基礎現代制御

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 平成28年度 (2016年度)
授業科目 基礎現代制御
科目番号 0011 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 佐藤・下本・熊澤:はじめての現代制御理論(講談社)
担当教員 金子 修

到達目標

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1非線形システムを線形化し状態方程式を組み立てる線形システムの状態方程式を組み立てる状態方程式をつくることができない
評価項目2状態方程式の自由応答と入力応答を計算できる状態方程式の自由応答を計算できる状態方程式の自由応答を計算できない
評価項目3安定性の条件を使いこなせリアプノフ方程式をとける安定性の等価条件を使いこなせる・理解している安定性を理解していない
評価項目4伝達関数と状態方程式の変換が自由に行える状態方程式から伝達関数を変換できる状態方程式と伝達関数の変換ができない
評価項目5可制御性・可観測性を理解し,判別条件を使いこなせる可制御性・可観測性の判定条件を使いこなせる可制御性・可観測性の判定条件も使えない
評価項目6極配置による状態フィードバックゲインを設計できる極配置と状態フィードバックを理解している状態フィードバックを設計できない
評価項目7最適レギュレータで状態フィードバックを設計できる最適レギュレータを理解している最適レギュレータを設計できない
評価項目8状態フィードバック併合のオブザーバを設計できるオブザーバを設計できるオブザーバを設計できない
評価項目9オブザーバを併合した積分型サーボ系を設計できる状態フィードバックで積分型サーボ系を設計できる積分型サーボ系を設計できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本科目では,状態方程式をベースとした現代制御理論の基礎を学ぶ.1960年にKalmanにより提唱された状態方程式をもとにした現代制御理論は,その後モデルベースド制御の根幹として大きく発展し,実社会での豊富な応用例もともない,横断的学問として確立した.ここでは動特性という概念をもとにして,与えられた微分方程式から状態方程式を構築し,古典制御で学んだ伝達関数との関連や応答などの計算法を学ぶ.また,可制御性や可観測性といったシステムの重要な性質や,安定性といった平衡点の性質を学び,現代制御におけるシステム解析の手法を身につける.そして,所望の特性をもつ制御系を設計するための状態フィードバック,および,そのための極配置と最適レギュレータという二大手法を学ぶ.さらに,オブザーバの概念も修得することで,実用的な出力フォードバックの設計方法も学ぶ.また,実用上重要とされる設定値追従の際に必要になる積分型サーボ系の構成法についても学ぶ.
授業の進め方・方法:
講義形式を主としてすすめるが,随時,演習を加えることで理解の確認を行う.また,必要に応じてScilabなどフリーソフトなども用いてシステム解析や制御系設計を体感することも予定している.
また,教科書で足りないところもあるので,随時説明する.
注意点:
授業の予習・復習及び演習については自学自習により取り組み学修すること.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 講義の概要・ねらい.制御のについての入門的事項を講義する.状態方程式の構築法を学ぶ. 状態方程式の考え方について理解する.
2週 機械系や電気系など,工学に身近な例で,状態方程式の構築方法を学ぶ. 微分方程式から状態方程式を構築できる.非線形システムを平衡点周りで線形化できる.
3週 状態方程式を扱ううえで必要な線形代数の基礎を学ぶ. 一次独立・従属,ランク,逆行列,固有値・固有ベクトル,対角化,正定行列の性質を理解する.
4週 状態方程式と伝達関数の関係を学ぶ. 状態空間と伝達関数表現の相互の変換を行うことができる.状態方程式の自由度も理解する.
5週 状態方程式の自由応答を計算する. 入力がない場合の状態方程式の自由応答(初期値応答)の計算ができる.
6週 状態方程式の入力応答を計算・理解する. 入力が印加された場合の状態方程式の応答を計算する.
7週 状態方程式の解軌道の安定性を理解する.安定性の種類,それぞれの等価条件を享受する. 解軌道の安定性の等価条件を使いこなす.リアプノフ不方程式を低次の場合で解くことができる.
8週 状態フィードバックと極配置について学ぶ.所望の極に配置するゲインの計算を修得する. 状態フィードバックを理解する.また極配置を行うためのゲインの計算法を身につける.
2ndQ
9週 可制御・可観測性,最小実現,極・零相殺との関連を学ぶ. 可制御・可観測の考え方を説明できる.また,行列を用いた判定法も使いこなすことができる.
10週 最適レギュレータによる状態フィードバックの構成法を学ぶ. 最適レギュレータと関連するリカッチ方程式も理解する.低次のリカッチ方程式も計算できる.
11週 状態オブザーバの設計について講義する. オブザーバ導入の背景や役割を理解する.またその構成法も習得する.
12週 状態オブザーバと状態フィードバックの併合系を講義する. 分離定理や,状態フィードバックを併合した際の注意点を理解する.
13週 サーボ系の設計を講義する. 定常偏差をなくすための積分器を併合した積分型サーボ系を理解する.
14週 オブザーバを併合したサーボ系を講義する. オブザーバを併合した積分型サーボ系の設計を理解する.
15週 講義を振り返る.期末テストの説明 講義で学んだ現代制御理論の基礎の理解を確認する.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力500000050
専門的能力300000030
分野横断的能力200000020