物理Ⅵ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 物理Ⅵ
科目番号 0111 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 物理・下(熱・電磁気・原子核)(森北出版)、復習用として物理・上(力学・波動)(森北出版)、物理実験-3年/物理問題集(森北出版)/セミナ―物理基礎+物理(第一学習社)、プリント(適宜配布)
担当教員 藤井 俊介

到達目標

【目的】 原子・原子核のミクロな世界を扱う本講義では、電子の発見と原子・原子核の構造が大きなテーマである。前半は、CBT試験対策も兼ねて、1-3年の物理の総復:、力学、電磁気学、熱力学(・波動)のまとめ授業を行っていく。(ただし、波動については前期の既習事項であるので割愛しここの自学自習にゆだねたい)。前期中間後のCBTでその実力を発揮してもらいたい。力学は特に。力のつり合い、運動方程式、等速円運動、エネルギー保存則が重要である。2年生でやった内容の範囲内では、電磁気学は、ほとんど「形を変えた力学」と位置づけられる。具体的には電場から荷電粒子が受ける力、電場からされる仕事、クーロン力、ローレンツ力)が重要であり、これは中盤から始まる原子の物理の実験装置や実験設定の理解に不可欠である。後期中間後は、試験解説の次の週から、原子・原子核物理の基礎実験を行い放射線の取り扱いを学ぶとともに、放射線特有の現象を学ぶ。さらに、放射線の理解につながる原子核の構造と崩壊現象を取り扱う。結合エネルギーなど核反応にかかわる部分を学んだあと、量子論への導入として光の粒子性に触れる。時間の許す範囲で光電効果やコンプトン効果を扱う。量子論のはじまる導入的事例を紹介しつつ本授業を終える。
【目標】
1.力学・電磁気学・熱力学・波動分野の総復習を行い理解を深める
2.電子・原子・原子核・放射線に関わる言葉の定義が説明できる
3.力学・電磁気学の基礎知識と原子物理の深いつながりを意識できる。
4.電子や原子などのミクロな世界の物理量の測定方法と得られた結果の物理的解釈ができる。


※物理の実験レポートは、主語と述語を必ず対応させて表現できるようになることを目標とする。(伝わらないレポートは減点。不備レポートは0点または大幅減点。)
※ノート課題では、範囲表の裏面全面糊付けして貼り付けることは必須とする。(満たしていない場合は大幅減点。)
※到達度試験の直しをするときに, 選んだ問題は必ず, 裏面全面糊づけして貼り付けること。(折り込み込み一切禁止)裏面に印刷されている問題は, すいませんが自分で印刷をしてコピーをとり, いつも通り, 問題を張り付けてください。この書式を守っていない人は、大幅減点します。(そろそろ慣れてください。)
※定期試験のテスト直しでは、問題を貼り付けることは必須である。正答した問題も含めて大問3題以上すべてやり直すこと。(条件を満たしていない場合は大幅減点。)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
電子・原子・原子核・放射線に関する言葉の定義が説明できるそれらの物理量が出てきた実験的背景も含めて説明できる用語、物理量の定義を覚えている教科書を見れば、定義や物理的背景の書いてある場所が分かる。用語、物理量の定義を覚えていない
力学・電磁気学・熱力学・波動の基礎知識が説明・活用できる力学・電磁気学の基礎知識が活用できる力学・電磁気学の基礎知識が説明できるグラフの縦軸・横軸の物理量が言える。傾きの物理的意味が説明できる。 力学・電磁気学の基礎知識を説明できない
物理法則を適用し、正しい結論を導くことができる未知の問題に対しても、物理法則を、電子、原子、原子核などのミクロな粒子に応用できる。物理法則を、電子、原子、原子核などのミクロな粒子に適用できる問題集の解答・解説の意味が分かる。分かっていない部分があることは自覚できる。物理法則を、電子、原子、原子核などのミクロな粒子に適用できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
学生は、演示実験や実験を行いながら、ミクロな世界の物理現象を想像力を持って頭に少しづつ描いていくことが求められる。目に見えないほど小さな粒子を扱うので、実験からわかることを積み上げていく思考方法に慣れなければならない。そのための道具が、力学と電磁気学である。講義は対話的に進め、復習もなるべく多く取り入れるが、個々に復習を進めていってほしい。また、前を向いて授業中に考える癖をつけてほしい。質問をすることで、分からないことが整理されることもあるので、授業を止めて質問することに挑戦してほしい。
授業の進め方・方法:
授業は大きく分けて、電子・原子・原子核・放射線の基礎を扱う部と、力学・熱力学・波動・電磁気学の総復習を行う演習の部からなる。
実験は、放射線測定を中心としたものを用意してある。
注意点:
授業の欠課数が1/3以上でD評価となる。提出物は締め切りまでに必ず出すこと。
授業の予習・復習及び演習については自学自習で取り組むこと。中間試験の半分以上は,1-3年の復習の応用問題で、広大な範囲が試験範囲となります。
つらいかもしれないが、3年間の総復習的意味合いで、課題は大量に出すので、できるものから順にやって、少しでも物理の理解を前へ進めること。例えば、プロセス、例題、問題、発展例題・・・の順にやると、抵抗が少なく徐々に難しくなっていくのでよいであろう。
後期期末は原子物理が主なテーマとなる。
定期テストは、中間試験・期末試験がある。CBT試験の結果は後期中間試験の成績に入れる。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス、放射線の実験1 シラバスを確認後、放射線の実験は、β線の吸収実験、比電荷の測定、身近な放射線、プランク定数の測定の4テーマのうちから2つを行う。どれに当たるかは、班ごとに異なるので、これら4章分をすべて読んで予習を済ませておくこと。
2週 放射線の実験2 放射線の実験は、β線の吸収実験、比電荷の測定、身近な放射線、プランク定数の測定の4テーマのうちから2つを行う。どれに当たるかは、班ごとに異なるので、これら4章分をすべて読んで予習を済ませておくこと。
3週 到達度試験過去問 H19、力学のまとめ(力の単位と力の基礎概念、力から派生する物理量-力積(ベクトル量)・仕事(スカラー量)の違い、質量と重力の違い(スカラー量とベクトル量の違い)、変数を取り扱うときの注意点「大きさか実数かの識別」、運動方程式、円運動の運動方程式、エネルギー保存則) H20年度到達度試験演習(20分程度)残りは時間を測って自宅演習。到達度テストなおしも課題とする。自分の現在の実力を知る。力学の復習・
4週 力学のやり残し(復習)、時間が余れば重心について、熱力学のまとめ 力学の復習を行う。熱力学のまとめ
5週 熱力学・波動:音波・うなり・開管・閉管・補足:光の自由端反射・固定端反射 熱力学のまとめの続き、音波・うなり・閉管と開管・補足
6週 ドップラー効果、電磁気学のまとめ-力学との関係:電場とは何か?コンデンサー内の電場、仕事の観点を中心にし 波動つづき:ドップラー効果を学び、電磁気学の復習を行い、3年生の力学の復習を完了し、原子物理を学ぶ準備ができる。
7週 電磁気学のまとめ、電子の電荷と質量(真空放電・陰極線)、電場による電子の加速、 放電現象と電子が結び付けられていった理由を具体的に説明できる。
8週 後期中間試験 7週までの内容の到達度を確認する。中間試験の半分以上は,1-3年の復習の応用問題で、広大な範囲が試験範囲となります。
4thQ
9週 後期中間試験解説 1-3年の物理の全分野を見渡し自分の弱点を補強できる。
10週 陰極線を用いた比電荷の測定(トムソンの実験) 実験系に対して電子の運動方程式をたてることができる。観測可能量のみを用いて比電荷を導くことができる。
11週 電子の電荷と質量(ミリカンの実験) 素電荷の測定実験に対して、力のつり合い、運動方程式が立てられる。観測可能量だけを用いて、素電荷を表すことができる。
12週 原子核(ラザフォードの実験)・ 散乱実験からどのように原子核の構造が決まったか説明できる。原子核の基本構造、
13週 放射線・半減期 同位体、放射性同位体について説明できる。原子核の崩壊が起こる背景と、崩壊と放射線の関係を説明できる。(時間があれば半減期を解説する)半減期が説明できる
14週 結合エネルギーと、質量欠損、原子核反応と核エネルギー(遅れている場合は、前回の続き) 核エネルギーが、化学反応に比べてなぜ大きな値を持っているのかを説明できる。質量欠損の生じる大まかな理由を説明できる。原子核反応と欠符号エネルギーの関係を説明できる。
15週 後期期末試験
14週までの到達度を確認する。
16週 後期期末試験解説 成績を受け止め、弱点を補強し学び続ける意欲を持ち続けることができる。プランク定数を説明できる。時間が余れば、光電効果、コンプトン効果のいずれかを取り扱う。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3後4
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3後4
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3後4
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3後4,後5
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3後4
物体に作用する力を図示することができる。3後4
力の合成と分解をすることができる。3後4
運動方程式を用いた計算ができる。3後4,後5
仕事と仕事率に関する計算ができる。3後4,後5,後6
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3後4,後5,後6
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3後4,後5,後6
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3後4,後5,後11
物理実験物理実験電子・原子に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3後1,後2,後14
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合75000025100
基礎的能力5500002075
専門的能力200000020
分野横断的能力0000055