化学Ⅱ

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 化学Ⅱ
科目番号 00610 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気工学科 対象学年 1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 東京書籍 「化学基礎」/東京書籍「ニューステップアップ 化学基礎」 / 数研出版「フォトサイエンス化学図録」
担当教員 仙波 壽朗

到達目標

1. 化学が物質を対象とする科学の一分野であることを認識し,化学が人間生活に果たしている役割を説明できる。
2. 工学的な課題に化学的な観点から取り組むための基本的な知識として、代表的な材料・物質の成り立ちを説明や、必要な計算ができる。
具体的には以下のことができるようになる。
・一般的な化学反応を化学反応式で記述し、反応に関与する物質間の量的関係を利用した計算ができる。
・酸と塩基の性質を説明できたり、中和反応の量的関係を用いた計算ができる。
・酸化還元反応の定義を用いて化学反応を説明することができ、それを化学反応式で記述できる。
3. これらの目標を達成するために探求活動を行い,学習内容を深めるとともに,化学的に探求する能力を高める。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低到達レベルの目安未到達レベルの目安
化学反応式とその量的関係化学反応式を記述し,化学量論の計算ができる。化学反応式を記述し,簡単な化学量論の計算ができる。化学反応式を記述できる。化学反応式を記述できない。
酸と塩基酸と塩基の定義や性質を説明でき,それらの分類ができる。酸と塩基の定義を説明でき,それらの性質を理解している。酸と塩基の定義を説明できる。酸と塩基の定義を説明できない。
中和反応中和反応と塩,中和滴定について詳しく説明ができ,中和反応の結果より酸と塩基の量的関係を求めることができる。中和反応と塩について説明ができ,中和反応の簡単な計算ができる。中和反応やその量的関係を説明できる。中和反応やその量的関係を説明できない。
酸化と還元酸化還元の定義を説明でき,酸化数の増減から物質が酸化または還元されたかどうかを区別できる。酸化還元滴定の結果化から酸化剤と還元剤の量的関係を求めることができる。酸化還元の定義を説明でき,酸化数の増減から物質が酸化または還元されたかどうかを区別できる。酸化還元の定義を説明できる。酸化数を求めることができる。酸化還元の定義を説明できない。
金属の酸化還元反応金属のイオン化傾向に基づき金属がどのような反応をするかを説明できる。様々な金属をイオン化傾向の大小(イオン化列)を説明できる。一部の重要な金属をイオン化傾向の順に並べることができる。代表的な金属をイオン化傾向順に並べることができない。
酸化還元反応の応用電池の構成を説明でき様々な電池を分類できる。また様々な金属の精錬法を化学反応式を用いて説明できる。電池の構成を説明でき代表的な電池を分類できる。また一部の金属の精錬法を化学反応式を用いて説明できる。電池の構成を説明できる。また一部の金属の精錬法を説明できる。電池の構成を説明できず、また一部の金属の精錬法を説明できない。
化学と人間生活代表的な金属、プラスチックなどの性質、用途を説明できる。また洗剤や食品添加物等の有効性や環境リスクについて説明できる。代表的な金属、プラスチックなどの用途を説明できる。また洗剤や食品添加物等の有効性や環境リスクについて部分的に説明できる。代表的な金属、プラスチックなどの用途を部分的に説明できる。代表的な金属、プラスチックなどの用途を部分的に説明でない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
1.化学反応式の記述とそれを用いた量的関係を学ぶ。
2.酸と塩基の定義、それらの性質や中和反応について学ぶ。
3.酸化還元反応の定義およびそれを化学反応式で記述することを学ぶ。
授業の進め方・方法:
高校教科書を用いて化学に必要な基本的な考え方や定義、化学反応式を用いた物質量(モル)の計算について説明をしていく。教科書の問題や副教材を活用して、知識の定着を図っていく。
中間試験と学年末試験の前後を締め切りとして、教科書や問題集の問題を中心とする課題を課す。課題は毎回の復習および試験勉強として取り組む。課題の取り組み態度は本科目の成績に反映される。
注意点:
・本科目の学習内容を定着させるためには、毎回の授業の予習・復習を怠らず行い、授業に集中することが必要である。
・関数電卓は本科目だけではなく実験等の他の科目でも使用するので常に持ってくること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 3編 物質の変化 (続き)
 1章 物質量と化学反応式
  4節 化学反応の表し方
  ・化学反応式
  5節 化学反応式の表す量的関係
  ・化学反応式の表す量的関係・反応物の過不足
・化学変化を化学反応式およびイオン反応式で記述できる。
・化学反応式の係数と反応に関与する物質の物質量、質量、および気体の体積との間の量的な関係を説明できる。
2週 3編 1章 章末まとめ 
 2章 酸と塩基
  1節 酸と塩基(1)
  ・酸と塩基の性質
  ・酸と塩基の定義
  ・広い意味の酸・塩基
・酸塩基の定義(アレニウスの定義, ブレンステッド・ローリーの定義)により化学反応で酸・塩基としてはたらく物質を説明できる。
3週   1節 酸と塩基(2)  
  ・酸と塩基の価数  
  ・酸と塩基の強弱
  2節 水素イオン濃度とpH(1)
  ・水の電離と水素イオン濃度
  ・水素イオン濃度とpH
  ・(発展)水のイオン積
  ・(発展)対数を用いたpHの求め方
・酸・塩基をその価数により分類できる。
・水溶液中の酸・塩基の電離度を求めることとができる。
・酸・塩基を強酸/弱酸および強塩基/弱塩基に分類できる。
・水は一部が電離していることを理解しており、純水中の水素イオンと水酸化物イオンの濃度を説明できる。
・水溶液のpHを求めることができる。
・水のイオン積をpHの計算に利用すること、および対数を用いた任意の濃度の溶液のpHの計算ができる。
4週   2節 水素イオン濃度とpH(2)  
  ・pH指示薬とpHの測定 
  3節 中和反応と塩
  ・中和反応と塩の生成
  ・塩の種類と塩の水溶液の性質
  ・(発展)塩の加水分解
・pHの測定法やpH指示薬の変色域を説明できる。
・中和反応の化学反応式を記述でき、中和反応の量的関係を説明できる。
・塩を正塩・酸性塩・塩基性塩に分類することができる
・塩の水溶液の性質を説明することができる。
・弱酸・弱塩基の塩から弱酸・弱塩基が遊離することを説明することができる。
・塩の水溶液の性質や弱酸・弱塩基の遊離を加水分解を用いて説明することができる。
5週   4節 中和滴定
  ・中和反応の量的関係
  ・中和滴定
  ・滴定曲線
・中和滴定の原理を説明できる。
・中和滴定に使用する器具とその使用方法を説明できる。
・中和滴定の結果から濃度未知の酸・塩基の濃度を決定することができる。
・滴定に用いる酸・塩基の強弱の組み合わせによりどのような滴定曲線ができるかを説明することができる。
・滴定に用いる酸・塩基の強弱の組み合わせから、適切なpH指示薬を選択することができる。
6週 3編 2章 章末まとめ
 3章 酸化還元反応
  1節 酸化と還元(1)
  ・酸化と還元
・電子の授受に基づいた酸化と還元の定義により物質の酸化と還元を説明できる。
7週   1節 酸化と還元(2)
  ・酸化数
  ・酸化還元反応と酸化数
・化合物やイオン中の原子の酸化数を求めることができる。
・酸化数の変化から酸化還元反応で酸化された物質と還元された物質の区別ができる。
8週 後期中間試験 ・後期前半の学習内容の理解度を確認するテストで合格点をとる。
4thQ
9週 ・中間試験の返却と解説
・学習内容が身に付いたかを確認する。
10週   2節 酸化剤と還元剤(1)
  ・酸化剤と還元剤
  ・電子の授受と酸化還元反応
・酸化剤と還元剤の反応をイオン反応式で表すことができる。
・酸化還元反応の化学反応式をつくることができる。
11週   2節 酸化剤と還元剤(2)
  ・酸化剤と還元剤のはたらきの強さ 
  ・酸化剤と還元剤の量的関係
  3節 金属の酸化還元反応(1)
  ・金属のイオン化傾向
・酸化剤や還元剤のはたらきの強さには序列があることを説明できる。
・酸化還元滴定の結果より、濃度未知の酸化剤または還元剤の濃度を求めることができる。
・金属のイオン化傾向の大小(イオン化列)により金属単体と金属イオンの溶液との反応を予想することができる。
12週   3節 金属の酸化還元反応(2) 
  ・金属の反応性
  4節 酸化還元反応の応用(1)
  ・電池のしくみ
  ・実用電池
・金属単体の酸などとの反応性を説明できる。
・さまざまな酸化還元反応のエネルギーが身の回りで利用されていることを理解している。
・電池が酸化還元反応を利用して電気エネルギーを取り出す装置であることを理解しており、電池を構成する電極等の要素を説明することができる。
・実用電池を一次電池/二次電池に分類できる。また、燃料電池の動作原理の概要を述べることができる。
13週   4節 酸化還元反応の応用(2)  
  ・金属の精錬
3編 2章 章末まとめ
・代表的な金属の精錬の方法を説明できる。
14週 終章 化学が拓く世界
 ・社会を支える科学技術
・身近にある洗剤や水道水、食品の発色剤などについて教科書の実験例をもとに、それらの適切な使用量や使い方を説明できる。
15週  ・化学をみつける旅 ・化学基礎で学んだ高分子化合物や金属、合成繊維などについてそれらの特徴や用途例を説明できる。
16週 後期の学習内容のふりかえり ・後期の学習範囲で理解度が低いところをがあれば、復習すべき単元を確認する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学化学化学と現代の社会課題との関連性について説明できる。3後14,後15
化学反応式について反応物、生成物、係数を理解し、組み立てることができる。3後1
化学反応式を用いて化学量論的な計算ができる。3後1
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。3後2
酸・塩基の定義(アレニウスの定義、ブレンステッド・ローリーの定義)について説明できる。3後2
酸・塩基の化学式と酸・塩基の価数について説明できる。3後3
電離度と酸・塩基の強弱について説明できる。3後3
pHについて説明でき、pHと水素イオン濃度の計算ができる。3後4
中和反応を化学反応式で表すことができる。3後4
中和滴定の計算ができる。3後5
酸化還元反応について説明できる。3後6,後7,後10,後13
イオン化傾向について説明できる。3後11
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。3後12
一次電池についてその反応を説明できる。3後12
二次電池についてその反応を説明できる。3後12

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力8020100
専門的能力000
分野横断的能力000