化学I

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 化学I
科目番号 0024 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気工学科 対象学年 1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 数研出版 改定版「化学基礎」/ 数研出版「リードα化学基礎」/ 数研出版「フォトサイエンス化学図録」
担当教員 仙波 壽朗

到達目標

1. 化学が物質を対象とする科学の一分野であることを認識し,化学が人間生活に果たしている役割を説明できる。
2. 工学的な課題に化学的な観点から取り組むための基本的な知識として、代表的な材料・物質の成り立ちの説明や、必要な計算ができる。
3. これらの目標を達成するために探求活動を行い,学習内容の理解を深めるとともに,化学的に探求する能力を高めることができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低到達レベルの目安未到達レベルの目安
物質の成分と構成元素物質が原子からなることを理解し、単体・化合物、純物質・混合物の分類や代表的な元素の同素体を列挙することができる。物質が原子からなることを理解し、単体・化合物、純物質・混合物の分類を部分的にでき、代表的な元素の同素体の一部を述べることができる。物質が原子からなることを理解し、単体・化合物、純物質・混合物に分類される物質を例示でき、同素体を持つ元素を説明できる。物質が原子からなることを理解しておらず、単体と化合物、純物質と混合物に属する物質および同素体同士の関係にある物質を列挙することができない。
原子の構造と元素の周期表原子・イオンの構造をそれらを構成する粒子から説明できる。電子殻における電子配置を説明することができる。原子およびイオンの構造を説明することができ、電子殻の構造を部分的に説明できる。原子およびイオンの構造を部分的に説明することができる。原子およびイオンの構造を説明することができない。
化学結合様々な化学結合とそれらによる結晶の特徴を説明できる。また、物質を各結晶に分類することができる。様々な結合とそれらによる結晶の性質を部分的に説明できる。また、一部の物質を各結晶に分類することができる。化学結合や結晶にはどのような分類があるか説明できる。また、各結晶に分類される物質を少数述べることができる。様々な結合とそれらの結合からなる結晶の性質を説明できず、物質を各結晶に分類することもできない。
物質量と化学反応式原子量、分子量、式量に関する計算ができる。また質量パーセント濃度、モル濃度の計算ができる。原子量、分子量、式量に関する計算および質量パーセント濃度、モル濃度の計算が部分的にできる。原子量、分子量、式量、質量パーセント濃度、モル濃度の基本的な計算ができる。原子量、分子量、式量に関する計算および質量パーセント濃度、モル濃度の計算がを行うことができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
化学はどういう学問なのか、物質を構成する原子の性質、原子や分子などの化学反応、反応の量的関係や原子や分子などの量の表し方を、授業だけでなく演習や自主的な探究活動により身に付けていく。
本科目は今後3年間の化学を学習する上で必要な基礎知識を取り扱う科目であり、第2学年以上の専門科目の一部とも関連するので、しっかり学習内容を定着させることが重要である。
授業の進め方・方法:
化学基礎の検定教科書を用いて化学に必要な基本的な考え方、用語と定義について説明をしていく。教科書の問題や問題集を活用して、知識の定着を図っていく。
中間試験と前期末試験の前後を締め切りとして、教科書の演習問題および問題集の問題を中心とする課題を課す。課題は毎回の復習および試験勉強として取り組む。課題の取り組み態度は成績に反映される。
注意点:
・学習内容を定着させるためには、毎回の授業の予習・復習を怠らず行い、授業に集中することが必要である。
・問題集「リードα化学基礎」は後期の化学IIの授業でも使用するので、大切に扱うこと。
・関数電卓は本科目だけではなく実験等の他の科目でも使用するので常に持ってくること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ・ガイダンス
第1編 物質の構成と化学結合
 第1章 物質の構成
  1-1-1純物質と混合物
  ・純物質と混合物
  ・物質の分離と精製
・1年生の化学の授業の進め方や評価方法、注意点などを確認する。
・物質を純物質と混合物に分類することができる。
・様々な混合物から純物質を得るための適切な分離・精製の方法を説明することができる。
2週   1-1-2物質とその成分
  ・原子と元素
  ・単体と化合物
  ・同素体
  ・成分元素の検出
・物質は元素から成りたっていることを理解し、元素を元素記号で表すことができる。
・純物質を単体と化合物に区別できる。
・代表的な元素の同素体を説明できる。
・簡単な元素の同定方法(炎色反応・沈殿生成)を説明することができる。
3週   1-1-3物質の三態と熱運動
  ・拡散と粒子の熱運動
  ・気体分子の熱運動と絶対温度
  ・物質の三態と熱運動
  ・状態変化
・関数電卓
・分子が熱運動により拡散することを理解している。
・分子の熱運動と温度の関係を説明することができる。
・絶対温度の定義を説明でき、絶対温度とセルシウス温度の間の変換ができる。
・物質の三態とそれらの熱運動のようすの違いを説明することができる。
・三態間の状態変化に伴う熱の出入りを説明することができる。
4週  第2章 物質の構成粒子
  1-2-1 原子とその構造
・原子および原子核を構成する要素を説明することができる。
・原子を構成する粒子の違いにより同位体が存在することを説明することができる。
・放射性同位体とその半減期および利用方法を説明することができる。
・様々な原子の電子殻の原子配置および価電子数を説明することができる。特に、貴ガスの電子配置を説明することができる。
5週   1-2-2イオン
  ・イオンとイオンの生成
  ・イオン化エネルギーと電子親和力
  1-2-3周期表 
  ・元素の周期律と周期表
  ・元素の分類
  ・同族元素
・イオンと同じ電子配置の貴ガス原子を説明することができる。
・様々な単原子イオンおよび多原子イオンをイオン式で表すことができる。
・原子のイオン化エネルギーおよび電子親和力の概念を説明でき、またこれらと原子の陽イオンおよび陰イオンへのなりやすさの関係について説明できる。
・元素の周期律、特に価電子数、イオン化エネルギーの周期的な変化を説明できる。
・周期表上の特定の属または周期に属する元素の名称を説明することができる。
6週  第3章 粒子の結合
  1-3-1イオン結合
  ・イオン結合とイオン結晶
  ・(発展)イオン結晶の構造
  1-3-2共有結合と分子 (1)
  ・分子
  ・分子の成り立ち
・イオンが静電気力(クーロン力)によりイオン結合を形成することを説明できる。
・イオンからなる物質を命名し、組成式により表すことができる。
・イオンからなる物質の性質と、その代表的なものの用途を説明できる。
・原子間の共有結合の形成により分子が形成することを説明できる。
7週   1-3-2共有結合と分子 (2)
  ・電子式
  ・構造式
  ・(発展)混成軌道と分子の形
  1-3-3配位結合
  ・(発展)錯イオンの構造と命名法
・原子や分子における電子の配置を電子式や構造式を用いて表すことができる。
・いくつかの分子の形を説明することができる。
・配位結合の性質を説明でき、代表的な錯イオンを述べることができる。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 ・中間試験の返却と解説
  1-3-4分子間にはたらく力 (1)
  ・電気陰性度と極性
・関数電卓の使い方
・授業内容が身に付いたかを確認する。
・元素の電気陰性度の大小を説明でき、それにより結合に極性を生じるかどうかを説明できる。また結合の極性と分子の形によって分子が結合をもつかどうかを説明できる。
・関数電卓について、特徴と機能を理解し、化学の問題の解決に利用することができる。
10週   1-3-4分子間にはたらく力 (2)
  ・分子からなる物質
  ・分子間にはたらく力
  ・(発展)ファンデルワールス力・分子間力と沸点/融点
  ・水素結合
  1-3-5高分子化合物
・分子からなる物質の性質を述べることができる。
・分子間にはたらく力により分子結晶が形成されることを、またその性質について説明できる。
・(発展)ファンデルワールス力について説明できる。
・(発展)分子間力と液体の沸点の関係を説明できる。
・水素結合を形成する分子の特徴を説明できる。
・(一部発展)氷(および水)の構造を説明できる。
・高分子化合物のできかた、および代表的な高分子とその用途を説明できる。
11週   1-3-6共有結合の結晶
  ・共有結合結晶
  ・共有結合結晶の種類
  1-3-7金属結合と金属結晶
  ・金属結合と金属の性質
  ・金属とその利用
  ・(発展)金属結晶と充填率
・共有結晶の形成とその性質について説明できる。
・代表的な共有結合の結晶を作る物質を述べることができる。
・金属原子間では自由電子により金属結合が形成されることを理解しており、金属結合と金属の性質を説明できる。
・金属が身のまわりでどのように利用されているか説明できる。
12週 第2編 物質の変化
 第1章 物質量と化学反応式
  2-1-1原子量・分子量・式量
  ・原子の相対質量
  ・原子量
  ・分子量・式量
・原子の相対質量と原子量の定義を説明できる。
・様々な物質の分子量または式量を求めることができる。
13週   2-1-2物質量 (1)
  ・アボガドロ定数と物質量
  ・物質量と質量
  ・物質量と気体の体積
・アボガドロ数と物質量の関係を理解し様々な物質の物質量を求めることができる。
・気体のモル体積を用いた計算ができる。
14週   2-1-2物質量 (2)
  ・溶液の濃度 (1)
・有効数字とその扱い
・質量パーセント濃度およびモル濃度の定義を説明でき、それらの基本的な計算ができる。
・有効数字を意識して数値を正しく表現することができる。特に四則演算の結果を有効数字を意識して正しく表現することができる。
15週   2-1-2物質量 (3)
  ・溶液の濃度 (2)
  ・溶解度
・様々な質量パーセント濃度およびモル濃度の計算ができる。
・固体の溶解度の表し方を説明でき、溶解度曲線を用いて溶解量や再結晶における析出量を計算できる。
16週 ・前期末試験の解説と前期学習内容のふりかえり ・定期試験の結果から復習すべき単元を確認して、化学IIの授業につながる学習の計画を立てる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)物質が原子からできていることを説明できる。3前2
単体と化合物がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。3前2
同素体がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。3前3
純物質と混合物の区別が説明できる。3前2
混合物の分離法について理解でき、分離操作を行う場合、適切な分離法を選択できる。3前2
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。3前3
水の状態変化が説明できる。3前3
物質の三態とその状態変化を説明できる。3前4
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。3前4
同位体について説明できる。3前4
放射性同位体とその代表的な用途について説明できる。3前4
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。3前5
価電子の働きについて説明できる。3前5
原子のイオン化について説明できる。3前7
代表的なイオンを化学式で表すことができる。3前7
原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。3前6
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。3前5
イオン式とイオンの名称を説明できる。3前7
イオン結合について説明できる。3前7
イオン結合性物質の性質を説明できる。3前7
イオン性結晶がどのようなものか説明できる。3前7
共有結合について説明できる。3前9,前12
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。3前9
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。3前12
金属の性質を説明できる。3前12
原子の相対質量が説明できる。3前13
天然に存在する原子が同位体の混合物であり、その相対質量の平均値として原子量を用いることを説明できる。3前13
アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。3前13
分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。3前13
気体の体積と物質量の関係を説明できる。3前13
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。3前7
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。3前14
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。3前14

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力8020100
専門的能力000
分野横断的能力000