射を学習することにより、エネルギの量子化を理解する。
6週 光電効果 光電効果の実験結果より光の粒子性を理解する。
7週 物質波 ド・ブロイの理論により物質の波動性を理解する。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 原子内の電子1 ボーアの仮説から原子のエネルギが量子化されることを定性的に理解する。
10週 原子内の電子2 定量的な取り扱いにより、ボーアの仮説が正しいことを理解する。
11週 金属中の電子の運動1 古典的な金属中の電子の運動と移動度を理解する。
12週 金属中の電子の運動2 古典的な金属中の電子の取り扱いからオームの法則の理論的導出法を理解する。
13週 半導体の基本的性質 半導体の基本的性質を理解する。
14週 半導体の種類と応用 半導体の種類と応用を理解する。
15週 前期定期試験
16週 答案返却・解答解説
後期
3rdQ
1週 真性半導体 半導体の結晶構造および真性半導体の電気伝導について理解する。
2週 外因性半導体 外因性半導体であるp形およびn形半導体の電気伝導について理解する。
3週 半導体の電気伝導機構1 半導体に流れるドリフト電流について理解する。
4週 半導体の電気伝導機構2 半導体に流れる拡散電流について理解する。
5週 pn接合1 pn接合の構造と作成方法を理解する。
6週 pn接合2 pn接合が整流性を示す理由を理解する。
7週 pn接合3 pn接合の電流-電圧特性について理解する。
8週 後期中間試験
4thQ
9週 pn接合の特性解析1 pn接合にポアソンの方程式を適用する方法を理解する。
10週 pn接合の特性解析2 ポアソンの方程式を解き、pn接合の電位分布と拡散電位を理解する。
11週 pn接合の特性解析3 電位分布からpn接合の空乏層容量を求める手法を理解する。
12週 ダイオード pn接合を利用した整流器、定電圧ダイオード、可変容量ダイオードの動作原理と特性を理解する。
13週 バイポーラトランジスタ1 バイポーラトランジスタの構造と動作原理を理解する。
14週 バイポーラトランジスタ2 バイポーラトランジスタの特性を理解する。
15週 後期定期試験
16週 返却答案返却・解答解説

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学導関数の定義を理解している。3
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。3
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。3
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。3
合成関数の導関数を求めることができる。3
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。3
逆三角関数を理解し、逆三角関数の導関数を求めることができる。3
関数の増減表を書いて、極値を求め、グラフの概形をかくことができる。3
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。3
簡単な場合について、関数の接線の方程式を求めることができる。3
2次の導関数を利用して、グラフの凹凸を調べることができる。3
関数の媒介変数表示を理解し、媒介変数を利用して、その導関数を求めることができる。3
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。3前2
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。3前2
原子の構造を説明できる。3前10
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。3前12
真性半導体と不純物半導体を説明できる。3後2
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。2後7
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。2後14

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000200100
基礎的能力3000010040
専門的能力5000010060
分野横断的能力0000000