この講義では,現代社会に大きな役割を持っている「科学技術」(Science Based Technology)の諸特徴を,歴史学的手法(世界史の知識)の学習を通して,読み解くことを目標とする.科学技術は,生産力発展に関わる「技術」,やがて新技術開発に利用される「科学」,の2つを構成要素としているが,現在は両者が融合していると考えられる.この融合までの過程を,「歴史学」(過去の事実を分析する学問),および「科学技術社会論」(科学技術と社会・経済との関連を理解する学問)に関わる基礎概念を学ながら,歴史順に学習してゆく.
概要:
通年科目.1年間を4つに区切り、Aでは、科学・技術からみた古代社会、Bでは、近代社会(初期)の中の科学と技術、Cでは、イギリス産業革命と技術、Dでは、科学依存型技術の起源、のように古代から現代までの科学技術を中心とした歴史を学ぶ。各講義には、現代の科学技術と社会に関わる問題点(現状分析)を踏まえ、こうした問題点に関わる論点を歴史的事例から学ぶことを目標とする。
主に「社会の中の科学,技術」を理解するための基礎的な学習を行う.
この期で扱う主な学習内容:(古代から中世)
具体的には,古代社会から中世社会の科学および技術を扱い,①人類進化と技術との関わり,②技術がその時代の社会制度にもたらした役割,③科学や技術がその時代の社会制度から受けた影響などを分析してゆく.
授業の進め方・方法:
講義形式を中心とする.年間を4区分し、それぞれに独立したテーマを設定してある.
注意点:
利用する「教科書」は、配布プリント(ワークブック形式).これを、講義に加え、補助教材として購入してある『詳説世界史B』などを利用して、完成させることが必要である.そのためには、補助教材を予習用テキストとして利用し、配布プリントを復習用に利用することが大切である.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
A1.現代の科学技術について考える -科学技術は現代社会にとって必要か?-
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科学技術史の方法、現状分析と歴史分析の違いを理解する.
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2週 |
A2.科学と技術の概念区分-技術とはなにか- |
最古の技術について、技術の基本的な定義を理解したうえで、事例を理解する.
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3週 |
A3.古代文明と技術-灌漑技術が古代文明を作り上げたのは本当か?- |
技術が与える社会的影響について、古代文明の登場を事例に理解する.
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4週 |
A4.古代の鉄器技術 -鉄器の登場により何が大きく変わったか?- |
古代技術における鉄器登場の社会的意味について、理解する.
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5週 |
A5.科学の起源-なぜ,科学は古代ギリシャで誕生したのか?- |
科学の起源を社会的条件、歴史的条件に注目することで理解する.
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6週 |
A6.ギリシャ科学の変質-ギリシャ科学の伝統は,なぜアレクサンドリアで変質したのか?- |
自然科学の発展が、地理的、思想的な条件により、大きく変質することを理解する.
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7週 |
A7.ローマ帝国の技術-ローマ時代最盛期に生産技術が発展しなかった理由は?- |
技術発展は社会的条件により推進、阻害されることを事例を通して理解する.
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8週 |
A8.ローマ帝国の科学-ギリシャ科学の変質- |
科学のあり方が社会的諸条件により大きく変化することを、ギリシャとローマを比較することで理解する.
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2ndQ |
9週 |
B1.近代科学の源流 -なぜギリシャ科学は弾圧され,どのようにアラビア科学登場したか?- |
17世紀に登場する近代科学の源流を、アラビア科学に求め、その役割と限界を理解する.
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10週 |
B2.中世の西欧世界とギリシャ科学-「ヨーロッパ優位の時代」はどのように生まれたか? - |
西欧で誕生した近代科学の直接の期限を、12世紀ルネサンス登場に求め、その背景を理解する.
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11週 |
B3.ルネサンスと「新しい科学」-ダ・ヴィンチは「近代科学」にどんな貢献をしたのか? - |
近代科学の直接的起源を、職人的伝統の役割に注目して理解する.
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12週 |
B4.科学革命の起源-地動説は科学革命にどんな役割をもったか? - |
17世紀科学革命とは、スコラ科学から近代科学への転換として現れる事例を、天文学を中心に理解する.
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13週 |
B5.科学革命の勃発-ガリレイは誰と戦ったのか? - |
近代科学が成立するプロセスにおいてい地上の力学と天上の力学との融合過程として理解する.
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14週 |
B6.科学革命の完了-科学の中心がイギリスに移動したのはなぜ?- |
近代科学が完成するには、科学理論と科学制度の両面が必要であることを理解する.
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15週 |
B7.ニュートン力学の拡張-力学的自然観の普及- |
近代科学は天体力学をモデルとして、他の自然現象の理解につながる特徴を理解する.
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16週 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
C1.熟練工と「道具」-マニュファクチュアの利点と限界は何か? - |
生産力向上の第1の要素に分業がある点を、マニュファクチュアの事例から理解する.
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2週 |
C2.道具と機械の概念区分- 紡糸作業体験から道具の限界を知る - |
生産力向上の第2の要素に労働手段としての機械の登場があることを、産業革命を事例に理解する.
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3週 |
C3.紡績機の発明に始まる産業革命-機械における作業機の登場の意味 - |
産業革命の直接の起源である綿紡績工場を通して、作業機械の役割を理解する.
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4週 |
C4.産業革命における動力機(1)-動力機としての水車の役割と限界はなにか? - |
発達した機械の3要素における、動力機の意味を、水車の役割と限界を通して理解する.
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5週 |
C5.産業革命における動力機(2)-蒸気機関:ポンプから工場用動力へ - |
発達した機械の3要素における、動力機の意味を、蒸気機関と水車とを比較して、理解する.
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6週 |
C6.産業革命の確立と工作機械-機械を作る機械の登場 - |
産業革命完成の3要素における、工作機械の役割について理解する.
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7週 |
C7.産業革命の確立と製鉄技術-鉄の時代の始まり - |
産業革命後の発展を支える新素材としての鋼鉄の役割を、製鉄技術を通して理解する.
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8週 |
D1.エンジニア教育の登場-職人からエンジニアへの転換 - |
イギリス産業革命を追う各国の産業発展政策を、エンジニア養成を事例に理解する.
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4thQ |
9週 |
D2.第二次科学革命-応用可能な「物理学」の登場- |
第二次科学革命がどのように登場したか、その起源に関わる事象、背景を理解する.
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10週 |
D3.科学依存型技術の登場-化学工業と電信工業- |
科学依存型技術は19世紀に登場する.この登場のプロセスを化学工業、電気工業を事例に理解する.
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11週 |
D4.アメリカ的生産方式の登場 -アメリカ産業革命から大量生産システム確立まで - |
大量生産システムは19世紀アメリカで登場する。その登場プロセスをアメリカンシステムを事例で理解する.
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12週 |
D5.アメリカンシステムを映像資料で理解する. |
映像資料を利用して、アメリカ独立革命から第1次世界大戦までの経過を通して、アメリカンシステム形成過程を理解する.
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13週 |
D6.ドイツ産業革命とその後-ドイツ型科学大国への道- |
科学依存型産業を拡大させて成長した国家の事例として19世紀ドイツの姿を理解する.
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14週 |
D7.帝国主義による世界分割と科学技術-通信主権獲得を巡る世界無線通信設置競争- |
20世紀という「科学技術の世紀」を、エレクトロニクス技術を事例に理解する.
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15週 |
D8.総括 |
1年間の講義を通して、科学技術と社会との関わりについて、再確認する.
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16週 |
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