計算機制御工学

科目基礎情報

学校 木更津工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 計算機制御工学
科目番号 0147 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電子制御工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 原則毎回講義資料を配布するため、A4のファイルを用意すること。
担当教員 関口 明生

到達目標

コンピュータを用いて、1)対象とするシステムのふるまいを数理的にモデル化・予測し、2)離散時間の信号を適切に処理し、3)対象とするシステムの特性を変えて保つ ための、ディジタル制御の知識を身につける。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
ディジタル制御やディジタル信号処理を行うための数学的基礎能力Z変換を用いて比較的複雑な数式を処理することができる。Z変換を用いて基礎的な数式を処理することができる。Z変換を用いて基礎的な数式を処理することができない。
システムを多様な観点で評価する能力システムを評価する計算ができるだけではなく、それぞれの内容を実システムに適用して判断することができる。線形時不変システムに対して応答、定常偏差、周波数特性、安定性、可制御性、可観測性などの計算を実施できる。線形時不変システムに対して応答、定常偏差、周波数特性、安定性、可制御性、可観測性などの計算を実施できない。
ディジタル制御を実施する能力実システムに合わせて、離散時間における制御器とオブザーバをいずれも適切に設計することができる。離散時間における基本的な制御器とオブザーバをいずれも設計することができる。離散時間における基本的な制御器とオブザーバを設計することができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
ディジタル制御とディジタルフィルタの内容を、応用にも考えを置きながら学習する。
本科目の学修内容は、たとえば家電や自動車からプラントや社会システムまでの幅広い計測制御に用いられる制御工学の内容をコンピュータを用いて(離散時間で)実践する際に、効力を発揮する。
授業の進め方・方法:
講義資料を配付する。授業はこの講義資料に沿って行い、課題に取り組む際の資料ともなるため、A4のファイルを用意して整理すること。整理することができないようでは、本科目の履修は難しくなる。
特に重要な部分については、実際に計算して知識の定着を図るために、課題を出題する。
質問があれば、授業時間内や授業時間外に担当教員まで積極的に申し出ること。
注意点:
課題は締め切りまでに遅滞なく提出することが理想的である。課題点の評価は高くはないが、課題に取り組むことができないと事実上試験問題に取り組むことが困難になる。
より効率的な理解のためには、ScilabやMaximaなどのソフトウェアを自主的に併用することを勧める。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 【第1章:離散時間入門】
「離散時間入門」
□連続時間と離散時間における制御上の差異の概要について説明することができる。
□数学的技能として漸化式(差分方程式)、行列の逆行列や固有値、部分分数分解などを扱うことができる。
2週 【第2章:離散時間信号とZ変換】
「信号の標本化と離散時間システム」
□サンプリング定理について、人にわかるように説明することができる。
□A/D変換器とD/A変換器の入出力信号について、どのような違いがあるか、それぞれ説明することができる。
□伝達関数と状態空間表現の違いについて説明することができる。
3週 「Z変換」 □連続時間の計測制御におけるラプラス変換とフーリエ変換が、離散時間の計測制御におけるZ変換と離散フーリエ変換に対応することを知る。
□Z変換の定義式や基本的関数のZ変換を利用して、簡単な関数のZ変換を求めることができる。
□ディラックのデルタ関数とクロネッカのデルタ関数の違いを説明することができる。
4週 「Z変換の性質と逆Z変換」 □Z変換の諸性質を利用して、簡単な関数のZ変換を求めることができる。
□逆Z変換を求めることができる。
5週 【第3章:離散時間システム】
「システムの離散化」
□連続時間の状態空間表現で表されるシステムについて、離散時間の状態空間表現を求めることができる。
□離散時間の状態空間表現で表されるシステムについて、パルス伝達関数を求めることができる。
6週 「過渡特性・定常特性・周波数特性」 □パルス伝達関数で表されるシステムについて、単位インパルス応答を求めることができる。
□パルス伝達関数で表されるシステムについて、単位ステップ応答を求めることができる。
□パルス伝達関数で表されるシステムについて、周波数特性を求めることができる。
7週 中間試験に向けた演習 □いままでの学修内容で理解が不足していたところを、演習等によって自ら見いだし、改善に向けて取り組むことができる。
8週 中間試験
4thQ
9週 「安定性」 □パルス伝達関数で表されるシステムの安定性を判別することができる。
□離散時間の状態空間表現で表されるシステムの安定性を判別することができる。
10週 「可制御性・可観測性と座標変換」 □状態空間表現で表されるシステムの可制御性を判別することができる。
□状態空間表現で表されるシステムの可観測性を判別することができる。
□状態空間表現で表されるシステムについて、可制御正準形を求めることができる。
□状態空間表現で表されるシステムについて、対角正準形を求めることができる。
11週 【第4章:制御系設計】
「状態フィードバック制御」
□閉ループの極を所望の位置に配置するための状態フィードバックのゲインを求めることができる。
□有限整定制御の特徴を説明することができる。
12週 「同一次元オブザーバ」 □オブザーバの極を所望の位置に配置するための同一次元オブザーバのゲインを求めることができる。
13週 「最適レギュレータ」 □2次系式の評価関数に基づいてフィードバックゲインを求めることができる。
□評価関数の係数と閉ループシステムのふるまいの関係を説明することができる。
14週 【第5章:ディジタル信号処理】
「離散フーリエ変換」
□離散フーリエ変換および逆離散フーリエ変換の基礎的な計算をそれぞれ行うことができる。
□窓関数を用いた場合の効果を説明することができる。
□離散フーリエ変換と高速フーリエ変換の関係を説明することができる。
15週 定期試験に向けた演習 □いままでの学修内容で理解が不足していたところを、演習等によって自ら見いだし、改善に向けて取り組むことができる。
16週 定期試験

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000200100
基礎的能力0000000
専門的能力80000200100
分野横断的能力0000000