熱力学

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 熱力学
科目番号 10310 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 わかる熱力学 田中ほか著(日新出版)
担当教員 筒井 健太郎

到達目標

熱力学の基礎事項を学び,熱機関サイクルによって熱のエネルギーから仕事のエネルギーを取り出す原理を理解し,ガスサイクルの原理を理解する。またそれぞれの熱効率,作動係数の求め方を理解し,実際の設計開発に適用できるような応用力を身につける。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1熱力学第1法則および第2法則に基づいて理想気体の状態変化とカルノーサイクルを計算できる。熱力学第1法則に基づいて理想気体の状態変化を計算できる。熱力学第2法則とカルノーサイクルを説明できる。熱力学第1法則に基づいて理想気体の状態変化を計算できる。熱力学第2法則を説明できる。熱力学第1法則を理解しており、理想気体の状態変化のいくつかは計算できる。
評価項目2全てのガスサイクルの動作原理を理解し,熱効率,動作係数を計算できる。ほぼ全てのガスサイクルの動作原理を理解し,熱効率,動作係数を計算できる.ほぼ全てのガスサイクルの熱効率,動作係数を計算できる。いくつかのガスサイクルの動作原理を理解している。
評価項目3蒸気サイクルの動作原理を十分に理解し,熱効率,動作係数を計算できる。蒸気サイクルの動作原理を理解し,熱効率,動作係数を計算できる.蒸気サイクルの熱効率,動作係数を計算できる。蒸気サイクルの動作原理をほぼ理解している。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
温度と熱,熱力学第一法則,第二法則,気体の状態変化,蒸気の性質,熱機関,カルノーサイクル,作動機械の動作原理について理解を行い,性能の指標となる熱効率,作動係数の求め方を学びながら,自動車のエンジンやガスタービン,蒸気タービンなどの機器の設計開発に必要な基礎理論を理解する。
授業の進め方・方法:
現象の理解とイメージ構築を第一目標とし,それに関連した基礎式の説明を行う。例題の解き方を解説し,演習問題を配布して実践的な力を身につける。
 なお、この科目は学修単位科目のため、事前・事後学習として、予習・復習を行うこと。
注意点:
単元ごとに演習問題を配布する。関数電卓を持参すること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 熱力学の基礎的事項 「系」の概念や作動流体(物質)の圧力,温度,容積などの状態量についての基本概念を理解する。
2週 熱力学第一法則 (1) 熱力学第一法則(エネルギー保存の法則)を説明でき,それに基づいて閉じた系の絶対仕事を計算できる。
3週 熱力学第一法則 (2) 開いた系の熱力学第二法則を理解し,内部エネルギーとエンタルピーの変化量を計算できる。
4週 理想気体 理想気体の状態式と状態変化について説明できる。
5週 理想気体の状態変化 (1) 理想気体の等温変化,等圧変化,等容変化を理解し,変化量,熱量,仕事を計算できる。
6週 理想気体の状態変化 (2) 理想気体の断熱変化,ポリトロープ変化を理解し,変化量,熱量,仕事を計算できる。
7週 熱力学第二法則 (1) カルノーサイクルの状態変化を理解し,熱機関の熱効率を計算できる。
8週 中間試験 第7週までの 到達目標の達成度を確認する。
2ndQ
9週 熱力学第二法則 (2) エントロピーを理解し,その変化量を計算できる。
10週 ガスサイクル (1) 熱機関の概要を理解し,オットーサイクルの熱効率を求めることができる。
11週 ガスサイクル (2) ディーゼルサイクルとブレイトンサイクルの熱効率を求めることができる。
12週 蒸気 (1) 蒸気の一般的性質を理解し,飽和蒸気,湿り蒸気,過熱蒸気の状態量を計算できる。
13週 蒸気 (2) 蒸気の状態量を蒸気表および蒸気線図から読み取ることができる。
14週 蒸気タービンのサイクル (1) ランキンサイクルの動作原理を理解し,理論熱効率の計算方法を説明できる。
15週 蒸気タービンのサイクル (2) 与えられた条件からランキンサイクルの理論熱効率,状態量を計算することができる。
16週 期末試験 第9~15週までの 到達目標の達成度を確認する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。4前1
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。4前1
熱力学の第一法則を説明できる。4前2
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。4前2
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。4前3
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。4前4,前12,前13
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。4前5
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。4前5
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。4前6,前12,前13
熱力学の第二法則を説明できる。4前7
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。4前7,前10,前11,前14,前15
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。4前7
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。4前9
サイクルをT-s線図で表現できる。4前9

評価割合

試験発表相互評価演習レポートポートフォリオその他合計
総合評価割合210009000300
基礎的能力70003000100
専門的能力70003000100
分野横断的能力70003000100