電子回路

科目基礎情報

学校 木更津工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 電子回路
科目番号 0035 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 情報工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 藤井信生著『なっとくする電子回路』講談社、1994年、2835円(+税)
担当教員 和﨑 浩幸

到達目標

一般的な増幅回路の特性について理解し、その概要を説明できる。
バイポーラトランジスタとMOSFETの基本的な特性を理解し、基本的な増幅器の動作が説明できる。
トランジスタの基本的な等価回路を使い、電圧利得等を求めることができる。
差動増幅回路を含む直流結合回路の基本を理解し、差動利得や同相利得などを求めることができる。
負帰還回路として演算増幅器による逆相・正相増幅器について、回路解析ができる。
B級プッシュプル回路の基本的な動作について、説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1一般的な増幅回路の特性について理解し、それぞれについて説明することができる。一般的な増幅回路の特性について理解し、概要を説明することができる。一般的な増幅回路の特性について理解できていない。
評価項目2トランジスタの基本的な特性を理解し、簡単な等価回路として説明できる。トランジスタの基本的な特性を理解し、簡単な等価回路が書ける。トランジスタの簡単な等価回路が書けない。
評価項目3トランジスタの3接地形式について解析ができ、それぞれの特徴を説明できる。トランジスタの3接地形式について解析の手法を理解し、それぞれの特徴を理解している。トランジスタの3接地形式の全てで解析手法の理解ができない。
評価項目4差動増幅回路を含む直流結合回路の基本を理解し、回路解析により差動利得や同相利得などを求めることができる。差動増幅回路を含む直流結合回路の基本を理解し、差動利得や同相利得などの解析方法を理解している。差動増幅回路を含む直流結合回路の基本が理解できていない。
評価項目5演算増幅器を用いた正相増幅器と逆相増幅器やその応用回路の回路解析ができる。演算増幅器を用いた正相増幅器と逆相増幅器の回路解析ができる。演算増幅器を用いた正相増幅器と逆相増幅器の回路解析ができない。
評価項目6B級プッシュプル回路の動作が説明でき、クロスオーバ歪の軽減方法についても説明できる。B級プッシュプル回路の基本的な動作を説明できる。B級プッシュプル回路の基本的な動作が説明できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程 2(2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
この科目(電子回路)では、各種増幅回路の解析手法、電圧利得や周波数特性などの諸特性について学ぶ。
まず、演算増幅器の特性と負帰還回路による逆相・正相増幅回路について学ぶ。
次に、トランジスタ増幅回路の解析手法について学び、MOS-FET・バイポーラトランジスタを用いた各種の増幅回路について解析を行う。
また、結合コンデンサを必要としないバイアス方式について学び、差動増幅回路の動作について学ぶ。
最後に、大きな信号を扱う回路として、B級プッシュプル回路の基本を学ぶ。
授業の進め方・方法:
教科書の内容に沿って、順に授業を進める。増幅器の基本回路について学び、その解析手法と解析で得られた特性について説明を行う。
なお、教科書には解析結果のみ提示されている部分もあるが、必要に応じて解析方法等について説明を加える。
細かな式の展開にとらわれすぎずに、解析手法の理解を深めるようにすること。
4回の試験の平均点80%とレポート20%で評価する。
注意点:
電子回路の内容は、そのほとんどが電気回路の知識を用いた回路解析であるので、電気回路解析の諸法則・諸定理について復習をしておくこと。
電子回路特有の考え方として、直流解析と交流解析に分けて考えたり、デバイスのモデル化や特性の近似を行って計算すること等があるので、これらの点に注意して学習すること。
解析結果のみならず、解析手法を理解するように学習すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 電子回路で扱うデバイスの基本的な性質について学ぶ。 抵抗、コンデンサ、ダイオードの基本的な特性について説明できる。
2週 電気回路の解析手法の復習を行い、電子回路特有の制御電源について学ぶ。 電気回路の解析手法を確認し、制御電源の扱いについて理解する。
3週 演算増幅器の基本的特性について学び、逆相増幅回路と正相増幅回路の解析を行う。 演算増幅器の基本的特性を理解し、逆相増幅回路と正相増幅回路の解析ができる。
4週 一般的な増幅器の特性を表すパラメータについて理解し、入力抵抗と出力抵抗の影響について学ぶ。 一般的な増幅器の特性を表すパラメータについて理解し、入力抵抗と出力抵抗の影響について説明できる。
5週 出力電圧の範囲について学ぶ。また、電圧利得の帯域幅について学ぶ。 出力電圧の範囲について理解する。また、電圧利得の帯域幅について理解する。
6週 バイポーラトランジスタとMOS-FETの種類と基本的な特性について学ぶ。 バイポーラトランジスタとMOS-FETの種類と基本的な特性について理解する。
7週 MOS-FETのバイアスについて学び、作図によって出力信号を求める方法を学ぶ。 MOS-FETのバイアスについて理解し、作図によって出力信号を求めることができる。
8週 前期中間試験を行う。 前期中間試験で50点以上とる。
2ndQ
9週 前期中間試験の解答と説明を行う。 前期中間試験の結果から、必要な復習を行う。
10週 トランジスタ回路について、バイアスと信号成分に分けて計算することを学ぶ。また、MOS-FETの交流等価回路について学ぶ。 トランジスタ回路について、バイアスと信号成分に分けて計算できることを理解する。また、MOS-FETの交流等価回路について理解する。
11週 バイポーラトランジスタの交流等価回路について学ぶ。 バイポーラトランジスタの交流等価回路について理解する。
12週 MOS-FETのソース接地増幅回路の直流・交流解析手法について学ぶ。 MOS-FETのソース接地増幅回路の直流・交流解析手法について学ぶ。
13週 MOS-FETのドレイン接地増幅回路の直流・交流解析手法について学ぶ。 MOS-FETのドレイン接地増幅回路の直流・交流解析手法について学ぶ。
14週 MOS-FETのゲート接地増幅回路の直流・交流解析手法について学ぶ。 MOS-FETのゲート接地増幅回路の直流・交流解析手法について学ぶ。
15週 前期期末試験を行う。 前期期末試験で50点以上とる。
16週 前期期末試験の解答と説明を行う。 前期期末試験の結果から、必要な復習を行う。
後期
3rdQ
1週 バイポーラトランジスタのバイアス回路について学ぶ。エミッタ接地増幅回路の交流解析手法について学ぶ。 バイポーラトランジスタのバイアス回路について理解する。エミッタ接地増幅回路の交流解析を行い、電圧利得が求められる。
2週 引き続きバイポーラトランジスタのエミッタ接地増幅回路の交流解析手法について学ぶ。 エミッタ接地増幅回路の交流解析を行い、入力抵抗と出力抵抗が求められる。
3週 バイポーラトランジスタのコレクタ接地増幅回路の解析手法について学ぶ。 コレクタ接地増幅回路の交流解析を行い、電圧利得が求められる。
4週 引き続きバイポーラトランジスタのコレクタ接地増幅回路の解析手法について学ぶ。 コレクタ接地増幅回路の交流解析を行い、入力抵抗と出力抵抗が求められる。
5週 バイポーラトランジスタのベース接地増幅回路の解析手法について学ぶ。 ベース接地増幅回路の交流解析を行い、電圧利得が求められる。
6週 引き続きバイポーラトランジスタのベース接地増幅回路の解析手法について学ぶ。 ベース接地増幅回路の交流解析を行い、入力抵抗と出力抵抗が求められる。
7週 基本的な増幅回路の組み合わせによる、相互接続の影響について学ぶ。 基本的な増幅回路の組み合わせによる、相互接続の影響について説明できる。
8週 後期中間試験を行う。 後期中間試験で50点以上とる。
4thQ
9週 後期中間試験の解答と説明を行う。 後期中間試験の結果から、必要な復習を行う。
10週 トランジスタ増幅回路の帯域について学ぶ。 トランジスタ増幅回路の高域遮断周波数と低域遮断周波数について理解する。
11週 負帰還回路について学び、基本的な負帰還形式について学ぶ。 負帰還回路の基本を理解し、負帰還形式について理解する。
12週 結合コンデンサを用いないトランジスタ増幅回路のバイアスについて学ぶ。 結合コンデンサを用いないトランジスタ増幅回路のバイアスについて理解する。
13週 差動増幅回路とその周辺回路について学ぶ。 差動増幅回路の交流解析を行い、差動利得、同相利得、CMRRについて理解する。
14週 B級プッシュプル回路について学ぶ。 B級プッシュプル回路の基本動作を説明できる。クロスオーバ歪とその改善について理解する。
15週 後期期末試験を行う。 後期期末試験で50点以上とる。
16週 後期期末試験の解答と説明を行う。 後期期末試験の結果から、必要な復習を行う。

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力0000000
専門的能力80000020100
分野横断的能力0000000