概要:
アクチュエータとその実用に関して、単なる知識というよりも、なるべく実用上の観点からなるべく多くの数理的モデルを導いて用いることに重点を置く科目である。
本科目は、機械分野・電気電子分野・情報分野とそれぞれを関連づける制御分野の内容を満遍なく履修する本学科ならではの、特に最終学年に向けた授業であるから、電磁気学、流体力学、機械力学、材料力学、制御工学、電気回路、電子回路など、今までの履修内容を復習して卒業するための科目としても位置づけられる。
この科目は多くの中小企業が訪れる公設試験場においてサービスロボットの機械設計などを担当していた教員が、その経験を活かし、アクチュエータとそれを駆動するための技術について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
原則として、独自のテキストに従って講義形式で授業を進め、各章の終わりごとに課題に取り組む。
この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習として、講義内容に適したオリジナルテキストを事前配布すると共にレポート課題を実施します。
注意点:
「能動的学習」の意識を持って取り組むこと。毎回の課題は自力で解いて出し間違いを元に学習すること。さもないと、ありのままで向上せず(しばしば不安定な開ループシステムのままで)、合格の評価を得ることは困難となり、苦労する将来が待ち構えている。能動的に学習した内容は、技術者としての血や骨を効率的に形成する。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
【第4章】油圧アクチュエータ ○ 油圧システムの基本構成 ○ 油圧シリンダ |
□ 油の圧縮や漏れを考慮してシリンダの数理モデルを導出する過程を理解し、油圧シリンダの移動速度と推力を計算することができる。
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2週 |
○ 油圧モータ ○ 揺動形油圧アクチュエータ ○ 油圧ポンプ |
□ 油圧モータや油圧ポンプについて、容積効率、トルク効率、全効率の違いを説明することができる。
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3週 |
○ 油圧制御弁 |
□ ノズル・フラッパ機構を用いたサーボ弁の動作を説明することができる。 □ ゼロラップ形・アンダラップ形のスプール弁の流量特性を計算することができる。
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4週 |
○ 油圧アクチュエータの制御 ☆ 課題(油圧アクチュエータ) |
□ 油圧アクチュエータを用いたシステムの基本的な制御方法の構成を説明することができる。
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5週 |
【第5章】空気圧アクチュエータ ○ 空気圧システムの基本構成 ○ 空気圧シリンダ |
□ 油圧アクチュエータと空気圧アクチュエータの大きな相違点を2つ挙げ、それぞれの適した用途を考えることができる。
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6週 |
○ 空気圧モータ ○ 絞り部を通る空気の流量特性 ○ 空気圧制御弁 |
□ 絶対圧とゲージ圧の違いを説明することができる。 □ 絞り部を通る空気の流量特性を計算することができる。
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7週 |
○ 空気圧アクチュエータの制御 ☆ 課題(空気圧アクチュエータ) |
□ 空気圧アクチュエータを用いたシステムの基本的な制御方法の構成を説明することができる。
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8週 |
後期中間試験 |
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4thQ |
9週 |
【第6章】その他のアクチュエータ ○ エネルギー源と固体の変形現象 ○ 圧電アクチュエータ ○ 超音波モータ ○ 電歪アクチュエータ ○ 静電アクチュエータ |
□ 圧電効果、逆圧電効果、電歪効果、磁歪効果、熱膨張などの固体の変形現象の違いを説明することができる。 □ バイモルフ形と積層形の圧電素子の構成・特性・用途の違いを説明することができる。
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10週 |
○ 電気粘性流体アクチュエータ ○ 電界共役流体アクチュエータ ○ 超磁歪アクチュエータ ○ 磁性粘性流体アクチュエータ ○ 空気圧人工筋アクチュエータ ○ フレキシブルマイクロアクチュエータ ○ 形状記憶合金アクチュエータ ○ 水素貯蔵合金アクチュエータ ○ 光アクチュエータ ○ レーザ光アクチュエータ ○ 高分子アクチュエータ |
□ 電動アクチュエータ・油圧アクチュエータ・空気圧アクチュエータ以外のアクチュエータについて2, 3例を挙げて説明することができる。
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11週 |
【第7章】アクチュエータシステムの設計と制御 ☆ 課題(アクチュエータシステムの設計と制御) ○ アクチュエータの制御方法の分類と違い |
□ アクチュエータの制御方法について今一度俯瞰的に捉え、適切な方法を選択する意思がある。
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12週 |
○ ディジタルPID制御 |
□ ディジタルPID制御の方法と比例・積分・微分ゲインの効果について説明することができる。
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13週 |
○ アクチュエータシステムの模擬的な設計と制御の発表 |
□ アクチュエータを用いたシステムの設計と制御の過程について、級友の設計も参考にしながら、失敗を擬似的に体験できる。
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14週 |
【第8章】分野の枠を超えた情報セキュリティ ○ 機械系・電気電子系・情報系のケーススタディ ○ ワークシートの記入(各個人) ○ チーム・ディスカッション ○ チーム発表 |
□ 本学科の学習を通して分野の枠にとらわれない専門意識を持つだけではなく、分野の枠にとらわれないセキュリティの意識ができる。
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15週 |
後期定期試験 |
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16週 |
試験の返却 解答の解説 今までの学修生活の振り返り |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 情報リテラシー | 情報リテラシー | 情報セキュリティの必要性および守るべき情報を認識している。 | 3 | |
個人情報とプライバシー保護の考え方についての基本的な配慮ができる。 | 3 | |
インターネット(SNSを含む)やコンピュータの利用における様々な脅威を認識している | 3 | |
インターネット(SNSを含む)やコンピュータの利用における様々な脅威に対して実践すべき対策を説明できる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 力学 | 力は、大きさ、向き、作用する点によって表されることを理解し、適用できる。 | 3 | |
力のモーメントの意味を理解し、計算できる。 | 3 | |
運動の第一法則(慣性の法則)を説明できる。 | 3 | |
運動の第二法則を説明でき、力、質量および加速度の関係を運動方程式で表すことができる。 | 3 | |
運動の第三法則(作用反作用の法則)を説明できる。 | 3 | |
エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。 | 3 | |
位置エネルギーと運動エネルギーを計算できる。 | 3 | |
動力の意味を理解し、計算できる。 | 3 | |
すべり摩擦の意味を理解し、摩擦力と摩擦係数の関係を説明できる。 | 3 | |
運動量および運動量保存の法則を説明できる。 | 3 | |
剛体の回転運動を運動方程式で表すことができる。 | 3 | |
不減衰系の自由振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。 | 3 | |
減衰系の自由振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。 | 3 | |
熱流体 | 流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。 | 3 | |
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。 | 3 | |
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。 | 1 | |
計測制御 | 自動制御の定義と種類を説明できる。 | 3 | |
フィードバック制御の概念と構成要素を説明できる。 | 3 | |
伝達関数を説明できる。 | 3 | |
ブロック線図を用いて制御系を表現できる。 | 3 | |
電気・電子系分野 | 制御 | 伝達関数を用いたシステムの入出力表現ができる。 | 4 | |
ブロック線図を用いてシステムを表現することができる。 | 4 | |