創造設計工学

科目基礎情報

学校 木更津工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 創造設計工学
科目番号 0032 科目区分 専門 / 必修選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 制御・情報システム工学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 上田正仁、「考える力」の鍛え方、PHP文庫、2017年、640円(+税)、ISBN: 978-4-569-76688-1
担当教員 関口 明生

到達目標

目的は、「自ら考え、創造する力」を本科目終了後も持続して培う人となることである。以下3点が必須の到達目標である。
1. 「問題を見つける力」を向上し、問題を自分なりに設定する手法を理解することができる。
2. 「解く力」を向上し、問題を解決するための手法を主体的に調べ解決へ導くことができる。
3. 「諦めない力」を向上し、問題解決に際し諦めず考え続けることについて必要性を理解し行動に移すことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
問題を見つける力問題の本質を自分なりに見つけ明確に設定することができ、その過程を主体的に研鑽できる。問題を自分なりに設定する手法を理解することができる。問題を自分なりに設定する手法を理解することができない。
解く力問題を解決するためにさまざまな手法を調べて応用することができ、その過程を主体的に研鑽できる。問題を解決するための手法を、主体的に調べ解決へ導くことができる。問題を解決するための手法を、主体的に調べ解決へ導くことができない。
諦めない力問題解決に際し諦めず考え続けることについて、強く意識せずとも行動に表すことができる。問題解決に際し諦めず考え続けることについて、必要性を理解し、行動に移すことができる。問題解決に際し諦めず考え続けることについて、必要性を理解しないか、行動に移すことができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
戦前の哲学者である三木清は、著書「人生論ノート」において「生命とは虚無を掻き集める力である。それは虚無からの形成力である。」と記し、考えず学ばず主体性がない人の危うさを当時の日本に投げかけた。思想・良心の自由が保障され生活もはるかに豊かになった現代においてはそのような問題は払拭されたと、あなたは思うだろうか。
本科目は「自ら考え、創造する力」を、各自の主体的学習を補助する形で、自ら培う訓練を行う。授業内容は基本的に答えのない問題を選定した。能動的な取り組みを真に期待する。
授業の進め方・方法:
本科目の目的は、「自ら考え、創造する力」を本科目終了後も持続して培う人となることである。その点ではすでに目的や到達目標を達成していると人もいるかもしれないが、授業を通して何かしら新しい事柄や気づきがあるように授業内容を編成する。
ただし、この「自ら考え、創造する力」については、共通認識として確立された学問があるわけではなく、またそれを培うための方法論が確立されているわけでもない。これは、図書館やインターネットで少し調べれば即座にわかるであろう。
したがって本科目は、「考える力」や「創造する力」に対するマニュアル的事項については一部講義を行うが、基本的には対話を中心とした演習形式で進行する。全部で5つのケーススタディを予定しているが、授業時間外でも考えることができるように取り組む前の回で説明を行う。授業時間外でも継続して根気よく考える力を培うことを特に期待する。
本科目の目的に対する達成度はマニュアル力を問う方法では評価できないため、試験は実施しない。総合評価はポートフォリオ(提出物・発表資料など)と態度(諦めない事や持続的に取り組むことを重視するために出席・遅刻等の状況を含む)と相互評価により行う。
注意点:
他の科目と同様に、授業内容を身につけて単位という第3者評価をもらうかどうかは一人一人の判断に委ねられており、教員はこれを支援することができても強制することができない。たとえば、受動的な姿勢で取り組み、提出物や出席が芳しく無いと、標準的な到達レベルを満たしているとは評価できない。ケーススタディや課題に際して行き詰まった際には、悩み込んでいるだけでは十中八九進展しない。文献を調査する、クラスメイトや教員と情報交換する、常に考えながらも別のことを行い発想を得る、などの対処を行うこと。
また、あまり探索をしないまま問題解決の答えが一つ見つかった際に、それを安直に最終的な答えとすること(局所解に陥ること)は避けるべきである。最終結果に至るまでの取り組みも評価する。このため、レポートには最終的な解決法に至るまでに調べたことについても記載するよう注意すること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 履修ガイダンス
Case study #1の説明
□ 技術を持つ者として、考える力の重要性を認識すると共に、考えて行動する意志がある。
2週 【Case study #1】
創造する私の設計「『創造する力』とは何か。強化する方法は何か。」をメタ思考する。
□ 個人で考え、チームで考え、問題に対する答えをまとめるように努力することができる。
3週 Toolbox #1:「考えの多様化・混沌化」、「類型・類語」、「巨人の肩の上」、「キュリオシティ・ドリブン」、「混沌を整理する」、など □ 一つの物事に対して図書館でとことん執拗に調べることができる。発表に向けて情報をまとめる際にチームに貢献できる。
4週 チーム発表
#1 発表とチームワーキングの相互評価
Case study #2の説明
□ 他者の考えや取り組みを知り客観的に評価することにより、自身を振り返って評価することができる。
5週 【Case study #2】
「平面上の複数点列を短時間かつなめらかに通り部品をオンザフライ方式で運ぶための閉軌道の最適設計」を考える。
□ あるニーズに対して何が問題の本質でありどのような解決が必要か、考え・見抜き・調べる事ができる。
6週 Toolbox #2:「問題を見つける力」、「諦めず根気よく調べぬく力」、「局所解で満足しない意識」、「類型・類語」、など □ あるニーズに対して何が問題の本質でありどのような解決が必要か、考え・見抜き・調べ、解決方法を提案することができる。
7週 #2 提出レポートの相互評価
Case study #3の説明
□ 他者の考えや取り組みを知り客観的に評価することにより、自身を振り返って評価することができる。
8週 【Case study #3】
「テープを一定速度および最短時間で送るシステムの概念設計と効果定量化」を考える。
□ 答えが論理的に導出可能と考えられる場合に、現在持っている分野横断的知識を使って問題を解くプロセスにおいて何が重要であるか、自分なりに考えることができる。
2ndQ
9週 Toolbox #3:「問題を論理的に整理する力」、「単純化する力」、「みずから考え抜く力」、など
#3 チームワーキングの相互評価
Case study #4の説明
□ 答えが論理的に導出可能と考えられる場合に、自らの考えで、チームによる問題解決に貢献することができる。
10週 【Case study #4】
アイデアを発想する私の設計「アイデア発想とその方法」をメタ思考する。
□ 授業内容を活用する意志を持って、特許文献の読み方・書き方・調べ方を理解し、特許文献を調べる事ができる。TRIZ(トゥリーズ)の考え方を理解できる。
11週 Toolbox #4:「特許の読み方・書き方・調べ方」、「類型」、「ブリコラージュ(物や技術の水平思考)」、など □ 自分の自由な発想・問題提起に基づいてたアイデアを、特許文献の書き方に沿って表現することができる。
12週 Case study #5の説明 □ 自分の自由な発想・問題提起に基づいてたアイデアを、特許文献の書き方に沿って表現することができる。
13週 【Case study #5】
「部屋の入室・退室速度のリアルタイム測定法の設計」を考える。
□ あるニーズに対して何が問題の本質でありどのような解決が必要か、考え・見抜き・調べる事ができる。
14週 Toolbox #5:「問題を論理的に整理する力」、「単純化する力」、「考え抜く力」、「諦めず根気よく調べぬく力」、「局所解で満足しない意識」、「類型・類語」、など □ あるニーズに対して何が問題の本質でありどのような解決が必要か、考え・見抜き・調べ、解決方法を提案することができる。
15週 #4 提出レポートの相互評価
#5 提出レポートの相互評価
□ 他者の考えや取り組みを知り客観的に評価することにより、自身を振り返って評価することができる。
16週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合002030500100
基礎的能力000300030
専門的能力0000000
分野横断的能力0020050070