到達目標
固体の構造、格子欠陥、拡散など材料学の基礎事項を簡単に説明できる。鉄およびアルミの製造法概要を説明できる。
簡単な模式的平衡状態図を読むことができる。転位の定義およびはたらきを簡単に説明できる。また材料の強化機構を簡単に説明できる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
固体の構造、格子欠陥、拡散、鉄・アルミ製造法、転位の定義・はたらき、強化機構 | 相互の関係まで説明できる。 | それぞれを簡単に説明できる。 | 定義を説明できない。 |
平衡状態図の読み方、Fe-C系平衡状態図 | 材料の製造工程や部品の使用環境において、材料のとる相を状態図から予測することができる。 | 指示された組成および温度における平衡相およびそれが混合相の場合はそれぞれの相の溶質濃度および体積分率を答えることができる。 | 全率固溶体型状態図、共晶(共析)型状態図、包晶(包析)型状態図を正しく読むことができない。 |
評価項目3 | | | |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
機械を設計するには、部品に適した材料を選択できなければならない。また、機械をメンテナンスするには、部品に使われている材料が使用環境から受ける影響や経時変化を知っていなければならない。これらに必要な材料学の基礎的な知識を学ぶ。予備知識として高校の化学、物理および関数の知識が必要である。材料学については何も知らないという前提で進める。
授業の進め方・方法:
【方法】講義、演習、グループワークを組み合わせる。講義中も積極的に指名して質問を投げかける。
【内容】
固体の構造、格子欠陥、拡散など材料学の基礎事項を概観する。
材料の地図とも言える平衡状態図の読み方を学び、平衡状態図をもとに鉄鋼材料の熱処理を理解する。
20世紀における金属学の最大の成果とも言える転位について概観した後、転位の理解をもとに材料の強度とは何か、強度を高めるにはどうすればよいかを学ぶ。
材料開発がどのように行われるのかを実例を見ながら学ぶ。
注意点:
いくつかの概念が相互に説明しあっていることも少なくないので、1回の授業で説明されたことがその授業中に必ずしもすべて理解できなくても気にしなくてよい。そのかわり、理解できない事項があってもめげずに、とりあえずそこを保留にしたまま先へ進むことと、復習を十分行うこととが大切である。ジグソーパズルの欠けていた部分にあてはまるピースがずっと後で見つかるように、最後には「ああ、そういうことだったのか」と全体が理解できるようになるはずである。
授業90分に対して教科書・参考図書・配布物を活用して180分以上の予習・復習を行うこと
授業計画
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス |
|
2週 |
鉄鋼材料の製造法 |
鉄鋼材料の製造法を簡単に説明できる。
|
3週 |
工業用アルミニウム材料の製造法 |
工業用アルミニウム材料の製造法を、鉄鋼材料と比較して理解する。またアルミニウムの物性との関係を理解する。
|
4週 |
鉄鋼材料の分類 |
鉄鋼材料にどのような種類があるかを簡単に説明できる。
|
5週 |
結晶構造、格子欠陥 |
結晶構造、格子欠陥を簡単に説明できる。
|
6週 |
結晶粒と結晶構造の関係 空孔と熱活性化過程 |
結晶粒と結晶構造の関係を簡単に説明できる。空孔濃度を計算できる。熱活性化過程を簡単に説明できる。
|
7週 |
転位、積層欠陥 |
転位の定義・役割を簡単に説明できる。積層欠陥を簡単に説明できる。
|
8週 |
合金の結晶構造、固溶体 |
合金の内部構造を簡単に説明できる。固溶体を簡単に説明できる。
|
4thQ |
9週 |
拡散 |
Fickの第1法則を使って拡散速度を計算できる。Fickの第2法則を簡単に説明できる。
|
10週 |
相変態と平衡状態図 |
相変態の概念を簡単に説明できる。全率固溶体型・共析型・包析型状態図を読める。
|
11週 |
Fe-C系状態図と熱処理 |
Fe-C系状態図におけるフェライト、オーステナイト、セメンタイト、パーライトを簡単に説明できる。
|
12週 |
応力とひずみ フックの法則と弾性係数 |
応力およびひずみについて、それらの定義および学問的意義を説明できる。フックの法則を簡単に説明できる。
|
13週 |
応力ひずみ曲線と機械的性質 |
応力ひずみ曲線に現れる機械的性質を説明できる。
|
14週 |
引張試験中におこる現象 |
引張試験中におこる現象と応力ひずみ曲線との関係を簡単に説明できる。
|
15週 |
材料開発と地球環境保全 |
材料開発におけるLCAの事例を通じて、LCAおよび地球環境保全への理解を深める。
|
16週 |
定期試験 |
|
モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 材料 | 引張試験の方法を理解し、応力ひずみ線図を説明できる。 | 2 | 後13,後14 |
金属と合金の結晶構造を説明できる。 | 2 | 後8 |
金属と合金の状態変化および凝固過程を説明できる。 | 1 | 後10 |
合金の状態図の見方を理解できる。 | 2 | 後10 |
塑性変形の起りかたを説明できる。 | 2 | 後7 |
鉄鋼の製法を説明できる。 | 3 | 後2 |
炭素鋼の性質を理解し、分類することができる。 | 2 | 後4 |
Fe-C系平衡状態図の見方を理解できる。 | 2 | 後10,後11 |
評価割合
| 試験 | 発表 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 100 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
専門的能力 | 100 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 100 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |