基礎電子量子工学

科目基礎情報

学校 東京工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 基礎電子量子工学
科目番号 0086 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 書名:しくみ図解 半導体が一番わかる 著者名:内富 直隆
担当教員 伊藤 浩,新國 広幸

到達目標

【目的】
 本講義では、電子物性の基礎として、その基本材料である「半導体」について基本的事項を習得することを目標とする。また、半導体を活用したLED、レーザ等のさまざまな電子デバイス、最先端の製造技術についても理解する。

【到達目標】
1.半導体に関する用語及び半導体の基本的な性質について説明できる。
2.pn接合の原理・特徴について説明できる。
3.トランジスタの特徴・種類・動作などの概要について説明できる。
4.様々なトランジスタを応用したデバイスの特徴、動作などの概要について説明できる。
5.オプトエレクトロニクスに使われる半導体デバイスの特徴、動作などの概要について説明できる。
6.太陽電池の基本的な動作、種類、特徴について説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安最低限の到達レベルの目安(可)未到達レベルの目安
評価項目1半導体に関する用語及び半導体の基本的な性質について説明できる半導体に関する用語について説明できる。半導体に関する用語について知っている。半導体に関する用語について知っていない。
評価項目2pn接合の原理・特徴について説明できる。pn接合の特徴について説明できる。pn接合の用語について知っている。pn接合の用語について知っていない。
評価項目3トランジスタの特徴・種類・動作などの概要について説明できる。トランジスタの特徴・種類について説明できる。トランジスタの用語について知っている。トランジスタの用語について知っていない。
評価項目4様々なトランジスタを応用したデバイスの特徴、動作の概要について説明できる。様々なトランジスタを応用したデバイスの特徴について説明できる。様々なトランジスタを応用したデバイスの用語について知っている。様々なトランジスタを応用したデバイスの用語について知っていない。
評価項目5オプトエレクトロニクスに使われる半導体デバイスの特徴、動作の概要について説明できる。オプトエレクトロニクスに使われる半導体デバイスの特徴について説明できるオプトエレクトロニクスに使われる半導体デバイスの用語について知っている。オプトエレクトロニクスに使われる半導体デバイスの用語について知っていない。
評価項目6太陽電池の基本的な動作、種類、特徴について説明できる。太陽電池の基本的な動作について説明できる。太陽電池の用語について知っている。太陽電池の用語について知っていない。

学科の到達目標項目との関係

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教育方法等

概要:
本科目は電気工学科で学ぶ基礎科目の一つであり、電子物性を学ぶ上での導入知識となる。
前期の講義では、代表的な電子材料である「半導体」の基本的事項について学ぶ。まず、半導体の電気的特性について学習し、真性半導体と不純物半導体(p型半導体とn型半導体)の特性についてエネルギーバンド図を用いて理解する。さらに、pn接合の原理・特・、トランジスタの動作・特徴・種類について学習する。
後期の講義では、前期で学習したトランジスタの基本から、化合物半導体を利用した様々なトランジスタを学習する。また、近年様々な分野で利用されているオプトエレクトロニクスについて、技術的な背景から、使われている半導体デバイスについて学習する。さらに、クリーンエネルギーとして注目されている太陽電池の基本動作から、材料が異なる太陽電池の種類、特徴について学習する。
授業の進め方・方法:
板書、配布プリントによる説明が主であるが、適宜、本科目の内容を視覚的に体感してもらうために簡単な実物のデモも取り入れる。毎回の授業の後半で、次週の予習課題プリントが配布されるので、課題を実施し、授業に望む前にその日のポイントを抑え、自学自習にて学習することが必要である。
注意点:
教科書を授業前に読み、課題などは自学自習により取り組むことが必要である。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 講義のガイダンス(本科目を学ぶ意義と他科目との連携について) 本講義を学ぶ目的と他科目との連携について理解する。
2週 半導体とは
半導体の特性 (電気抵抗率)
半導体に関する用語及び半導体の基本的な性質について説明できる。
3週 半導体の特性 (構造敏感と量子論) 半導体に関する用語及び半導体の基本的な性質について説明できる。
4週 エネルギーバンド図
真性半導体と不純物半導体
半導体に関する用語及び半導体の基本的な性質について説明できる。
5週 電子と正孔
不純物半導体と価電子制御
半導体に関する用語及び半導体の基本的な性質について説明できる。
6週 n型半導体とp型半導体
n型半導体と電荷伝導のしくみ
半導体に関する用語及び半導体の基本的な性質について説明できる。
7週 p型半導体と電荷伝導のしくみ
中間段階でのまとめ
半導体に関する用語及び半導体の基本的な性質について説明できる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 中間試験の復習
シリコンについて
半導体に関する用語及び半導体の基本的な性質について説明できる。
10週 pn接合 pn接合の原理・特徴について説明できる
11週 pn接合
逆方向バイアスと降伏現象
pn接合の原理・特徴について説明できる
12週 半導体デバイスとは
接合型トランジスタ
トランジスタの特徴、種類、動作などの概要について説明できる。
13週 MOSトランジスタ トランジスタの特徴、種類、動作などの概要について説明できる。
14週 総まとめ 前期中間試験の学習範囲を復習する。
15週 予備日
16週 前期末試験
後期
3rdQ
1週 化合物半導体トランジスタの種類と動作
化合物半導体の種類、MESFET
様々なトランジスタを応用したデバイスの特徴、動作の概要について説明できる。
2週 化合物半導体トランジスタの種類と動作
HRMT、HBT
様々なトランジスタを応用したデバイスの特徴、動作の概要について説明できる。
3週 パワー半導体の種類と動作
電力変換・制御、サイリスタ、トライアック
様々なトランジスタを応用したデバイスの特徴、動作の概要について説明できる。
4週 パワー半導体の種類と動作
パワーMOSFET、IGBT
様々なトランジスタを応用したデバイスの特徴、動作の概要について説明できる。
5週 CMOSインバータとデジタル回路
CMOS回路、インバータ、NAND、NOR
様々なトランジスタを応用したデバイスの特徴、動作の概要について説明できる。
6週 半導体メモリの種類と動作
ROM、RAM、DRAM、SRAM
様々なトランジスタを応用したデバイスの特徴、動作の概要について説明できる。
7週 半導体メモリの種類と動作
フラッシュメモリ
様々なトランジスタを応用したデバイスの特徴、動作の概要について説明できる。
8週 後期中間の講義の復習とまとめ 後期中間試験の学習範囲を復習する。
4thQ
9週 後期中間試験
10週 オプトエレクトロニクスの概要 オプトエレクトロニクスに使われる半導体デバイスの特徴、動作の概要について説明できる。
11週 発光ダイオード、フォトダイオードの動作 オプトエレクトロニクスに使われる半導体デバイスの特徴、動作の概要について説明できる。
12週 半導体レーザの構造と動作 オプトエレクトロニクスに使われる半導体デバイスの特徴、動作の概要について説明できる。
13週 太陽電池の種類と動作 太陽電池の基本的な動作、種類、特徴について説明できる。
14週 後期期末の講義の復習とまとめ 後期期末試験の学習範囲を復習する。
15週 学年末試験
16週 講義の復習と振り返り学習 前期、後期を通じて総合的に学習する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電子工学電子の電荷量や質量などの基本性質を説明できる。3前2
エレクトロンボルトの定義を説明し、単位換算等の計算ができる。3前6
原子の構造を説明できる。3前3,前9
結晶、エネルギーバンドの形成、フェルミ・ディラック分布を理解し、金属と絶縁体のエネルギーバンド図を説明できる。1前4,前5
金属の電気的性質を説明し、移動度や導電率の計算ができる。1前2
真性半導体と不純物半導体を説明できる。3前3,前4,前5
半導体のエネルギーバンド図を説明できる。3前4,前5
pn接合の構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてpn接合の電流―電圧特性を説明できる。3前10,前11
バイポーラトランジスタの構造を理解し、エネルギーバンド図を用いてバイポーラトランジスタの静特性を説明できる。1前12
電界効果トランジスタの構造と動作を説明できる。1前13

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合60000040100
基礎的能力4000004080
専門的能力200000020
分野横断的能力0000000
0000000