応用物理A

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 応用物理A
科目番号 0037 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 物理(上)力学・波動(森北出版)、物理実験-中巻(島津理化) /セミナ―物理基礎+物理(第一学習社)、プリント(適宜配布)
担当教員 藤井 俊介

到達目標

【目的】私たちの身の回りには、海岸に打ち寄せる波、音のまわり込み、蜃気楼に見られる光の屈折など波動現象が多くみられる。この波動現象の理解は、工学や物理を学ぶための基礎となる。波の直感的イメージを、実験や演示実験を通して把握できること、作図やグラフに基づいて説明できること、身の回りの諸現象に物理法則を適用し計算できることを目的とする。

【目標】
1.波動の諸現象の定義がいえること、物理的状況を図にかけること
2.物理法則の説明・計算ができること
3.複雑な系に対しても、既習の要素に正しく切り分け、問題解決につなげることができること

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
波動の諸現象の定義が言える・作図ができる定義や物理的背景を自分の言葉で説明できる定義や物理的背景を覚えている定義や物理的背景を覚えていない
実験結果や原理に基づいて論理的に説明できる(作図による説明も含む)物理の重要な結果を定義に戻って論理的に説明できる実験結果や定義に基づいて物理的状況を整理できる物理的状況を整理できない
未知の問題に対しても物理法則の説明・計算ができる解答方針を自ら立てることができる。分からないなりに、問題を整理し、解決方法を自ら考えることができる。答えを見れば、解答方針を理解できる。何が分からないかを表現できる。質問できる。答えを見ても解答方針さえも立てることができない。解答が何を説明しているのかわからない。自分が何がわからないのかもわからない。

学科の到達目標項目との関係

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学習・教育目標 C5 説明 閉じる

教育方法等

概要:
学生は、演示実験や実験を行いながら、波動現象の直感的イメージを意識的につかむように努力する。学生は、考える時に図やグラフをなるべく書くように意識し、(暗記ではなく)数式表現とのつながりを大切にすること。(何をやっているかが分かれば、数式表現は自然とできるようになります。)これにより、論理性が養われる。学生は、日常から波動現象に着目し、その理由について考えることが望ましい。授業は対話的に行われるので、なるべく前を向いて授業中に考える癖をつけてほしい。質問をすることで波動現象の理解が深まるので、授業を止めて質問することを心がけてほしい。
授業の進め方・方法:
波動の基礎として、直線状を伝わる波、平面上を伝わる波を取り扱う。平面上を伝わる波の応用として、水の波の実験を行う。
 (波の導入に力学「変位、速度、加速度、力のつり合い、運動方程式、円運動、単振動、エネルギー」の理解が必要なので、適宜復習する)
音波や光波を扱い、日常の波動現象を波動の基礎で学んだ原理・法則を適用し、理解を深め、応用力を養う。
注意点:
授業の結果数が1/3以上でD評価となる。提出物は、締め切りまでに必ず出すこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
直線上を伝わる(応物実験室で授業)波形、山、谷、周期、波の基本式、単振動と正弦波(波源の振動とy-tグラフ)
直線上を伝わる波の特徴を説明できる
2週 単振動と正弦波の式、位相、初期位相、横波と縦波 単振動の特徴を理解するとともに、波源の振動、それが遅れて伝わることによって離れた点で変位がしょうじる仕組みを説明できる。
3週 波の重ね合わせ(応物実験室で授業)、反射による位相の変化、光の反射と屈折の実験的基礎(デモ実験あり) 横波と縦波の違いを説明できる、波の重ね合わせを作図できる、定常波の生じるときの特徴をあげることができる。反射と屈折の進行方向の変化を説明できる。
4週 実験:反射と屈折 反射と屈折から、光線の進行方向の変化についての特徴を説明することができる。
5週 定常波・腹・節、(2次元の波)波面とホイヘンスの原理、波の反射と屈折へのホイヘンスの原理の応用 定常波を説明できる。2次元的に進行するの波の進行方向と波面を作図できる、ホイヘンスの原理を用いて反射、屈折を説明できる。
6週 前期中間試験
7週 全反射、波の干渉、ヤングの実験・回折格子 全反射が屈折の応用として説明できる。干渉が生じる仕組みを説明できる。
8週 実験:水波の実験 1 開管・閉管の定常波が作図できる。
2ndQ
9週 実験:水波の実験 2 水波の進行方向や法線からのなす角に注意しながら、屈折・反射の法則を適用できる。
10週 光路長、分散・散乱・偏光、音波の発生発音体の固有振動(閉管、開管) 回折や干渉の実験的特徴を説明できる。
11週 (夏休み前最後の授業)[前半]弦の固有振動・共鳴・共振、[後半]光の回折・干渉 図を描いて、立式ができる。
12週 薄膜の干渉、 身近な現象で光の分散・散乱・偏光の生じる例を挙げることができる。干渉縞の間隔から、光の波長を決定できる。
13週 ドップラー効果 ドップラー効果を説明できる。
14週 前期末試験 振動数や波長が求められる。
15週 前期末解説/
薄膜による光の干渉薄肉レンズ(レンズメーカーの式)の導出/
前期末試験の解説で誤ったポイントが分かる、時間が余れば、薄肉レンズの式を説明できる、もしくは
16週 授業日があれば、ニュートンリング 薄膜の干渉を説明できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3前1,前15
横波と縦波の違いについて説明できる。3前2
波の重ね合わせの原理について説明できる。3前2
波の独立性について説明できる。3前2
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3前6
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3前9
ホイヘンスの原理について説明できる。3前6
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。3前9
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3前11
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3前11
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3前11
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。3前14
自然光と偏光の違いについて説明できる。3前15
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。3前6
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3前12
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3前4,前8
安全を確保して、実験を行うことができる。3前4,前8
実験報告書を決められた形式で作成できる。3前4,前8
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3前4,前8
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前4,前8
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合75000025100
基礎的能力5500002075
専門的能力200000020
分野横断的能力0000055