応用物理A

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 平成28年度 (2016年度)
授業科目 応用物理A
科目番号 0001 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気工学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 高専の物理(森北出版)、物理実験-中巻(島津理化) /セミナ―物理基礎+物理(第一学習社)、プリント(適宜配布)
担当教員 津田 潔,舩戸 美智子,青野 順也

到達目標

【目的】私たちの身の回りには、海岸に打ち寄せる波、音のまわり込み、蜃気楼に見られる光の屈折など波動現象が多くみられる。この波動現象の理解は、工学や物理を学ぶための基礎となる。波の直感的イメージを、実験や演示実験を通して把握できること、作図やグラフに基づいて説明できること、身の回りの諸現象に物理法則を適用し計算できることを目的とする。

【目標】
1.波動の諸現象の定義がいえること、物理的状況を図にかけること
2.物理法則の説明・計算ができること
3.複雑な系に対しても、既習の要素に正しく切り分け、問題解決につなげることができること

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
波動の諸現象の定義が言える・作図ができる定義や物理的背景を自分の言葉で説明できる定義や物理的背景を覚えている定義や物理的背景を覚えていない
実験結果や原理に基づいて論理的に説明できる(作図による説明も含む)物理の重要な結果を定義に戻って論理的に説明できる実験結果や定義に基づいて物理的状況を整理できる物理的状況を整理できない
未知の問題に対しても物理法則の説明・計算ができる解答方針を自ら立てることができる。分からないなりに、問題を整理し、解決方法を自ら考えることができる。答えを見れば、解答方針を理解できる。何が分からないかを表現できる。質問できる。答えを見ても解答方針さえも立てることができない。解答が何を説明しているのかわからない。自分が何がわからないのかもわからない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
学生は、演示実験や実験を行いながら、波動現象の直感的イメージを意識的につかむように努力する。学生は、考える時に図やグラフをなるべく書くように意識し、(暗記ではなく)数式表現とのつながりを大切にすること。(何をやっているかが分かれば、数式表現は自然とできるようになります。)これにより、論理性が養われる。学生は、日常から波動現象に着目し、その理由について考えることが望ましい。授業は対話的に行われるので、なるべく前を向いて授業中に考える癖をつけてほしい。質問をすることで波動現象の理解が深まるので、授業を止めて質問することを心がけてほしい。
授業の進め方・方法:
波動の基礎として、直線状を伝わる波、平面上を伝わる波を取り扱う。平面上を伝わる波の応用として、水の波の実験を行う。
 (波の導入に力学「変位、速度、加速度、力のつり合い、運動方程式、円運動、単振動、エネルギー」の理解が必要なので、適宜復習する)
音波や光波を扱い、日常の波動現象を波動の基礎で学んだ原理・法則を適用し、理解を深め、応用力を養う。
注意点:
授業の結果数が1/3以上でD評価となる。提出物は、締め切りまでに必ず出すこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
直線上を伝わる波
 波とは何か、波の波長、振動数、速さ、位相
媒質と波の関係が分かる
y-xグラフが読み取れる
y-tグラフと波源の振動が対応付けられる
2週 直線上を伝わる波
 縦波と横波、波の干渉と重ね合わせの原理
縦波が説明できる
波の重ね合わせの作図ができる
3週 直線上を伝わる波
 反射による波の位相の変化
平面上を伝わる波
 波面と進行方向(屈折、反射を例にして:水波の実験に向けて)
平面上を伝わる波の波面と進行方向が区別できる
4週 実験:水波の実験 1 実験装置から、波面と進行方向を区別して作図を進めていける
5週 実験:水波の実験 2 水波の実験1と同じ
6週 ホイヘンスの原理、波の干渉、波の回折 素元波をつなげて次の波面を作図できる
波の干渉条件を自分で立式できる。
7週 前期中間、前期中間解説
8週 実験:光の反射・屈折 光線の到来方向を正確に決定できる。
2ndQ
9週 反射、屈折、全反射、定常波 ホイヘンスの原理を用いて屈折が説明できる。全反射が説明できる。
10週 音波 
 音の発生・音の三要素、反射・屈折・回折・干渉
音とは何か・音の三要素を説明できる
音の波動的性質について例を挙げながら説明できる
11週 音波
 うなり、 発音体の固有振動(弦)
 
うなりが説明できる
弦の固有振動が説明できる。
12週 光とは、光の反射・屈折、回折・干渉
実験:光の回折・干渉
ヤングの実験が説明できる
13週 光波
 回折格子・光路長・反射による光の位相の変化
光路長の説明ができる。
媒質の境界から反射時の位相変化が分かる
14週 音波
発音体の固有振動(閉管、開管)、ドップラー効果
開管・閉管の定常波が作図できる。振動数や波長が求められる。
15週 前期末試験、前期末解説
薄膜による光の干渉
光路長・反射による位相の変化・干渉条件を用いて薄膜の明線間隔を説明できる。
16週 正弦波の式、位相、波のエネルギー y-tグラフとy-xグラフを比較しながら正弦波の式をつくることができる。等速円運動・単振動を思い出しながら、運動方程式をたて、振動数を求めることができる。運動エネルギーや弾性力による位置エネルギーを思い出すことができ、ばねの力学的エネルギーから波のエネルギーの具体的な式を求めることができる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3前1
横波と縦波の違いについて説明できる。3前2
波の重ね合わせの原理について説明できる。3前2
波の独立性について説明できる。3前2
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3前6
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3前9
ホイヘンスの原理について説明できる。3前6
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。3前9
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3前11
気柱の長さと音速から、開管、閉管の固有振動数を求めることができる(開口端補正は考えない)。3前11
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。3前11
一直線上の運動において、ドップラー効果による音の振動数変化を求めることができる。3前14
自然光と偏光の違いについて説明できる。3前15
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。3前6
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3前12
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3前4,前8
安全を確保して、実験を行うことができる。3前4,前8
実験報告書を決められた形式で作成できる。3前4,前8
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3前4,前8
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前4,前8

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合75000025100
基礎的能力5500002075
専門的能力200000020
分野横断的能力0000055