機械工学実験実習Ⅲ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 機械工学実験実習Ⅲ
科目番号 1113 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 機械工学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 6
教科書/教材 機械実習 上 測定・鋳造・塑性加工・溶接・切削加工[1](実教出版)、機械実習 中 切削加工[2]・研削加工・NC工作機械加工・手仕上げ(実教出版)
担当教員

到達目標

(1)機械製作技術の基礎である旋盤加工、フライス加工、手仕上げ加工等の金属工作実習を通じて、基礎的な機械の取り扱い方を習得する。1年次・2年次で習得した内容をさらに深め、機械製作技術のスキルを向上させる。
(2)機械要素における最適な設計方法とその図面化の方法を学習する。また,設計・製図・製作・評価の流れの中で設計・製図を学習することにより,創造性を高め,イノベーションを意識したものづくりを意識する契機とする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1機械の応用的な使い方を深く理解し,実践できる。機械の応用的な使い方を理解し,実践できる。基本的な機械の使い方を理解している。基本的な機械の使い方を理解できていない。
評価項目2製図法を理解し適用できる。図面がとてもきれいである。製図法を理解している。丁寧に図面が書かれている。製図法を理解している。図面が書かれている。製図法を理解していない。図面が著しくきたない。
評価項目3設計製図の中で歯車、軸の強度計算が正確にでき、最適な機械要素の選択ができる。歯車、軸の強度計算がよくでき、機械要素の選択ができる。歯車、軸の強度計算ができ、機械要素の選択ができる。歯車、軸の強度計算ができず、機械要素の選択ができない。
評価項目4レポートの評点が80以上であり、かつ独創性に優れる。レポートが標準的な水準にあり、内容を十分理解している。レポートが標準的な水準にあり、内容を理解している。レポートが完遂されていない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
(1)実習工場において、実習形式にて授業を行う。現場において必要となる機械工作技術を中心として、技術を体得する。
(2)建物内の移動などで活用するための乾電池で室内走行ができる超小型電気自動車を製作することを想定し,これに使用するギアボックスの設計・製図・製作・評価をする。
授業の進め方・方法:
(1)主に旋盤作業(NCを含む)、研削、放電加工,CAD、溶接等の各ショップごとに実習をする。1クラスを10名×4班に分けて、ローテーションにて実習を行う。
(2)プロセスが重要な教科である。積極的に課題に取り組むこと。設計中に不明な個所が出てきたら、自学自習により知識を補うこと。
注意点:
(1)作業服上下、安全靴、帽子を着用し時間厳守で集合する。作業中および清掃時には安全めがねを着用する。実習内容を理解し、機械の操作や取り扱い上の注意を守る。安全上の留意事項を厳守し、事故のないように注意する。
(2)提出物および取組で評価する。また、図面の「丁寧さ」「正確さ」は評価に大きく影響する。提出物を全て提出しなければ評価しない。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 (1)オリエンテーションおよび安全教育
(2)減速比の決定
(1)実習工場の使い方、班分け、日誌の記入方法、服装・機械の安全点検、ノギス・マイクロメータの使い方、実習レポートの書き方
(2)減速比を決定する。
2週 (1)旋盤加工実習(旋盤の名称、注油)
(2)動力伝達
(1)旋盤の構造と使い方の理解。
(2)歯数,モジュールを決定する。
3週 (1)旋盤加工実習(旋盤の名称、注油)
(2)歯車および軸の強度計算
(1)旋盤の構造と使い方の理解。
(2)歯車および軸の強度計算をする。
4週 (1)旋盤加工実習(工具の取り付け方)
(2)設計書
(1)旋盤の構造と使い方の理解。
(2)設計書を作成する。
5週 (1)旋盤加工実習(工具の取り付け方)
(2)設計書
(1)旋盤の構造と使い方の理解。
(2)設計書を作成する。
6週 (1)旋盤加工実習(段付棒の旋盤加工とねじ溝加工)
(2)組立図
(1)段付き棒の製作方法の理解。
(2)設計書に関連づけて組立図を書く。
7週 (1)フライス加工実習(フライスの名称、バイスのセッティング)
(2)組立図
(1)フライス盤の構造、しくみの理解。
(2)設計書に関連づけて組立図を書く。
8週 (1)フライス加工実習(フライスの名称、バイスのセッティング)
(2)組立図
(1)フライス盤の構造、しくみの理解。
(2)組立図を完成させる。
2ndQ
9週 (1)フライス加工実習(縦型フライス盤、横型フライス盤)
(2)歯車の製図法、スプロケットの製図
(1)フライス加工方法、フライスの種類と使い方の理解。
(2)歯車の製図法、スプロケットの製図法を知る。
10週 (1)フライス加工実習(縦型フライス盤、横型フライス盤)
(2)各種部品図
(1)フライス加工方法、フライスの種類と使い方の理解。
(2)各種部品図の製図法を知る。
11週 (1)フライス加工実習(縦けずり盤、シェイパー加工)
(2)各種部品図
(1)特殊なフライス加工の理解。
(2)各種部品図の製図法を知る。
12週 (1)フライス加工実習(縦けずり盤、シェイパー加工)
(2)部品表、材料表、部品図、組立図、設計書の関連付け
(1)特殊なフライス加工の理解。
(2)部品表、材料表、部品図、組立図、設計書の関連づけをする。
13週 (1)手仕上げ加工実習(切断、けがき作業)
(2)ギアボックスの製作
(1)手仕上げ加工の基本、けがき、切断方法の理解。
(2)各種工作機械を使い図面通りに加工する。
14週 (1)手仕上げ加工実習(切断、けがき作業)
(2)ギアボックスの製作
(1)手仕上げ加工の基本、けがき、切断方法の理解。
(2)各種工作機械を使い図面通りに加工し、組み立てる。
15週 (1)手仕上げ加工実習(切断、けがき作業)
(2)設計内容の評価・議論・発表
(1)手仕上げ加工の基本、けがき、切断方法の理解。
(2)設計内容を評価し、加工と図面の関連を知る。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3
技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。3
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。3
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3
情報リテラシー情報リテラシー情報伝達システムやインターネットの基本的な仕組みを把握している。3
専門的能力分野別の専門工学機械系分野製図図面の役割と種類を適用できる。3
製図用具を正しく使うことができる。3
線の種類と用途を説明できる。3
物体の投影図を正確にかくことができる。3
製作図の書き方を理解し、製作図を作成することができる。3
公差と表面性状の意味を理解し、図示することができる。3
部品のスケッチ図を書くことができる。3
CADシステムの役割と基本機能を理解し、利用できる。3
ボルト・ナット、軸継手、軸受、歯車などの機械要素の図面を作成できる。3
歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプ、ねじジャッキなどを題材に、その主要部の設計および製図ができる。3
分野別の工学実験・実習能力機械系分野【実験・実習能力】機械系【実験実習】実験・実習の目標と心構えを理解し、実践できる。4
災害防止と安全確保のためにすべきことを理解し、実践できる。4
レポートの作成の仕方を理解し、実践できる。4
ノギスの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。4
マイクロメータの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。4
ダイヤルゲージ、ハイトゲージ、デプスゲージなどの使い方を理解し、計測できる。4
けがき工具を用いてけがき線をかくことができる。4
やすりを用いて平面仕上げができる。4
ねじ立て工具を用いてねじを切ることができる。4
旋盤主要部の構造と機能を説明できる。3
旋盤の基本操作を習得し、外丸削り、端面削り、段付削り、ねじ切り、テ―パ削り、穴あけ、中ぐりなどの作業ができる。3
フライス盤主要部の構造と機能を説明できる。3
フライス盤の基本操作を習得し、平面削りや側面削りなどの作業ができる。3
ボール盤の基本操作を習得し、穴あけなどの作業ができる。3
NC工作機械の特徴と種類、制御の原理、NCの方式、プログラミングの流れを説明できる。3
少なくとも一つのNC工作機械について、各部の名称と機能、作業の基本的な流れと操作を理解し、プログラミングと基本作業ができる。3
加工学実験、機械力学実験、材料学実験、材料力学実験、熱力学実験、流体力学実験、制御工学実験などを行い、実験の準備、実験装置の操作、実験結果の整理と考察ができる。3
実験の内容をレポートにまとめることができ、口頭でも説明できる。3
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。3
他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。3
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。3
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。3
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。3
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。3
他者の意見を聞き合意形成することができる。3
合意形成のために会話を成立させることができる。3
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。3
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。3
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。3
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。3
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。3
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる3
複数の情報を整理・構造化できる。3
特性要因図、樹形図、ロジックツリーなど課題発見・現状分析のために効果的な図や表を用いることができる。3
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。3
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。3
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。3
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。3
事実をもとに論理や考察を展開できる。3
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。3
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。3
目標の実現に向けて計画ができる。3
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。3
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。3
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。3
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。3
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。3
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。3
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3
法令やルールを遵守した行動をとれる。3
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。3
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。3
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。3
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。3
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。3
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合00020080100
基礎的能力0000000
専門的能力00020080100
分野横断的能力0000000